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レビュー一覧 (48件)
子門さんの投稿レビュー/筑前町図書館
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1. 此の世の果ての殺人
荒木 あかね‖著
講談社 2022.8
子門 さんの評価:
本書の舞台となる太宰府市や博多区、糸島市など土地鑑があるだけに読んでい
て感情移入しやすい作品である(太宰府までクルマで30分、妹が嫁いだ家が
天満宮より歩いて5分の場所!)直系10キロもの彗星が地球に落下、人類滅
亡も予測されるなか、大混乱を極めるそんな世の中、日本の九州は福岡でのお
話。なにしろ彗星の予想落下地点が、熊本。当然、九州は壊滅確定。影響はま
ちがいなく日本全土にもおよぶということで、ずいぶんな数の自殺者はでる
わ、暴徒と化した人々はでるわ、日本人の大多数が朝鮮半島はじめユーラシア
大陸や伝手をたよって世界各地へと避難していっているのだけど、それでもご
く少数の人々がいろんな事情で地元に残っている。主人公の女性もその一人。
酔狂にもほどがあるというか、太宰府天満宮近くにある自動車教習所に通い、
運転を習っている。この女性が一応ヒロイン役なのだが、引きこもりの弟がい
て、ストーリーに絡んでくる感じ。その教習所の教官の女性も、ヒロインにつ
きあって日本に居残っている一人で、教官のこの女性、元刑事で経歴にワケあ
りで・・・。この二人がコンビを組んでとある事件の調査をしていくことにな
るのだ。そう、この混乱をきわめた状況、秩序も崩壊しかかっている中で、殺
人事件が起きちゃうのですよね。インフラも消失寸前、各地域の警察署も規模
を縮小されつつある中、殺人事件を解明していくことにどれだけ意味があるの
だろう?
そんな疑問が当然でてくるワケだけど、ソレは人間だから、とでもいっておき
たいと思う。元刑事の女性って、自他共にシビアーな人間で、同僚や上司と折
り合いがワルかった。同じ警官なのに、切りすてて信頼してないって感じ。
混迷をきわめる状況の中、居残った人々との交流をしていくなかでヒロインも
元刑事の女性も謎の殺人者を相手に苦闘する。。
けれども、物語のラスト近く、地元の住民や居残っていた少数の警官たちが
事件の解決にそれぞれの立場から力を尽くすシーンがあって、これこそ人間な
のだ!とちょっと感動させてくれる。
でもって、このハルマゲドンな状況だけど、これって6500万年まえの恐
竜絶滅の時とほぼ同じ。最新の学説では、生き残った恐竜もそれなりにいたそ
うで、(それから数十万年後におこったウクライナへの隕石落下が致命的だっ
た)そのまま人類絶滅とまではいかないのでは?とも思われるし、そもそもラ
ストシーン、実際に隕石が落下したとは明記されていないではないか?
案外、HGウェルズの「妖星」みたく、地球から逸れていってくれたかもし
れない、そんな期待でもって、ぼくは本書を読み終える。
本書の舞台となる太宰府市や博多区、糸島市など土地鑑があるだけに読んでいて感情移入...
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図書
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(1人)
2. カトリと霧の国の遺産
東 曜太郎‖著 まくらくらま‖装画
講談社 2023.9
子門 さんの評価:
シリーズ二作目、無事にでてよかったです!よくあるンですよね、売り上げが
ワルくて続編をだしてもらえないってヤツ・・・。
にしても、カトリとリズの二人相変わらず怪奇な事件にまきこまれちゃってま
す。彼女たち、どれだけ怪異な事象と親和性が高いのでしょうか?
第一作では元気いっぱいのカトリでしたが、自ら望んだこととはいえ慣れない
博物館業務もあって、色々「迷い」も生じている様子。その迷い故に、物語の
後半、「霧の街」へと迷い込むことになるのでしょう。
そんな惑うカトリを、養父母のジョシュもエリーもそれぞれに見守り、時には
きびしく、そしてさりげなくサポートするのです。むろんリズも、そして幼な
じみの少年ジェイクもカトリの大切な仲間であり続けます。とくに消失したカ
トリを助けだそうとする動機として「カトリがいないままだと、つまらなくな
る」と言い放つジェイク。照れ隠しにしろ、侠気があって格好いいです。
さらに今回、謎を秘めた「ネブラ年代記」を調べていく中、カトリとリズが遭
遇したエドガー・ベルなる医師。むろん、コナン・ドイルがホームズ探偵のモ
デルとしたといわれるベル博士なのだと思います。史実とは名前が違っている
のは、それ自体何かイミがあるのかもしれません・・・。このベル医師ですが
前作でハミルトン館長が果たした役割、すなわち主人公たちを現実に繋ぎ止め
る「碇」みたいな役割をしているのだと思います。こういうキャラがいない
と、物語が浮ついたものになってしまうと思うのですよね。
また今ひとり、新登場のダニエラ・スペンサー女史。博物館でもただ一人の女
性研究者として、カトリにいろんなアドバイスしてくれる人なのですが、二人
して「ネブラ年代記」を調べるシーンがあります(49ページから61ペー
ジ)。その際にダニエラ女史が年代記に示した疑念というか、研究者としての
姿勢は、すなわち筆者の実感が投影されたものではないかと考えます。前作の
ハミルトン館長のカトリへのサジェスチョンといい、学徒の一人として教えら
れるものがあります。
そして、ラスト・シーン。事が決着したあと、リズは一人ベル医師の元を訪
れ、バージェス男爵の残した資料の譲渡を願い出ます。リズの意図する所は不
明ですが、男爵に助言をなしていたという正体不明な男性共々、今後の展開に
かかわる気がするのです。そう考えると、「人の理解を超えるものを理詰めで
あつかうことはできない。ゆめゆめ足をすくわれないようにすることだ」との
ベル医師のリズへの忠告はじつに意味深長なものがあります。
第三巻への期待がいやがうえにも高まろうというものです。次巻はすこし早く
だしてもらいたいですネ。
シリーズ二作目、無事にでてよかったです!よくあるンですよね、売り上げがワルくて続...
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(7人)
3. 異能機関 下
スティーヴン キング‖著 白石 朗‖訳
文藝春秋 2023.6
子門 さんの評価:
ハッキリいって、「研究所」のシステムって末期症状というしかなかった。
ルークをはじめとする子どもたちにとっては脱獄不能の監獄って感じだったのだが
設備も、そして人材の枯渇というイミでも、だ。ルークの脱出がなくとも遠からず
終焉を迎えていたという気もしている。
それはそれとして。脱出したルークは、艱難辛苦の旅程の果て、元・警察官ティム
が仮住まいとした田舎町デュプレイへとたどり着く。ていうか、時間的には数日も
たっていないのですけど、ルークの脱走に気がついた「研究所」のスタッフたち、
所長のミセス・シグスビーや保安主任のスタックハウス、その配下たちは激怒して
追跡チームを派遣する。が、ここで「研究所」サイドは二つの大きなミスを犯して
しまうのだ。第一に、荒事の専門家ではない、所長のシグスビーが追跡チームをひ
きいる形になったこと。ルークに対する彼女の怒りからそんな形をとったのだろう
けども、やはりここはそのテの専門家に任せるべきだった。組織の最上位者は最前
線などにでるものではない。シグスビー女史の死亡は、自業自得といえる。
第二のミスとして、子どもたちの中で最大の力を誇るエイヴァリーを懲罰のイミか
ら「タンク」に沈め、結果としてパワーアップを招いたこと。「研究所」の自壊を
招いた最大の要因であった。
でもって、最終局面で明らかになった「研究所」設立の理由。意外にも本来は世界
そのものの安寧と秩序の保全を目的とするものであったとこが明らかにされる。
ルークたちの為した行為はそのシステムを阻害した結果となった・・・とラストで
登場した「ミスター・スミス」はそう子どもたちを論難したけども、元警官のティ
ムは「子どもを犠牲にすることには何の大義もない」と切って捨てる!
この毅然としたコトバこそ、作者が言いたいことでもあるのかもしれない。
追記
本作をよむあいだ、脇に「主な登場人物」をコピーしたものをおいてページをめく
った。その多くに「死亡」の書き込みをすることになった。いくら小説であろうと
哀しい話だ。
ハッキリいって、「研究所」のシステムって末期症状というしかなかった。ルークをはじ...
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(15人)
4. 梟の一族
福田 和代‖著
集英社 2019.2
子門 さんの評価:
サイエンス・フィクションでいうミュータント・テーマの作品といえる。
睡眠を必要としない体質でもって、なおかつ身体能力は常人を超えている。
数百年の過去には、一族から忍者を輩出していたらしい・・・ていうか、日本古来
の忍者一族の祖といった方がいいかもしれない。
なにしろ眠らなくても活動できるというのは、普通人に対して圧倒的なアドバンテ
ージをもつ。そんな彼らでも現代では一族の人数が減少し、消滅寸前。
そんな廃村まじかの彼らの村落に、何者かが襲撃をかけてくる。一族の長の孫で
ある主人公の女の子が逃げのびて・・・てのが物語のスタート。
物語自体としては、ほぼ(後日談をのぞけば)一週間のお話。
主人公の女の子が、自らの出自を自覚して、やがては一族の長として成長する姿
が描かれる。本の紹介文にある「巨悪との戦い」なんぞないです。
裏切り者を処分して、一族を再結集させた。今回は、そういうお話。
ただし、国内に一族のバックアップの組織が存在している感じで、続編が書かれ
るとしたら、その全貌が明らかとなるのかも?
なんで眠らなくてすむかというのには、ある程度の説明がある。その暗黒面とで
もいうべき一面も本巻末でどうにかクリアーできた模様。
しかしなんといっても、ヒロインが警察にしている事件の釈明、ウソはいってな
いンだけど、真実からはほど遠い内容で、それで納得させているのだから、なん
ともたいしたもの!口八丁は、彼らの最大の武器なのかもしれない。
続編に期待したい。
てなことを以前に書いてたら、なんと続編がでていたことに気がつく。
「梟の胎動」(集英社文庫)がソレ。
ちょっと調べてみるけど、ハードカバー版がみあたらない。
もしかしたら、ジカに文庫版で出したのかも?
こういう事例は、いくらでも前例があり、これまた紙の本の売れ行きが不振との
反映なのかもしれない。
ま、書店でみつけたなら手にとってみるつもりではいる。
本との出逢いは、それこそ「運命」なのだから。
2023/10/22
サイエンス・フィクションでいうミュータント・テーマの作品といえる。睡眠を必要とし...
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(8人)
5. 異能機関 上
スティーヴン キング‖著 白石 朗‖訳
文藝春秋 2023.6
子門 さんの評価:
国家が秘密裏に運営する秘密機関、それもエスパーである少年少女たちをあつめて
の「研究所」・・・ってよくあるパターンというか、スティーヴン・キングのお得
意のお話と思いきや、コレがひと味もふた味も違っているのが、流石というしかな
い。冒頭、元・警官ティム・ジェイミースンが米国の各州を流浪するシーンがある
のだが、これがまさに「布石をうつ」という言にふさわしい!放浪のあげくティム
が足をとめ、受け入れられた田舎町の警察署と署長をはじめとするメンバーたち、
そして周辺の住民たち、彼らが物語の後半部分で重要な役割をはたす。このあたり
の巧さが、流石はスティーヴン・キングというところだろう。
でもって、天才少年のルーク・エリスをはじめ、エスパーの少年少女たちが「研究
所」の大人たちに受ける仕打ちときたら、読者としては悲憤慷慨するしかない状況
である。スタッフたちの多くが人格的に問題のある連中が多いのも原因していると
は思うが、ラスト近くで明らかにされる「研究所」の設立理由にも関わってくるの
かもしれない。
いろんな苦難のすえ、「敵」である大人の中にも意外な助力者もいて、仲間たちの
サポートもありルークが「研究所」からの脱走に成功する。
ここまでが「前巻」部分で、以下はまさに怒濤の展開って感じかな?
国家が秘密裏に運営する秘密機関、それもエスパーである少年少女たちをあつめての「研...
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(12人)
6. 名探偵外来
泌尿器科医の事件簿 似鳥 鶏‖著
光文社 2022.12
子門 さんの評価:
この物語の主人公、泌尿器科医・鮎川さんは何が凄いかって、いざという時、ハラ
をすえてとうとうと弁じ立てるその度胸!「解決編」でもって皆がその弁舌を拝聴
しているシーンでのことならともかく、おのれの命(だけでなく周囲の人達もふく
めて)の安全がかかっている中で、凶器をふりかざす相手をむこうにまわし、理路
整然とした反論をぶちかます!
最終話でのエピソードだけど、あの毅然とした対応、鮎川医師には憧れます。むろ
ん彼をとりまくスタッフたち、全面的にバックアップしてくれる病院長などの支援
があればこそ、なのでしょうけども。
続編を期待したいものです。
この物語の主人公、泌尿器科医・鮎川さんは何が凄いかって、いざという時、ハラをすえ...
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(6人)
7. アンブレイカブル
柳 広司‖著
KADOKAWA 2021.1
子門 さんの評価:
そもそも、このタイトルの意図がよく判らない。
辞書には「壊すことができない」とあって、主人公たちの生きざまを読んでいくと
「たしかに、そうなのだろうな」とは思うが、だからといって、コレはないのでは
ないか?初見の人に手に取りやすいシロモノにしておくべき、と愚考。
で、内容。日中戦争から太平洋戦争にかけて、軍国主義の道を辿る日本。邪魔な存
在は排除されていく。作家・小林多喜二、川柳人・鶴彬、出版社の編集者たち、そ
して哲学者・三木清。
僕個人としては、久々に懐かしい個人名を眼にできて楽しかった。三木清など、学
生時代以来だから、ン十年ぶりか?当時、先輩たちの座右の書の一冊が三木清であ
り、その凄絶な生き方(死に方)も惹く一因であったとおもう。
小林多喜二はこれまた有名すぎる人物、作品であるが、勤務先の銀行内であれだけ
人望があったとはうかつにも知らなかった。意外な知見を得た。
鶴彬。この方については、恥ずかしながら、まったく無知であった。
先日、「西日本新聞」のコラム「永田健の時代斜め読み」で知り、彼の伝記などを
読んでいる最中。本作にもあるように、なかなかに型破りな人物であったようだ。
ただし、彼が憲兵の一員となる可能性があった・・・とは考えにくいけども。
ついでながら、鶴彬の川柳をいくつか挙げておく。
手と足をもいだ丸太にしてかへし
もう綿くずを吸へない肺でクビになる
ざん壕で読む妹を売る手紙
タマ除けを産めよ殖やせよ勲章やろう (旧字そのまま)
辛辣などというレベルではない。
肺腑をえぐる、素直にそんな感想をもってしまう。
権力者側からするなら、憎悪するって感じではなかったろうか。
それは一人、鶴彬だけではなく、小林多喜二も三木清も、そして若き出版人たち
へも共通して向けられた憎悪であった。
いずれも若くして不本意な死を強制された人々である。
だからといって、おのれの生きざまを後悔して死んでいったとは思わない。
その名前は、伝説となり、人の世が続く限り忘れられることはない。
そのイミで「アンブレイカブル」なのだろう。
ただし、本書を読者が真剣に読むのは、逆説的ではあるが、あまりいい傾向では
ないとおもう。気楽に楽しめるそんな世の中が続いてほしいものではある。
追記
「叛徒」は「はんと」とよむ。「ほんと」ではない。
図書館各位。訂正を求めたい。
そもそも、このタイトルの意図がよく判らない。辞書には「壊すことができない」とあっ...
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8. カトリと眠れる石の街
東 曜太郎‖著 まくらくらま‖装画
講談社 2022.9
子門 さんの評価:
1885年4月、スコットランドはエディンバラでおこった「眠り病」の謎を
解明するべく活躍する二人の少女のお話です。
ハイランド農民の娘でエディンバラ下町の金物屋に養女としてひきとられたカ
トリオナ(通称、カトリ)、ロンドンでも裕福な家庭の子女エリザベス・オー
ルデン(通称、リズ)通常だったら相まみえるハズのないこの二人が、ひょん
なことから知り合い、手を組んで怪異な事件に立ち向かいます。
おそらくは続編が予定してあるのだと思いますが、本巻ではカトリ視点でもっ
て事の経緯が語られています。エディンバラの下町に突如として蔓延した「眠
り病」は、病状を発すると老若男女を問わず寝たきりとなり、意識もほぼなく
してしまう奇病です。原因不明で、医者も為す術がありません。
自分の父親が「眠り病」にかかったリズから協力を求められたカトリでしたが
養父であるジョシュもまた同じく意識不明の状態になってしまいます。かくし
て二人はコンビをくみ、奔走することになるのですが・・・l。
リズもそうですが、カトリもまたいろんなモノを抱え込んだ存在です。自分を
ひきとってくれたジョシュ、エリーの養父母に恩を感じ、家業である金物屋を
もり立てていこうとする一方、並外れた知識欲と優れた知性でもって、凡夫で
ある一生が似合わない感じ。カトリを知る少なからぬ人々がそう思っています
が、だからといって疎外されることのないのは、彼女の人柄でしょぅ。
そんなカトリのまわりの大人たちもまたそれぞれに立派です。養父母を初めと
して、カトリに助言する教区学校のミス・モース、エディンバラ博物館のハミ
ルトン博士ら、年長者として適切なアドバイスをしてくれます。とくにハミル
トン博士とのやりとりなど、学問のあり方とはかくあるべし、そんな気さえし
てくるぐらいです。(「マナドッグ・ムンヴァイル」に関するハミルトン博士
の考察は、学識者としての作者自身の考えの反映でしょう)ですが、今回エデ
ィンバラの街を襲っていた怪異は、残念ながら正統な学問、科学では通用する
シロモノではなかったワケで、でもってリズとカトリの存在が必要となってき
たわけです。
本書の中で、作者はいろいろ「遊び」をしかけているようです。冒頭、「宝
島」の作者、ロバート・スティーブンソンの名前が出てきていますが、リズと
カトリが「眠り病」の実態を調べるために患者の家をまわっていく途中、、そ
の内の一件、「測量士のチャールズ・ドイル」に行き当たります。むろんコレ
はかのコナン・ドイルの実の父親です。時系列でいうと、医師を開業したもの
のヒマをもてあましたドイルが、売れもしない小説を書いている最中です。シ
ャーロック・ホームズ物語が誕生するのは、この事件から数年後となります。
それと、カトリが博物館のなかでハミルトン博士に声をかけられる直前にみい
っていた「虎の毛皮」、たしかインドにて英国の名家の軍人が退治したとの説
明があったと思いますが、もしかするとホームズの仇敵の一人、セバスチャン
モラン大佐・・・そんな「裏設定」があったかも?
これも、作者の茶目っ気でしょうか?
追記
この9月末日、シリーズ第2作「カトリと霧の国の遺産」が刊行されました。
カトリが博物館に見習いとして雇用された翌年のお話です。
新キャラも加入、そして意外なゲスト・スターも登場してますますパワーアッ
プした内容になっています。よろしければ、ぜひご一読を・・・!
1885年4月、スコットランドはエディンバラでおこった「眠り病」の謎を解明するべ...
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図書
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9. 祝祭のハングマン
中山 七里‖著
文藝春秋 2023.1
子門 さんの評価:
法律が万全ではないし、その抜け穴をさがす悪党たちはいるわけで、結果として
不条理とか悲劇は後をたたない。
しかしだからといって、警官が殺し屋にジョブチェンジしてはいかんでしょう?
法秩序をなんと思っているのかなぁ。
物語のヒロインにはこんこんと説教したくなる・・・。
それと付け加えると、謀殺のやり方があまりにも杜撰すぎる。ホームズの時代か
ら警察がいくら阿呆ぞろいの扱いとはいえ、いくらなんでも状況証拠を残しすぎ
だとおもう。たしかに次巻がありそうなエンディングとは思うが、ヒロインが逮
捕されるのもそう遠くないと愚考するしだい。
法律が万全ではないし、その抜け穴をさがす悪党たちはいるわけで、結果として不条理と...
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10. 奥の部屋
魔法の本棚 ロバート エイクマン‖著 今本 渉‖訳
国書刊行会 1997.9
子門 さんの評価:
時々、こんなケースがある。
なんでこの作家の本を読もうと思ったのか、よく判らないって奴・・・
強いて説明をするなら、リチャード・マーシュ「黄金虫」の解説にその名がみえた
から、ということになるけども、むろん精確ではない。
なんとはなしに手に取ってしまった、というのが正解に近いとおもう。
「学友」「髪を束ねて」「待合室」「恍惚」「奥の部屋」の5篇を収録。
ホラー小説のジャンルに分類されるとおもうが、ベツに殺人鬼が横行しているとか
悪鬼羅刹のたぐいが出没するわけではない。
あえていうならば、日常生活に潜む得体の知れぬ不気味さ、もどかしさを覚えてし
まう恐怖というか・・・コレはぼく個人の感想なのだけども、オチのないストーリ
ーにより物語が完成していることからくる怖さ!
正直いって、二度と読みたいともおもわない。真の意味での恐怖小説といえるので
はないだろうか?
解説にあるように、この作家がほぼ「閑却された」作家であるという指摘にも同意
できる。
ちなみに、かのフレドリック・ブラウンと活躍時期が一部重なり合っているが、両
者に交流があった記録はぼくの知る限り一切ない。
時々、こんなケースがある。なんでこの作家の本を読もうと思ったのか、よく判らないっ...
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