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甲斐市立図書館
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レビュー一覧 (204件)
あめんぼうさんの投稿レビュー/東温市立図書館
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図書
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(8人)
11. ボトルネック
米澤 穂信‖著
新潮社 2006.8
あめんぼう さんの評価:
主人公の高校生の少年は兄が亡くなった日、東尋坊にいた。
そこは2年前に恋人の少女が転落して亡くなった場所。
花をたむけて帰ろうとした所を彼は眩暈に襲われ崖から転落してしまう。
死んだと思った彼は何故か金沢の市内にいた。
訳の分からないまま家に帰ると、そこには同年代の見知らぬ少女がいた。
彼女と話している中で、この世界は彼だけがいないパラレルワールドだという事が分かる。
何故、こんな事になったのか。
そして、元の世界に帰れるのかー。
あまりに残酷な結末だった。
つらすぎる。
SFチックではあるけど、さほど壮大な話という訳でなく、とにかく結末が全てという話ではあった。
ボトルネックとは瓶のくぼみのようなもので、それがあると流れがスムーズにいかないらしい。
それが自分だなんて思うと・・・。
何か、もう一つ踏み込んで希望のようなものが欲しかった。
主人公の高校生の少年は兄が亡くなった日、東尋坊にいた。そこは2年前に恋人の少女が...
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図書
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(42人)
12. 黒牢城
Arioka Citadel case 米澤 穂信‖著
KADOKAWA 2021.6
あめんぼう さんの評価:
物語の舞台は、戦国時代の有岡城。
その城の城主、村重は織田信長と敵対しており、籠城戦をしている最中。
その有岡城を黒田官兵衛が訪れ、降伏を勧めるが、その官兵衛を村重は殺さず幽閉する。
官兵衛を牢に閉じ込めて以来、有岡城では奇怪な出来事が三件起きる。
最初の出来事は、殺さぬと決めていた人質が何者かに殺された事件。
人質は矢により射抜かれていたが、矢はどこにも無い。
二つ目の事件は夜討ちをかけ討ち取った首がすげ替えられた事件。
そして、三つ目は、降伏の口利きを頼んだ僧が殺され、彼に渡していた家宝が持ち去られる事件。
その全てを解き明かすのが牢にいる官兵衛。
官兵衛は村重から事の次第を聞いて、それだけで事件の真相を解き明かす。
しかし、それを分かりやすく伝えない。
それらしい事をちらっと言う。
それだけで賢い村重は全容を察する。
これは本当にあった事なのか。
私は歴史に全く興味が無く疎いので分からない。
でも、事実あったとしても、創作が加わっている事は確かだと思う。
そして、こんな事を創作できるなんて・・・と作者の頭の良さに感服した。
城は人だという言葉があると思うけど、正にこの物語を読んで私が思ったのはその一言。
以前観た映画「300ースリーハンドレッド」だったかな?それを思い出した。
あれもほんの些細な事から有利だった戦況が逆転した。
城、城主から心が離れた家臣や民では城は守れない。
いくら城自体が堅牢でも脆い。
外でなく、内から壊れていく。
また、武士の心得のようなものもこの小説を読んで感じ取る事が出来た。
それは最近の時代劇では見られないものだと思う。
面白い発想、構想の話だけど、私は普段歴史小説を読まないので、とにかく読みづらかった。
だけど、私のような者向けに文章を読みやすく平易にしてしまうと良さがなくなっていたと思う。
物語の舞台は、戦国時代の有岡城。その城の城主、村重は織田信長と敵対しており、籠城...
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図書
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(4人)
13. 少年籠城
櫛木 理宇‖著
集英社 2023.5
あめんぼう さんの評価:
温泉街で食堂を営む男性。
彼が住む町で、河原で暴行を受けて殺された少年の死体が見つかる。
死体の近くに、評判のワル、15歳の少年とその子分のような少年二人がいた事から彼らが容疑者となり、警察は彼らを追う。
ほどなくして少年二人組は警察により発見されるが、警察を刺して拳銃を奪い二人組は逃走。
そして、主人公の営む食堂に逃げ込み籠城する。
その時、主人公と子供達4人、若い女性客が一人いたが、女性客は逃げて、主人公と子供達が少年達の人質となる。
立てこもった少年の要求は、自分達は人殺しをしていない、真犯人を見つけて自分達の無実を証明しろ、というもの。
その捜査に当たる刑事達の中に、最近は疎遠になっていた主人公の幼馴染の男性がいた。
彼は捜査にあたり真実を追求する。
そして、主人公は子供達を守るため必死に策を考え、犯人の少年達を刺激しないようコミュニケーションをとっていく。
読んでいる内に、作者の弱い立場の人達への愛情を感じた。
最初、この作者の書くこういった残酷な殺人が行われる小説は社会にはこういう側面があるんだと見せるものだったけど、今回はそこからまたさらに踏み込んで、その犯人たちにもこういった事情がある。
そして、本当に悪いのは彼らだけなのか?という所まで踏み込んでいる。
今までの小説では単純に残酷な事をする登場人物に怒りを覚えたり嫌悪感を覚えるものだったけど、今回は自分もこんな悲惨な事件が起きる一因になってるんだ・・・と思わされた。
もちろん、言うまでもなく犯人も子供達の親も悪い。
そこを擁護するのでなく、ただ、そこを責めるだけでは何も変わらないという事を見せてくれてると思う。
結局、個人レベルの話でなく社会全体がこういう事が起きる地盤を作り出している。
見て見ぬふりをする人。
そして、私のように危ういと思いながらも何かを積極的に調べようともしない人。
こんな親は、こんなヤツらはクズだとただ糾弾する人。
全てが作り出している物語だと思った。
そういう作者の思いを感じるからこそ、この人の書くセンセーショナルな内容はただただ嫌悪感を覚えて終わりにはならない。
問題提起している、と感じる。
ただ、こうやってレビューを書くと重苦しくなるけれど、その中の救いは主人公やその親友のような大人の存在。
そして、読後感も悪くない。
温泉街で食堂を営む男性。彼が住む町で、河原で暴行を受けて殺された少年の死体が見つ...
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貸出不可(未所蔵)
(1人)
14. 復讐屋成海慶介の事件簿
双葉社 2018.7
原田ひ香
あめんぼう さんの評価:
あまり期待せずに読み始めた小説。
思ったより面白く読後感も良かった。
タイトルと表紙がイマイチ。
まるで昔のティーンズ小説のようで、読みがいのないものだろうな~と思ったら、いい意味で予想を裏切ってくれた。
この物語の主人公は婚約破棄され、仕事も失い、相手の男に復讐を考えている女性。
彼女は公園で一人の男性と出会う。
彼はセレブご用達の「復讐屋」で、彼の事務所で再会した彼女はその事務所で働く事となる。
「サルに負けた女」
最初の話の依頼人はお金持ちのお嬢様。
復讐相手はサルの面倒にかまけて自分との婚約を破棄した男。
「オーケストラの女」
長い下積み後にオーケストラのコンサートマスターになった女性。
彼女の復讐したい相手は新しく指揮者となり、自分をコンサートマスターから引きずり落とした男と、自分の後釜に座った女性。
女性の方はメディアにも出ている有名人だが、ヴァイオリンの腕はさっぱり。
二人をオケから追い出して欲しいというのが彼女の依頼。
「なんて素敵な遺産争い」
勝手な家族に嫌気がさし、家出した妻を呼び戻して欲しいという老人。
その条件として遺産の一部を妻に渡すと言う。
「盗まれた原稿」
有名なシナリオコンクールで賞を取ったシナリオが実は自分の書いたものの盗作だという女性の依頼。
「神戸美菜代の復讐」
神戸美菜代はこの本の主人公の女性の名前。
つまり、彼女が自分を婚約破棄した男に復讐する話。
そして、意外な復讐屋、成海の過去の話も・・・。
どんな復讐をするのか?
そして、痛快な思いをさせてくれるのか?と思ったら違った。
どの依頼でも復讐屋は動かない。
だけど、どの話もおさまる所におさまる。
復讐をしない。
というのがこの復讐屋のポリシー。
まあ、こんなにうまくいく事なんてないだろう・・・とは思うけど、まあ、そうだよな・・・と納得できる事をコミカルにさらっと書いていた。
復讐をするなんてよくないなんて分かってる。
だけど、思い出すと憎たらしくてデスノートが手元にあれば・・・と何度思った事か。
人を傷つけたりいじめたりする人間は不幸だからそんな事をするんだなんて事も言うけど、実際は結構うまくやってて幸せそうにしてたりもするし。
それでも復讐はしない方がいいと、説教臭くなく説いている本だった。
あまり期待せずに読み始めた小説。思ったより面白く読後感も良かった。タイトルと表紙...
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図書
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(9人)
15. クロコダイル・ティアーズ
雫井 脩介‖著
文藝春秋 2022.9
あめんぼう さんの評価:
面白かった。
あっという間に読み終えた。
老舗の陶磁器店を営む店主の夫婦。
彼らには跡継ぎの一人息子がいたが、男に刺され殺されてしまう。
その男は息子の嫁と以前関係があった。
そして、男の最終判決の下った時、男は自分は嫁に頼まれて息子を殺したのだと訴えた。
その一言は店主夫婦ー特に母親に疑惑を抱かせ、事あるごとに彼女は同居する事になった嫁に違和感を感じるようになる。
自分の息子にDVを受けていたという嫁。
そして、息子の葬式で涙を流さずに噓泣きをしていたらしい嫁。
その事が心にずっと引っ掛かり、ただ一人の孫ももしや自分達の本当の孫ではないのでは?という思いにつながっていく。
読み終えた時に何とも言えない余韻を感じた。
しばらく考えないと飲み込めない。
それくらい私も登場人物ー特に店主夫婦の気持ちに寄り添っていた。
どこまで読んでもずーっと霧の中を歩いているような・・・とにかく真相が分からない。
もやもやしてしまう。
そこがこの本を読みたいと思わせる。
続きが知りたい。
結末がどうなるのか知りたい。
そう思うとページを繰る手がとまらなかった。
人は人を見る時、どれだけ自分の中のフィルターを通して見てるんだろう。
それが正しいかどうか分からなくても。
ただ、この話のような場合、誰でも同じように感じるだろうと思うし、今でも信じられない。
美しく、そつなく、品もある女性がたった一つの事で、一言で感情のない冷たい人間に見えてしまう。
一度そう思いこむとそこから抜け出すのは難しい。
そして、行動が悉く裏目に出てしまう人もいるんだな・・・と思った。
もしや、私もそちら側になる時も今まであったかも知れない。
こんなに考えさせられる話を巧みにさらっと書かれている事に感心した。
面白かった。あっという間に読み終えた。老舗の陶磁器店を営む店主の夫婦。彼らには跡...
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図書
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(30人)
16. チョウセンアサガオの咲く夏
柚月 裕子‖著
KADOKAWA 2022.4
あめんぼう さんの評価:
11話からなる短編集。
最初の話がちょっと恐い雰囲気の話だったので、全てそんな感じかと思ったら次の話は感動的な話。
そして、不思議な話、皮肉な話と様々な印象の話がつまった短編集。
「チョウセンアサガオの咲く夏」
認知症の母親の介護をずっと続けている孝行娘の裏の顔。
「泣き虫の鈴」
奉公に出され、そこで虐められてつらい思いをしている泣き虫の丁稚が、瞽女の少女との出会いにより強く生まれ変わる話。
「サクラ・サクラ」
太平洋戦争時のパラオの現地人と日本兵の感動的な話。
「お薬増やしておきますね」
自分を精神科医と勘違いしている患者と精神科医のやりとり。
「初孫」
子供が欲しいと願う夫婦に待望の子供が生まれたが、夫はその子供が自分の子供ではないと疑問をもち、DNA鑑定を依頼する。その結果は・・・。
「原稿取り」
作者から預かった原稿を電車で盗まれた編集者の話。
「愛しのルナ」
ルナという美しい猫を育てている女性はその姿をネットで公開している。そこで賞賛のコメントを浴びた彼女はー。
「泣く猫」
自分を捨てた母親の葬式をとりおこなう女性。
淋しい葬式に訪れたのは同僚だったというホステスの女性一人。
「影にそう」
2話目に登場した瞽女の少女の話。
「黙れおそ松」
漫画おそ松さんが登場。
長男、おそ松が神様になりたいという願い。
神様はおそ松がこれから何があってもしゃべらなければ願いを叶えると言う。
「ヒーロー」
恩師の葬式で再会した高校時代同じ柔道部だった三人。
その内の一人は将来有望な柔道の選手で今は警察官だと言う。
でも、会話の中で検察事務官の主人公はそれが嘘だと気づく。
それほど厚みのない本に11話もの話が収録されているので、どれもそれほど長い話ではない。
短いものだと数ページで終わる。
そうなると、あっさり流したように書かれたものが多い印象だけど、この本はそんな事はなかった。
どの話も芯が通ってると感じた。
芯というのは作者のきちんとした考え方に基づいた話というか・・・。
短いものなのに考えさせられたり、小さな感動があったり、構成の素晴らしさにうなったり・・・。
個人的には2話目の「泣き虫の鈴」が良かった。
「泣く猫」も何とも言えない余韻がある。
まるで短いドラマを見ているようで、本当にこのままドラマに出来ると思う。
最後の「ヒーロー」はなるほど、そういう考え方もあるか・・・と思った。
こういう場合、真相を分からないままにするのが大人の対応を思うけれど、そうでない、本当に相手の今後の人生を思うのなら・・・と。
この短編集は薄いし話はどれも短いけれど、内容は浅薄でなく厚みがあると思う。
11話からなる短編集。最初の話がちょっと恐い雰囲気の話だったので、全てそんな感じ...
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図書
(6人)
17. 4月1日のマイホーム
真梨 幸子‖著
実業之日本社 2023.3
あめんぼう さんの評価:
東京の不便な地にある5区画からなる分譲地。
そこは昔、女優が建てた高級アパートで大量殺人があったという都市伝説のある場所。
そこに引っ越してきた家族が次々と不幸に見舞われていく。
最初の話の家族は、書店員でエッセイ漫画を描いている妻とほぼヒモ状態の夫、娘。
思いがけないお金が手に入り、この分譲地の一画を買った。
引っ越してから同じ分譲地の住人の一人から引っ越しの挨拶としてエルメスの付箋をもらう。
そして、別の住人が挨拶に来るが、その奥さんは感じの悪い人で、引っ越しの挨拶の品は500円程度のたわし。
そのたわしを渡した家族は、人たらしの妻と車メーカーに勤めるイケメン夫、娘の構成。
引っ越してすぐその家族の家では異臭がして、その異臭の元であると思われる家に行くとそこにはー。
そして、医師の夫をもつ薬剤師の資格をもつ妻、子供の構成の家。
その家に、先に登場した二家族の妻が訪れて、死体を見た、その死体の近くにはこの家で配った挨拶の品があったというとんでもない事を聞く。
そして、これからどうするかという話し合いの時に彼女は大けがをしてしまう。
急に呂律が回らなくなった彼女の様子を見て、狂犬病ではないか?と疑問が上がり、その後、最初の話の妻も同じ状態に。
犬を散歩している所を見られていた彼女のヒモ同然の夫。
ゴミをあさっていたエルメス付箋の家の息子。
全て思いがけない真相と都市伝説の話に着地する。
分かりやすくて面白かった。
内容を見ると恐い感じだけど、全くそんな事なく、いつものように登場人物-特に女性達の心理が嫌らしく描かれている。
ミステリーとかホラーというより私にとってはコメディのような話だった。
あり得ないと思える設定だったからかも知れない。
でも、全く非現実的という訳でもなく、その辺のバランスがいい。
最初、各々の登場人物を丁寧に描いてた分、あの人は結末の時にどうだったんだろう?
結局、ヒモ夫の不機嫌だった訳は?とか、そんな事を考えたけど、それももう一度読み返せば分かるのかも知れない。
コロナもそうだけど、聞きなれている細菌がこんなにも恐いものだったとは・・・。
そんな事も知らずに生きている自分も恐いと思った。
東京の不便な地にある5区画からなる分譲地。そこは昔、女優が建てた高級アパートで大...
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図書
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(46人)
18. ミカエルの鼓動
柚月 裕子‖著
文藝春秋 2021.10
あめんぼう さんの評価:
主人公は医師。
ミカエルというロボットを使って最先端の手術を行う第一人者。
そんな彼の所属している北海道の大学病院に、以前東京の心臓センターで心臓外科医をしており、今はドイツにいる名医と名高い真木という医師が呼び寄せられる事となる。
彼はロボットを使う医療でなく、従来の方法で手術をする。
主人公とは全く真逆の立場の存在。
そんな折、心臓に疾患をもつ少年が転院してくる。
主人公は少年の手術をミカエルでしようとするが、それに真木は反発する。
少年の手術を通し、二人は対立しながらお互いを認め合っていく事となる。
構成がうまいな・・・と思った。
物語の最初に、誰かが山で遭難しかかっている描写がある。
そして始まった本編。
全く関係ない話がずっと続いていく中、最初の話はどうつながっていくんだろう?とずっと思い惹きつけられた。
途中で、ああ、そうか・・・と思いきや最後のエピローグでその予想が覆された。
でも、山登りの描写ではっきりと伝わるものがあった。
山を登る時、道なき道を行く、木につかまりながら登るという事をするという事は、生きようとしている事につながっているんだ・・・とこれを読んで思った。
自分が何故山を登るのか分からなかったけど、もしかしたら無意識の内に生きようとしている事を実感したいから登っているというのもあるのかもな・・・と思った。
主人公は最初、最先端のロボットを駆使して手術をし、大学病院の次期、病院長になると噂されるまでの人物という事で、功名心や出世欲の塊の人間かと何となく思っていたけど、全く違っていた。
そして、名医と言われるもう一人の医師も。
二人共、恵まれない子供時代を過ごし、苦労をしている。
そして、命というものに真摯に向き合っている。
医療のやり方は違うけれど、目指している先は一緒で、患者さんを救いたいと真剣に思っている。
二人共、とても好感のもてる人物だった。
それがこの物語を底上げしていると思う。
主人公は医師。ミカエルというロボットを使って最先端の手術を行う第一人者。そんな彼...
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(21人)
19. 夜の道標
芦沢 央‖著
中央公論新社 2022.8
あめんぼう さんの評価:
今まで読んだこの作者の本の中で一番面白かった。
一気読みした。
この物語の主人公は主に4人。
バスケをしている小学生の少年。
その少年の友達で、父親から車への当たり屋を強制されている少年。
殺人犯を匿っている女性。
殺人犯を追う刑事。
バスケの才能がある小学生の少年。
彼は父親から車に飛び込んで当たり屋をするよう言われている。
そして加害者から巻き上げたお金で彼らは生活している。
その事を知らない友人の少年は突然目の前で車に轢かれた友人の事を心配する。
彼らの住む地域で子供や親に人気があり、人望のある塾の講師の男性が殺される。
その殺人犯とされる男性は逃亡中に同級生の女性と出会い、彼女の家にかくまわれる事になる。
そして、その事件を追う刑事二人。
彼らの話がそれぞれの目線で進み、交錯していく。
途中から、何で殺人の話と車の当たり屋をしている少年が関係するんだろう?と思った。
何のために、この少年はこの物語に必要だったのか・・・。
それは後半の少年の言葉で分かった。
ああ、そういう事か・・・と。
そして、殺人の真相も思いもしないものだった。
ああ、それだから、時代設定を今から何十年か前の時代にしたんだな・・・と思った。
見た目は五体満足で心身ともに健康という人間が実は欠陥をもっているという事はあると思う。
そして、誰もが親の資質を持っている訳じゃない。
見るからに明らかに他の人と違う人と、見た目は他の人と一緒なのに欠けたものがある人。
子育てなんて無理だろうと皆が思うのに本人は子供が好きだという人と子育てが出来るのに子供が好きでない人。
世間の常識だとか、法律とか、そんなものはそこまで考えられていない。
杓子定規の正しさは皮肉で残酷だと思う。
最後、物足りないと思ったのは、男性を匿った女性のその後の話が無かった事。
そして、小学生の少年が今後どうなるのか?という事。
その辺が書かれてなかったのが残念だった。
今まで読んだこの作者の本の中で一番面白かった。一気読みした。この物語の主人公は主...
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(2人)
20. 統合失調症の一族
遺伝か、環境か ロバート コルカー‖著 柴田 裕之‖訳
早川書房 2022.9
あめんぼう さんの評価:
12人の子供の内、6人が統合失調症になった家族の実話。
子供は末の2人が女の子で、後の10人は男の子。
そして、統合失調症になった6人は全て男の子。
6人の子供が統合失調症という事は、この病気の発症は遺伝によるものが大きいのか、それとも別の要因か。
彼らの話と交互に、統合失調症の研究が当時・・・第二次世界大戦後から現代に至るまでの様子が描かれている。
結局、統合失調症というものが遺伝によるものか、他のものによるのかはっきりしない。
それはそうだろう。
今もこの病気で苦しんでいる人がいるという事は。
だけど、その研究にこの一家が大きな貢献をしたというのは確かだと思う。
一家の父親は軍人。
母親は多分、ずっと専業主婦・・・というのも、子供が12人いるから働く暇なんて無かった。
しかも、その内の6人が精神に疾患を抱えてたとなると・・・。
父親はもてる男性だったようで、浮気を繰り返し、母親はその父親に最初から首ったけで子供を産み続けた。
長男が統合失調症と分かったのは子供の頃でなく、青年期。
色んな挫折を経験した後。
他の子供達も概ねそうだったと思う。
彼らが病気になり、妄想で苦しみ、暴力的な事やおかしな言動を繰り返すのを他の子供達は家の中で見ていた。
そして、家にいるのがつらくて、皆早々と家を出て自立している。
特に犠牲になったのは11番目のマーガレットと一番末っ子のメアリーという女性二人。
彼女は彼らから性的暴力を受けている。
マーガレットは10代の頃に、他の裕福な家族に引き取られ、その後はメアリーがずっと一人犠牲になっていた。
でも、メアリーは一番たくましく、大人になってから病気を発症した自分の兄弟に一種の罪悪感を抱き面倒をみている。
マーガレットはなるべく家族と関わらないようにしつつも、同じように彼らの悲惨な境遇と自分の恵まれた今の境遇を比べて罪悪感を抱き援助している。
この話で脅威なのは、一家の母親。
ずっと、統合失調症の6人の子供達と過ごし、面倒をみ続けた。
正直、普通の神経では出来ない事だと思う。
統合失調症の事に関しては私は何も分からない。
ただ、自分が今いる集団ー例えば職場の人間関係で、白を黒という人がいて、それが当たり前の集団の中にいたら自分がおかしいのか?と思うようになるし、自分もそのようにふるまわないと・・・とはなる。
社会的に認められて、健全だと言われる人だってそんな人達はいくらでもいて、同じようにする人が認められる中、ここはおかしいんじゃないか?どうしたらよくなるんだろう?と考えられる人はとても勇気がある人だと思う。
それがこの本の中では末娘のメアリー。
もちろん、他の健康な子供達を批判にしている訳でなく、そこから逃げるのが当然な中、問題を直視し続けた態度はすごい・・・と思った。
12人の子供の内、6人が統合失調症になった家族の実話。子供は末の2人が女の子で、...
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