トップ
甲斐市立図書館
ログアウト
ログイン
Clear text
レビュー一覧 (83件)
中務光人さんの投稿レビュー/池田市立図書館
投稿順
投稿順
評価順
図書
貸出可能
(3人)
21. 武漢日記
封鎖下60日の魂の記録 方方‖著 飯塚 容‖訳 渡辺 新一‖訳
河出書房新社 2020.9
中務光人 さんの評価:
著者 方方(ファンファン) は、1955年生まれの武漢在住の作家。
1月25日(武漢閉鎖の2日後)~3月24日(2週間後の武漢封鎖解除が発表された日) の60日間のブログの記録。
医療関係者も含めて交流が活発な人のようで、いろいろな情報が記録・発信されていて、中国の人たちの日常生活の様子も垣間見ることができる。
まず、コロナの流行については、著者の直接の知人で死亡した人がとても多い。これだけでも初期~中期の武漢での感染のすごさがわかる。
日常生活の中でちょっと意外に感じたことは、困難な生活の中、食料の買い出し・配達など、多くのボランティアの人達の活躍である。
著者は、党・政府などを時として鋭く非難している。「医療関係者の患者・死者を多くだした中央病院の党書記長と病院長は辞任すべき。」 鍾南山教授がヒト-ヒト感染に言及した後も直ちに公演などを中止しなかったことに対し 「私たち市民が警戒を強めているのに指導者たちは無知なのか ?」 等々。
当然のことながら、ブログの閉鎖 や SNS上での攻撃が多くあったようであるが、さすが逮捕まではされていない。どういう記載に反応して、どの程度の期間の閉鎖が行われたかの詳細は文面からはわからない。また、SNS上での攻撃の1例として、非常に多くの人が、同じ時刻に一斉に、同じ言葉と同じ画像で攻撃されたとある。政府機関の関与は不明であるが、組織的な攻撃であることは確かで、日本ではほぼないことである。著者は強い人で、これらにひるむことなく書き続けたようである。
上記のようないろいろな事を知ることはでたが、新型コロナ感染症のはじまりから1年以上経って、今読んでみても、同じような内容の繰り返しも多く、あまり引き込まれるものはなかった。自分で購入したので、もったいないと思い最後まで読んだ程度である。
著者 方方(ファンファン) は、1955年生まれの武漢在住の作家。1月25日(...
全文を表示
図書
貸出可能
(1人)
22. インドネシア大虐殺
二つのクーデターと史上最大級の惨劇 中公新書 2596 倉沢 愛子‖著
中央公論新社 2020.6
中務光人 さんの評価:
著者は、元名古屋大学教授・元慶応大学教授。
このレビューを書いている私は、インドネシアのことは無知でしたが、以下のようなことが書かれてありました。
戦後のインドネシアでスカルノはいち早く独立を主張し、カリスマ性のある存在であった。欧米帝国主義に敵対する反面、東南アジア諸国の他、共産圏諸国とは親密交流をし、また国内ではインドネシア共産党は、スカルノの支持母体であった。1965年・1966年の2度の政変でスカルノ大統領は失脚し軍部に政権を奪われ、少将であったスハルトが 1968年に大統領に就任することになるが、親共産党政権から一転して反共産党政権となる。
1度目の政変は 1965. 9.30で 9.30事件と呼ばれる。スカルノ大統領の親衛隊が陸軍の将軍を襲い、うち6人を現場あるいは拉致後に殺害。革命評議会を名乗り「国軍による大統領転覆を未然に防ぐため」との声明を発する。この事件は、同日中に制圧され、これを機に軍部はマスコミ等を利用して様々な反共キャンペーンを繰り出す(共産党は「残虐」「やらないとやられる」「イスラームの敵」等というもの)。並行して、軍・官公庁を中心にスクリーニングと呼ばれる思想チェックがはじまる。
これらによって、事件の半月後頃から、共産党員と見なされる人・その家族などが虐殺されていく。
加害者は、ほとんどが一般人だったというが、「咎なし」といういう雰囲気で国内の多くの地域に広がった。この犠牲者は少なく見積もっても50万人。実際は200万人以上かもと言われているが、日本もそして欧米もほとんど報道されていない。頃はベトナム戦争がはじまり、中国では文化大革命がはじまろうとしていた時で、欧米は人権よりも反共産党に重きを置いていたので、アメリカなどは、この虐殺を煽るような方向に動いていたという。
2度目の政変は、1回目の事件の約半年後の 1966. 3.11 で、3.11政変と呼ばれる。スハルトを中心とした軍部が、スカルノ大統領に「権力移譲」の命令書に署名させ、インドネシア共産党に解散命令、さらに共産党容認派の閣僚らの解任・逮捕と、その時既に極度に弱体化していた共産党と、それを庇護してきた政権をさらに非力化し、翌年~翌々年に、スカルノは大統領の名前も剥奪され、スハルトが大統領に就任する。一連の政変によってスカルノは、命を奪われることはなく、亡命も打診されたそうであるが、本人はそれをよしとせず、幽閉中の1970. 6 病死する。
初めての子を妊娠していた第3夫人のデヴィは、恐らく身の危険を心配したスカルノに促され日本に帰国して出産することになるが、この時の出国が2人の永遠の別れとなる。
このようにして生まれたスハルト政権は、その後独裁政権を築き、共産党への弾圧を続け、華僑勢力に対しての同化政策を行うが、民主化を求めるデモに屈して 1998. 5 政権を手放すことになる。
これにかわるハビビは副大統領からの昇格ではあったが、投獄されていた政治犯の即時釈放を行った。
翌年、初めての公正な選挙で誕生したワヒド大統領は、(虐待にかかわった)イスラーム団体 NU の元総裁、かつ創設者の孫であったが、一連の経過を謝罪し、さらに共産党・マルクス主義を禁止する決定を廃止しようとしたが、後者が国民の強い反対デモを招き、2年足らずで降板した。
スハルト政権の20年余り、共産党員、その家族、さらにそれを疑われただけの人達は偽名を使ったり、配偶者にも身を明かせずだったり・・・という潜伏生活を続けたという。
これらの虐殺の歴史は、2005年に学校の歴史教科書に初めて掲載されるようになったが、2年後には、それらの教科書は回収され、以後記載はなくなったという。
著者は、多くの先人の研究・資料だけでなく、多くの人達の生の声を聞き取る旅を続けたようで、この頃の実像が見えてくるようで、よい書だと感じた。
著者は、元名古屋大学教授・元慶応大学教授。 このレビューを書いている私は、イ...
全文を表示
図書
貸出可能
(1人)
23. トコトンやさしいヒートポンプの本
B&Tブックス 射場本 忠彦‖監修
日刊工業新聞社 2010.7
中務光人 さんの評価:
執筆者は7人でほとんどが(財)ヒートポンプ・蓄熱センターの方。監修者は東京電機大建築学科の教授。
ヒートポンプに102頁、蓄熱システムに44頁が割かれている。
ポンプというのは、重力に逆らって水のような液体を上に押し上げるイメージ。ヒートポンプというのは、温度勾配に逆らって低い温度を持つ媒体の熱エネルギーを、より高い温度を持つ媒体に熱を与えるもの。その逆もあり、前者の例としては、外気温0℃の空気の熱エネルギーを利用して、水を80℃程度まで沸き上げる。後者の例としては、35℃の気温の下で、その空気にさらに熱を与えて室内を冷やすような、通常のエアコンによる冷房運転。(通常のエアコンもヒートポンプの原理を利用している)
これらが可能になるのは、フロン系ガスや二酸化炭素による 圧縮あるいは膨張を利用によるもので、これによって省エネが実現できるという。
例えば、給湯器の場合、湯を炊き上げるエネルギーが、ヒートポンプを利用することによって、ヒーター加熱などに比べて 20% 程度に抑えられるという。非常に省エネ効果が高い。またエアコンの暖房は、最近の省エネ機種では、灯油によるファンヒーターの 60% 程度になるという試算も書かれている。
ヒートポンプの給湯器は日本がパイオニアで、2001年に初めて発売され、累計出荷台数は 2009.12 には 200万台を突破。(この書には記載がないが、その後 2019. 6 には 700万台を突破)
また性能も改善してきている。そのスピードは今は非常にわずかになってきているが・・・。
この書には、その熱源・圧縮方法・動力源・冷媒などが詳しく記載されている。
蓄熱システムについて。暖房~温水供給用の蓄熱 と その逆の蓄熱? があるが、その蓄熱をするための電力などの使用の時間帯を自分にとって、社会にとって有利なようにずらすことができる。そのことによって、省エネになり、また社会にとってはピークの電源を減らすことができ、発電設備を少なくすることができるという。これが企業だけでなく、家庭のような小さな設備でも実用的なものかどうかは、記載されていない。
ヒートポンプについても、蓄電システムについても、機械の回路図が比較的詳しく書かれているが、価格については記載されていない。また低周波音の問題についても全く触れられていない。価格も低周波音の問題もナイーブな話題だとは思うが・・・
「トコトンやさしい・・・」とあるが、そうではないと思う。この書の最もふさわしい対象者は、技術者(入門書)、これらの設備を自施設に導入しようとしている企業の人だろうか ?
執筆者は7人でほとんどが(財)ヒートポンプ・蓄熱センターの方。監修者は東京電...
全文を表示
貸出不可(未所蔵)
(1人)
24. スタンフォード式人生を変える運動の科学
大和書房 2020.4
ケリー・マクゴニガル 神崎朗子
中務光人 さんの評価:
著者はスタンフォード大学の心理学者。本の表題は元々は "The joy of movement"。
運動というと、「強い運動」がイメージされるが、この書の中に挙げられているのは、それ以外のこと、皆でリズムを合わせて同じ動きをする、音楽を聴きながらする軽い運動、困難と思ったことをやってみる、木々に囲まれたところを散歩する、なども含まれているので、日本語では「運動」よりも 「行動」・「活動」 の方がよいかも知れない。
「私達の気分をよくする」 ・ 「自信をもつ」 などが得られるような行動・活動がいくつかあげられている。
(1) 運動 (持久的な運動)
人は運動をすると、 The Runner's High(ランナーズハイ) と呼ばれる高揚した気分になり、うつ的な気分から解放され、他人とも協調的になり、また運動をしたいと渇望するようになる。これは麻薬のような薬物依存に似た状態で、カンナビノイドと呼ばれる物質を介するものと考えられている。ただこのような状態になるためには、自分にとってややきつい運動を20分以上続けることが必要で、依存的なまでに好きになるためには、6週間くらい続ける必要があるという。そして、人類がこのような習癖を持つに至ったのは、100~200万年前頃からの、「獲物を追い続けなければいけないという」、生き残りをかけた進化の歴史があったと著者は推測する。
(2) 皆で合わせてする動き
皆で一緒にリズムに合わせてステップを踏むといった動きも、大きな高揚感・一体感~親近感・幸福感を生むという。これは現在よく行われているダンスのようなものが代表的であるが、軍隊の行軍なども大きな一体感・高揚感を生むという。これも進化の過程で、部族の~人類の生き残りに有利に働いたのではないかと推察している。
(3) 音楽を聴きながらの運動
好きな~勇ましい~思い出の曲を聴きながらすることによって、陸上競技の選手がよい成績を出したり、体の不自由な人が、普段以上のリハビリ効果を出したりする例が挙げられている。また疲労困憊している軍隊で、行軍ラッパと太鼓により行軍が可能になる。
(4) 困難な課題に挑む
高所から水中へのダイブのような勇気のいる行動、障害がある人が最初は不可能と思うような達成目標を立てて毎日がんばる、などをやりとげることは大きな自信につながる。
(5) 自然の中に身をおく
私達は何もしないでいる時、自分について、将来についてマイナス面を考えがちになる。特に屋内でじっとしている時にその傾向が強い。しかし、自然の草花・鳥のさえずりなどに接すると、そのような後ろ向きの気持ちが楽観的な気持ちにかわってしまう。
本書の中で通底してるのは、体を動かそう。がんばれる人は大きな目標をもってがんばろう。
運動することは、高揚感・自信を高め、他者との協調性・一体感をはぐくむ。
体を動かすことを鼓舞し、動機付けによい書だと思う。ただ、全文中大部分を占める体験談は良いことばかり。私のようなへそまがりは、裏側を知りたいな。とも思ってしまう。
著者はスタンフォード大学の心理学者。本の表題は元々は "The joy of ...
全文を表示
図書
貸出可能
(1人)
25. 藻類
生命進化と地球環境を支えてきた奇妙な生き物 ルース カッシンガー‖著 井上 勲‖訳
築地書館 2020.9
中務光人 さんの評価:
著者は科学に関する著作をいくつも書いているジャーナリスト?。訳者は藻類の研究者で筑波大学名誉教授。
藻類とは、細菌に分類されるシアノバクテリアから、こんぶのような大きな多細胞の生物まで
多様性に富むが、酸素産生型光合成を行うということが必須。
このうち最も原始的な生物であるシアノバクテリアは、殆んどの生物が棲めない「酸素がなく二酸化炭素で充満していた地球」を現在のような地球に変化させた。つまりシアノバクテリアがなければ、高濃度の二酸化炭素によって高温であったし、酸素を必要とする生物は存在しえなかった。
藻類は、過去の地球に大きな貢献をしただけでなく、現在も、自然界では、植物プランクトンとして食物連鎖の底辺に位置し、生物界を支え続けているし、またサンゴは、褐虫藻と呼ばれる藻類の一種との共生によって生命を維持し、魚たちに生活の場を提供している。勿論海藻は、私達に貴重な栄養を提供しているし、さらに、私達が魚から摂取しているヨウ素やω3脂肪酸も藻類に由来する。
ただ、藻類もよいことばかりではない。藻類が大繁殖すれば、赤潮・アオコといった湖や海の生態系に大きな悪影響を及ぼし、経済的にも大きな損害を与えられる。ただ、これらの繁殖は、肥料や排水などによる湖の富栄養化・地球温暖化による高温・環境中の二酸化酸素濃度の増加など、私達の責任である部分も多い。
藻類の種によっては、神経毒などで、魚類・鳥類、時には人も犠牲になることもある。
今後のこととしては、藻類は増やしやすいこと、遺伝子的な操作が比較的容易であること、生命倫理を考える必要がない(~少ない)ことなどから、様々な工業的な進歩が期待される。
それらは、作物の肥料や養殖魚の飼料、サプリメント(蛋白, ω3脂肪酸)、生分解性プラスチック、ガソリンやエタノール燃料等々。特に後二者(プラスチックと燃料) は、コストでまだ少ししんどい面があるが、かなりよいレベルまで到達しているとのこと。これらもいずれはクリアできるだろうから、「地球の未来も私が想像しているよりは明るいものになるかも知れない」と、この本を読んで感じた。藻類というのは、これから大いなる発展の期待できる分野のようである。
この本には生物学的な記載・説明が少なく、地球環境とそれにまつわる産業の進展が主題のようである。そのため私のような素人には、別途 Wikipedia 等を参考にする必要があった。
著者は科学に関する著作をいくつも書いているジャーナリスト?。訳者は藻類の研究者...
全文を表示
図書
貸出可能
(6人)
26. 食べる投資
ハーバードが教える世界最高の食事術 満尾 正‖著
アチーブメント出版 2019.12
中務光人 さんの評価:
著者は、1957年生まれ。北大医学部卒業後、杏林大で救急医療に従事した後、ハーバード大学で栄養学を研究、
その後、アンチエイジング専門の満尾クリニックを開設。
第4章では(あまり)食べない方がよい食品。第3章では食べた方がよい食品。第2章はそのレシピ。
第1章はその他、血圧・コレステロール・その他のこと。
第3・4章ではよいことが多くよく書かれているとは思うが、根拠がしっかりと示されていない等、全体として雑な感じがする。
また高血圧の治療目標については、かなり片寄った(恐らく間違った)ことが書かれている。
著者は、1957年生まれ。北大医学部卒業後、杏林大で救急医療に従事した後、ハー...
全文を表示
図書
貸出可能
(1人)
27. 資本主義はなぜ自壊したのか
「日本」再生への提言 中谷 巌‖著
集英社インターナショナル 集英社(発売) 2008.12
中務光人 さんの評価:
かつて自由闊達だった頃の米国で生活し、経済学を学んだ著者は、その頃米国で主流であった新自由主義経済を信奉し、日本でも政府の研究会・会議で 「自由な経済」 ・ 「小さな政府」 の旗振り役の1人であった。
しかし、その後の (1) 不安定な世界経済 (2) 格差の拡大 (3) 環境汚染の拡大 などを見るに付け、それまでの考えを改め、自由すぎる経済の弊害を指摘し、政府の介入を促す考えにかわっていったという。
具体的な提言としては、格差縮小のため、消費税を還付つきで大幅な増税・税方式の基礎年金、ベーシックインカムなどの検討。
また、デンマークの素晴らしい労働環境を例示し、日本も不安定な非正規労働者をなんとかしなければならないと訴えている。
その他、環境政策・福祉に対する国の関与などについても提言している。
問題点、将来への提言。全て、現在の政府があまり考えていないような、しかしオーソドックスでよい提言だと思う。
消費税の増税も、税金の使い道にもよるが、むしろ格差是正につながるのだということは、私達国民もしっかり理解しておかなければいけないと思う。
ただ、この書の中で、アメリカのキリスト教と開拓精神が、環境破壊や他者への思いやりが少ないことにつながっていること。日本の古来からの 「自然界に宿る神々にまつわる信仰心が環境を守り、また日本という島国が他者への思いやりをはぐくんできた」 という著者の主張に多くのページが割かれているのは、どうかと思った。
最後に、著者の言葉を原文のまま引用してみる。
「いまさらすべての自由を諦め、計画経済体制や鎖国体制に戻ることはできない。
『自由』という禁断の実を食べた我々はそのために与えられる罰を甘受しながら、
しかし、その罰が致命的なものにならないうちに、『自由』の一部を統制に委ねる
覚悟が必要である。」
かつて自由闊達だった頃の米国で生活し、経済学を学んだ著者は、その頃米国で主流で...
全文を表示
図書
貸出可能
(15人)
28. 女帝小池百合子
石井 妙子‖著
文藝春秋 2020.5
中務光人 さんの評価:
「カイロ大学首席卒業」 という経歴はウソ。「卒業」 そのものが嘘であることも間違いなさそう。ということを、著者の信憑性のありそうな書きぶりから、そう確診した。
小池百合子氏の嘘は、これはほんの一部に過ぎない。それまで本人が発言してきたことが、映像として、また活字として残っているようなことでも平気で 「嘘の上書き」 (過去に言ったことを 「言っていない」 と言う) をしてしまう。
虚言癖だけではない。政治・経済などの世界で、力のある人には露骨なほどにうまく取り入ってよいポストを手に入れる。これを次々に繰り返し、用済みの実力者には疎遠になったり、時には攻撃さえもする。このような行動は、時には私生活にも及ぶ。
このような嘘や不義理があっても政治家として、まじめに取り組んでくれたらそれはそれでよいのかも知れない。しかし、大臣となった防衛省や環境省の仕事でもそうではなかったらしい。環境大臣の時に発案した "クールビズ"。これはよいアイデアだと思うが、このような「目立つちょっとした仕事」 はするが、「しっかり勉強してじっくり考えて物事を進めていく」 ということがないようである。(後者の内実については、私にはわかりませんが・・・。)
それに、自分にとってメリットのある上の者には取り入ろうとするが、自分より下と見なした者には容赦がない。官僚しかり、政治家仲間しかり。これが最も悪い影響を及ぼすのが政策にも反映されるということだろう。環境大臣をしていた頃、水俣病患者や石綿による民間被害者らにも、非常に冷たく接し、政治家としてやるべきことをやらなかった。テレビカメラの前では、よい政治家で、裏ではそうではない。
読み始めたころには、著者の書きぶりが 「あまりにも小池批判に片寄りすぎているのではないか」 と、異和感を感じていたが、読み進めてみると、それも十分に納得できる。著者は取材過程で、小池氏と直に接した人と会って話を聞く中で、そのような思い・考えを強くするのも当然と思う。
小池氏の父も大法螺吹きで、力のある者に取り入り、多くの人に金銭面などで迷惑をかける人だったようで、百合子氏もそれを受け継いだのだろうが、非情なところまでも受け継いだのだろうか ?
このようなおとなに成長してしまったのが、父の影響だけなのか ? 考えさせられる。
百合子氏は、最晩年になった時、やりがいのある人生だったと振り返ることができるのだろうか。幸せだったと感じることができるのだろうか。
「カイロ大学首席卒業」 という経歴はウソ。「卒業」 そのものが嘘であることも間...
全文を表示
図書
貸出可能
(6人)
29. 本当の貧困の話をしよう
未来を変える方程式 石井 光太‖著
文藝春秋 2019.9
中務光人 さんの評価:
著者が 40歳すぎの時の著書。著者は、大学生の頃から東南アジア・アフリカなどで貧しい人達と生活を共にしたような経験が豊富なようで、「貧困を専門にしている大学の先生」の話とはちょっと違う。いろいろな具体的な話がちらばめられていて、地に足がついている、経験に裏打ちされているという感じがする。「私達1人1人が、心を広く持って、ちょっとしたささいな手をさしのべるようにしなければいけない」という気にさせられる書である。
著者が 40歳すぎの時の著書。著者は、大学生の頃から東南アジア・アフリカなど...
全文を表示
貸出不可(未所蔵)
(1人)
30. 人類最強の「糖質制限」論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる
SBクリエイティブ 2016.4
江部康二 著
中務光人 さんの評価:
糖質制限食が糖尿病だけでなく、肥満、そして肥満もない健康な人にもよいということが
書かれている。著者お勧めの糖質制限の程度は強い方。
糖質制限の有用性は、恐らく、ある程度はその通りなのだと思うが、根拠の乏しいことも少なからず
書かれているので書かれていることに疑問を持ってしまう。
「意外と糖質が多い飲食物」 がよく書かれていては参考になる。
糖質制限食が糖尿病だけでなく、肥満、そして肥満もない健康な人にもよいというこ...
全文を表示
<
1
2
3
4
..9
>
(c) 甲斐市立図書館
loading...
貸出可能
河出書房新社 2020.9
貸出可能
中央公論新社 2020.6
貸出可能
日刊工業新聞社 2010.7
貸出不可(未所蔵)
ケリー・マクゴニガル 神崎朗子
貸出可能
築地書館 2020.9
貸出可能
アチーブメント出版 2019.12
貸出可能
集英社インターナショナル 集英社(発売) 2008.12
貸出可能
文藝春秋 2020.5
貸出可能
文藝春秋 2019.9
貸出不可(未所蔵)
江部康二 著