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レビュー一覧 (204件)
あめんぼうさんの投稿レビュー/東温市立図書館
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図書
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(5人)
1. 千日のマリア
小池 真理子‖著
講談社 2015.2
あめんぼう さんの評価:
8話からなる恋愛小説の短編集。
「過ぎし日の標」
母親の再婚相手ー義理の父親の弟は人気の映画監督だった。
彼に惹かれ、彼の別荘に通った日々の追憶。
「つづれ織り」
自分と兄を連れて離婚をした母親。
女手一つでミシンの仕事で二人の子供を養っていた母親の恋愛模様を思い起こす話。
「落花生を食べる女」
父親の愛人に恋焦がれ、その思いをずっと抱いたまま歳をとった男性。
「修羅のあとさき」
元彼女とよりを戻して、その時つき合っていた女性をふった男性。
その後、その女性は精神に異常をきたしてー。
「常夜」
小鳥をこよなく愛していた元夫が亡くなったと知り、その夫の姉の家を訪れる女性。
「テンと月」
夫を亡くし、夫の夢だったペンション経営の再開もやめて、東京で一人暮らししている高齢女性。
「千日のマリア」
義母が亡くなった。
主人公の男性は彼女と男女の関係をもっていた事を思い起こしていく。
「凪の光」
介護施設で偶然再会した高齢者の男女。
若い頃の追憶。
恋愛話が好きじゃないのもあるけど、どの話もとりとめがなくて、読んだはしから忘れてしまった。
レビューを書こうと思ったら1話目どんなんだっけ?と思い出せずざっと読み返さないといけなかったほど。
だから、駄作だというのでなく、これはストーリーを追うというより雰囲気を味わう本のように感じた。
読んでた時は嫌いな恋愛小説なのに、それなりに読めてたから。
ただ、同じような設定が多くて、登場人物も中高年と似たような感じなので、読んでいる時、ごっちゃになってしまった。
はっきり違いが分かったのは、「落花生を食べる女」と「修羅のあとさき」。
2話共、状況描写が素晴らしく、落花生というアイテムがきいてたし、状況が鮮やかにイメージできた。
反対に、最後の2話は読んでも読んでも頭に入ってこなかった。
8話からなる恋愛小説の短編集。「過ぎし日の標」母親の再婚相手ー義理の父親の弟は人...
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図書
(13人)
2. 口福のレシピ
原田 ひ香‖著
小学館 2020.8
あめんぼう さんの評価:
料理研究家の女性と、彼女の実家である料理学校を営む家で女中として働いていた女性の話が描かれている。
料理研究家の話は現代、女中の話は昭和の時代のお話。
二人の関係は料理を通してつながっており、実は血もつながっている。
時代が変わっても人が食材を料理して食べる事は変わらない。
その料理の様子、作っていく様子がとても生き生きと美味しそうに描かれていて、それを読んでいるだけで気持ちが柔らかくなる感じがした。
いい話だと思う。
料理研究家の女性と、彼女の実家である料理学校を営む家で女中として働いていた女性の...
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(5人)
3. 梅雨物語
貴志 祐介‖著
KADOKAWA 2023.7
あめんぼう さんの評価:
3話からなる短編集
「皐月闇」
一人暮らしの老いた主人公の男性の元に、元教え子の女性が訪ねて来る。
彼女は俳句をしている主人公に、自殺した兄の遺した句集を見て欲しいと言う。
闘病中の母親がその句集を焼き捨てろと言っている。
なので、その句集を読んで主人公がどんな感想を持つのか教えて欲しいと。
主人公は「皐月闇」というその句集を読み、中から十三句を抜粋する。
その十三句の中に、兄の犯した罪が露呈されていると彼なりの推理を教え子に話す。
それは沖縄の海で行方不明になり、殺されたかつての教え子の女性と重なってー。
私は俳句を日記がわりに作る事がある。それらの俳句は日記に書かれた文章よりも、読んでいるとその時の事を鮮やかに思い出させてくれる。
もしや、私が認知症になっても、それらの俳句を読むと記憶が呼び覚まされるのかも知れない。
そんな事を思う話だった。
「ぼくとう奇譚」
銀座にある、有名な小説家も訪れるような高級バー。
そこを訪れた主人公の男性は最近、黒い蝶の夢を見る。
そのバーでひと時を過ごした後、主人公は修験者装束の男に声をかけられる。
男は主人公はこのままでは死んでしまうと言い、それを避けるには自分の作ったお札を家に貼れと言う。
男の言われるまま過ごしていた主人公だったが、途中で修験者は急用で別の所へ行く事になり、他の修験者が家を訪れる。
その男は家中のお札をはがすよう忠告し、言われるままにした主人公は7人の花魁のいる遊郭の夢を見る。
7人の花魁の内1人が正解、他を選べば自分は死ぬ。
主人公が選んだのはー。
とても幻想的な話だった。
「くさびら」
軽井沢の別荘で過ごす工業デザイナーの男性。
彼はある日、庭の芝生にキノコが丸く円を描いているのを見つける。
それは「妖精の輪」と呼ばれるもの。
彼には妻と息子がいるが、二週間前から家出している。
その妻子と主人公の間をつなぐのが近くに住む従姉妹の男性。
従姉妹は主人公に代わり、ラインで妻とのやりとりをしてくれている。
やがて、キノコは増えていき、異変を感じた主人公は修験者となった知り合いの女性に何とかして欲しいと頼む。
以前から貴志祐介さんの本を読む度に、この人は博識で、一度興味をもったら何でもとことん掘り下げる人だな・・・と思っていた。
今回も、ぼくとう蛾や「妖精の輪」なんて存在をこの本で初めて知った。
ただ、俳句の事は自分が知ってるだけに、主人公達が俳句の一つ一つを掘り下げて解釈している様子を見ていると、それはどうだろ・・・と思ったりもした。
今までも私が知らないからすごい・・・と思ってただけで詳しい人が見たらそう思うのもあったのかもな・・・なんて事を思ったりもした。
それでも、抜粋した十三句を見ると中々なものだと思う。
主人公は駄作だとバッサリ切ってるけど、そこまででもないと思う。
この小説のために俳句の事を急きょ勉強して作ったのならさすがだと思う。
3話からなる短編集「皐月闇」一人暮らしの老いた主人公の男性の元に、元教え子の女性...
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図書
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(9人)
4. 終活中毒
秋吉 理香子‖著
実業之日本社 2022.8
あめんぼう さんの評価:
面白くて本自体薄いので数時間で読み終えてしまった。
今から終活を迎える人、迎えた人、その周囲の人を描いた4話からなる短編集。
「SDGsな終活」
主人公は余命わずかな妻の死を望む夫。
彼は今までも余命わずかなお金持ちの女性と結婚し、妻が亡くなる度に大金を手に入れてきた。
そして、今の妻は今までで一番のお金持ち。
結婚後、妻はSDGsにはまり、郊外の一軒家を購入。
地球に優しい暮らしを始めた。
そのせいか、妻はどんどん元気になっていき、彼女の死を望む夫は焦る。
今まで彼は殺人はおかした事が無かったが、妻の死を望むあまりに偶然死を企てる。
読んでいて、確かにこの女性とずっとこれからも生活するのかと思うとキツイと思った。
結末からして、この女性、結構したたかなんじゃないかと思う。
「最後の終活」
妻を突然事故でなくし一人暮らしの男性。
そこへ疎遠だった一人息子が訪れて、妻の3回忌を自宅でしようと提案する。
男性はそのため、家をリフォームする事に。
しばらくして息子が来なくなった事を心配した男性は警察に相談に行くがー。
これは途中で真相が読めた。だけど、良い話だしよく出来てると思う。
「小説家の終活」
一時売れたものの、今は世間から忘れられ筆を追った女流作家。
彼女の後輩の女流作家が亡くなり、その形見としてワープロをもらう事になる。
実は、主人公が小説を書けなくなったのは、その亡くなった作家が原因だった。
そして、そのワープロの中には世間に未発表の名作が保存されておりー。
「お笑いの死神」
余命数か月と宣告された売れないお笑い芸人。
彼は死ぬ前にP1グランプリで優勝すると決める。
そんな折、客席に黒装束の死神のような客が現れてー。
最初の話はイヤミスのようなちょっと恐い話。
そして、後は人情味のあるちょっと感動的な話。
さらっと読めるけど、きっちり読ませてくれた。
面白くて本自体薄いので数時間で読み終えてしまった。今から終活を迎える人、迎えた人...
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(7人)
5. よき時を思う
宮本 輝‖著
集英社 2023.1
あめんぼう さんの評価:
中国伝統の建築家屋、四合院造りの家。
その家主とそこを借りている親戚が外国にいる間、住んでいる若い女性。
この話は冒頭と最後は家主の老人、そしてそれ以外は若い女性が主人公となっている。
ほとんどが女性の話。
と言っても何もオチがある訳でなく、ただあらすじだけを書くと、その女性の叔母が90歳を迎える、そしてその誕生日会を晩餐会という形で開く。
その晩餐会まで、そして晩餐会で食事をする彼女と彼女の家族、叔母の様子が描かれているだけという身もふたもない話になる。
そして、冒頭と最後の老人の話は、長い事蟠りがあり連絡をとってない息子との話になる。
それだけの事・・・と言ったら悪いけど、それを小説に仕上げるのだからすごい。
そして、陳腐にせず空気感を味わう小説に仕上がっている。
変わらない宮本輝さんの世界が広がっていた。
時代遅れというのでないけれど、この時代には合ってない話だと思う。
だけど、それでいいし、それがいいと思える。
こんな世界、時代だからこそ、こういう世界がどこかに広がっている、存在しているのだと夢みたいと思った。
長い人生、色々ある。
死のうと思う事すらも。
そんな人生でも90歳の自分の誕生日会を開こうというのは何て豊かな人生だろうと思う。
自分の誕生日会を開いてもらうのでなく、自分が開く。
そして、自分の人生に関わりのあった人々に祝福してもらい、自分も感謝を御馳走とその空気感でお返しする。
幸せな人生というより、豊かな人生。
だから、あの時死ななくて良かった、という事でもない。
死のうと生きていようと自分で決めた事ならそれで良い。
そして、ラストの風景。
どこかで見た事のあるような・・・懐かしい情景だと思った。
主人公の若い女性の存在感が薄いと感じたけれど、それは彼女自身が個性がないのでなく、周りが豊かな人間性があり人生経験があるからだと感じた。
それを感じるための存在感の無さ・・・と言ったら、これも見もふたもないけれど、そのようにも感じた。
中国伝統の建築家屋、四合院造りの家。その家主とそこを借りている親戚が外国にいる間...
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貸出不可(未所蔵)
(3人)
6. ギリギリ
KADOKAWA 2018.11
原田ひ香
あめんぼう さんの評価:
正にタイトルがしっくりくる話。
主に三人の登場人物がいるけど、その三人、ギリギリの所でとどまっていた。
ギリギリの所でつながっていたんだな~と思った。
主人公は夫を過労でなくし、今は再婚している女性。
再婚相手は同級生でシナリオライターの男性。
彼は亡くなった元夫の母親ー義母と連絡を取り親切にしている。
それが主人公の女性は面白くない。
さらに、元夫には愛人がいた事が亡くなってから分かり、その彼女と定期的に会いたくもないのに会っている。
シナリオライターの現在の夫は仕事で葛藤しており、義母から聞いた話をシナリオにするも周囲の勝手な意見でシナリオはどんどん変わっていく。
そのシナリオの内容を読んだ妻は家出する。
不思議で面白いのは三人が亡くなった元夫を中心につながっているという事。
亡くなってから、亡くなる前から知っていた彼の事。
その様々な思い。
そして、現在の夫は元夫の事を知らないのに、いつも彼の存在を感じている。
と言うのも、現在住んでいる所は元夫と妻が購入したものだから。
どこか申し訳ないという気持ちがある。
こういう関係ってよくある・・・と言ったら悪いけど、そう珍しくもない。
だけど、そこにギリギリ感があるのは登場人物の性格なんだろうと思う。
自分はここにいていいんだ、という開き直り、何が悪いのよというドンとした感じがあれば違う話になってたろうと思う。
主人公女性が自分勝手だと思った。
何も言わず置手紙で家出するなんて卑怯だと思う。
言いたい事があればちゃんと言ってぶつかってみればいい。
そこまでしない所がまたギリギリ感を生み出してたのかもな・・・と思う。
とても薄くて読みやすい本で、すぐ読み終えたけれど、中々しみじみくるものがあった。
正にタイトルがしっくりくる話。主に三人の登場人物がいるけど、その三人、ギリギリの...
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図書
(12人)
7. 家裁調査官・庵原かのん
乃南 アサ‖著
新潮社 2022.8
あめんぼう さんの評価:
タイトル通り、家裁調査官をしている庵原かのんという若い女性の物語。
家裁調査官とは、かなりかみ砕いて言うと、罪を犯した人と裁判所との橋渡しをする役目らしい。
この本では、主人公のかのんは未成年の案件を扱っている。
彼らとその周囲の人間ー家族に聞き取りをして実情を知り、それを裁判所に上げる。
罪を犯した未成年の少年、少女にはそれぞれの事情がある。
万引きをする少年、自身も売春をして周囲の少女にも売春斡旋する少女、わいせつ行為をする少年、拾得物違法でつかまった少年・・・。
読み終えて、見事に最初の方の話は忘れていた。
それくらい私にはひっかかりがなかった。
何となく表面上の事をさらっと書いてるという感じがする。
タイトルにもなってるくらいだから主人公が個性的かと思えばそうでもない。
ただ、一生懸命仕事をしている、普通にいい人だという印象。
もちろん、それはそれで素晴らしいんだけど、物語としてはどこか面白味に欠ける。
むしろ、主人公の周囲の人の方が個性的だと思う。
動物園でゴリラの飼育係をしている婚約者や役者をしている弟。
罪を犯した方の話もどこかで聞いたような話で・・・とにかく印象に残らなかった。
家裁調査官とはこういう仕事でこんな事をしているとうのを見せてくれる話ではあった。
タイトル通り、家裁調査官をしている庵原かのんという若い女性の物語。家裁調査官とは...
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図書
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(14人)
8. 真珠とダイヤモンド 上
桐野 夏生‖著
毎日新聞出版 2023.2
あめんぼう さんの評価:
物語の時代はバブルの頃。
証券会社に働く三人の若い男女、特に女性二人が主人公。
フロントレディーいわゆる営業の女性、佳那と事務員の水矢子。
そして、佳那とつきあう事になる同期の男性、望月。
三人共、同僚や会社にどこかなじめず、2年を目途に辞めようとお金を貯めようとしている。
佳那はここではないどこかへ行くため。
水矢子は大学資金を貯めて東京へ行くため。
望月は金を得てもっと上に上がるため。
上巻ではそんな三人の様子を描いている。
とにかく読んでいて懐かしかった。
バブルというと、知らない人はテレビで見るたけだから華やかな面ーディスコで踊ったり、ブランド物を買ったりというのばかり見てそんな時代に生きた人間を羨ましく思うかもしれない。
だけど、その反面、過酷だったと思う。
今の時代しか知らないと、こんな事信じられない・・・と思うような事ばかり書かれている。
煙草の煙で職場内が真っ白になって服に臭いがつくだとか、当たり前のセクハラ、パワハラ発言。
男性は今よりも上昇志向が高くギラついてたし、男は仕事をするのは当たり前、残業もバンバンやってた。
そんな中で短大や高校を卒業したばかり、特に大きな後ろ盾もない三人が物語の中で必死で生きていっている。
その様子に引き込まれて集中して読めた。
文章ひとつでこんなに物語に入りこめるんだと思う。
タイトルの「真珠とダイヤモンド」は「牡丹と薔薇」みたいに二人の女性を例えたものだろうか。
それだと、華やかな容姿の佳那がダイヤモンド、シャープでおとなしい印象の水矢子が真珠だと思うけど。
二人共、好感がもてる人でいい人だと思った。
そんな水矢子が物語の冒頭で、住む所もなくホームレスになっている。
どうして、こんないい人が・・・いや、いい人だからこんなになっちゃったのか・・・。
その経緯が知りたいと思うから下巻が楽しみ。
図書館で借りて読む事になるけど、人気があっていつ読めるやら分からない。
だからちゃんと上巻を読んで、その内容を把握して覚えておこうとこのレビューを書いている。
上巻の後半ではヤクザが登場し、証券会社が舞台という事もあり、キナ臭い話になりそうな予感がしている。
この三人はいったん上がるかも知れない。
だけど、落ちるんだろう・・・その後。
そう思わせる。
早く下巻が読みたいな~。
物語の時代はバブルの頃。証券会社に働く三人の若い男女、特に女性二人が主人公。フロ...
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図書
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(3人)
9. 挿絵の女
単行本未収録作品集 有吉 佐和子‖著
河出書房新社 2023.3
あめんぼう さんの評価:
単行本未収録の6話からなる短編集。
「挿絵の女」
戦争の後遺症により記憶を無くした挿絵画家と無名の小説家。
二人は、一人の編集記者の女性により、相乗効果で徐々に売れるようになる。
編集記者と挿絵画家はつき合うようになり同棲するが、女性には気になる事が。
それは彼がいつも挿絵に描く女性の存在。
無くした記憶の中にいるモデルの女性とは彼にとってどんな存在だったのかー。
まるでその思いをかき乱すように、作家は新聞小説のモデルを挿絵画家にしたいと言い書き始める。
人の悪意を感じる作品。嫉妬の上にする行為としてははっきりそれと分からないだけに嫌らしい。
作家の嫌らしい人間性が見える。
「指輪」
作者と同名の女性作家。
彼女は推理小説を書かないかと勧められる。
その題材として、女友達が指輪を提供する。
そこにはイニシャルが刻まれていた。
その後、女友達は自殺。
主人公はイニシャルの謎を探るがー。
これも人の悪意や嫌らしい人間性の垣間見える作品・・・だけど、一度読んだだけで分からなくて読み返してしまった。
「死んだ家」
いつ亡くなってもおかしくない状態の旧家に君臨した老女。
彼女の一番愛して衝突していた娘は家出してそのまま。
しかし、もう亡くなる時が近いとして、老女にとっての孫娘をよこす。
彼女はそこで旧家の人間模様を見る。
「崔敏殻」
ああだこうだと理屈をつけて転生を拒み続ける罪人に頭を悩ます閻魔大王のコミカルな話。
有吉佐和子さんの本にしては珍しいタイプの話。
「秋扇抄」
しばらく景気の悪かった芸者が旦那の事業が盛り返した事により息を吹き返す。
彼女は馴染みの呉服屋にお金に物を言わせぬ着物を作りたいと頼む。
その着物を着た自分を名だたる画家に描かせるのだと言う。
呉服屋は期日までに素晴らしい着物をこしらえて用意する。
この話が一番面白かった。この短編集の中で一番有吉佐和子さんらしい話で、読んでいて作者の筆が乗ってると感じた。
残酷な話。
「鬼の腕」
若い頃に恋していた日本舞踊の踊り手と再会する男性。
素晴らしい踊り手となった老齢の女性は腕を痛めてー。
これも有吉佐和子さんらしい話。
この短編小説の書かれた年代を見ると、私の生まれた頃の話もある。
だから時代を感じるものもあるけれど、さほど古臭いとは思わない。
それは人の心というものを描いているからだと思う。
表面上、世の中の移り変わりと共に人の心も昔とは変わっているように見えるけど、根本的なものは変わってないのだとこれを見ると思う。
人の心を描ける作家は話のタネは無限だと思った。
単行本未収録の6話からなる短編集。「挿絵の女」戦争の後遺症により記憶を無くした挿...
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図書
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(12人)
10. 夜の向こうの蛹たち
近藤 史恵‖著
祥伝社 2020.6
あめんぼう さんの評価:
主人公は美しい女流作家。
編集者から新人賞をとった女性の事を聞いてその作品を読む。
実際にパーティーで出会ったその女性は美しいが、作品の印象とは違う人で興味をなくす。
代わりに、その作家の秘書である若い女性に彼女は興味をもつ。
主人公は同性愛者。
かなり年下のその女性に惹かれる自分を恥じるが、少しずつ交流をもつようになり、彼女の性格を知るにつれ、主人公の中である思いが生まれる。
さらっと読める本だけど、特に何か残るようなものはなかった。
登場人物がほとんど女性で、覆面作家のくだりもあり、「はぶらし」のような感じかと思ったらそんなにヒリヒリくるものもなく・・・。
さらっとそうなんだ~と読んで終わりという感じだった。
主人公は美しい女流作家。編集者から新人賞をとった女性の事を聞いてその作品を読む。...
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(c) 甲斐市立図書館
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