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少年籠城
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竜王図書館 <1012656995>
貸出可 / 1F棚15/913.6オオーコ / / /913.6/ク/  / 帯出可
詳細情報
ISBN 4-08-771827-0
13桁ISBN 978-4-08-771827-0
書名ヨミ ショウネン ロウジョウ
著者ヨミ クシキ リウ
分類記号 913.6
価格 ¥2000
出版者ヨミ シュウエイシャ
大きさ 19cm
ページ数 409p
抄録 地方の温泉街の河原で発見された子どもの惨殺死体。殺人の容疑をかけられた15歳の少年は、無実を訴えるため、警官から強奪した拳銃を手に子ども食堂へ立てこもり…。サスペンスミステリ。『小説すばる』連載を単行本化。
著者紹介 新潟県生まれ。「ホーンテッド・キャンパス」で日本ホラー小説大賞読者賞、「赤と白」で小説すばる新人賞を受賞。ほかの著書に「死刑にいたる病」など。
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自分も一因の物語
(2023/05/20)
あめんぼう/東温市立図書館
温泉街で食堂を営む男性。
彼が住む町で、河原で暴行を受けて殺された少年の死体が見つかる。
死体の近くに、評判のワル、15歳の少年とその子分のような少年二人がいた事から彼らが容疑者となり、警察は彼らを追う。
ほどなくして少年二人組は警察により発見されるが、警察を刺して拳銃を奪い二人組は逃走。
そして、主人公の営む食堂に逃げ込み籠城する。
その時、主人公と子供達4人、若い女性客が一人いたが、女性客は逃げて、主人公と子供達が少年達の人質となる。
立てこもった少年の要求は、自分達は人殺しをしていない、真犯人を見つけて自分達の無実を証明しろ、というもの。
その捜査に当たる刑事達の中に、最近は疎遠になっていた主人公の幼馴染の男性がいた。
彼は捜査にあたり真実を追求する。
そして、主人公は子供達を守るため必死に策を考え、犯人の少年達を刺激しないようコミュニケーションをとっていく。

読んでいる内に、作者の弱い立場の人達への愛情を感じた。
最初、この作者の書くこういった残酷な殺人が行われる小説は社会にはこういう側面があるんだと見せるものだったけど、今回はそこからまたさらに踏み込んで、その犯人たちにもこういった事情がある。
そして、本当に悪いのは彼らだけなのか?という所まで踏み込んでいる。
今までの小説では単純に残酷な事をする登場人物に怒りを覚えたり嫌悪感を覚えるものだったけど、今回は自分もこんな悲惨な事件が起きる一因になってるんだ・・・と思わされた。

もちろん、言うまでもなく犯人も子供達の親も悪い。
そこを擁護するのでなく、ただ、そこを責めるだけでは何も変わらないという事を見せてくれてると思う。
結局、個人レベルの話でなく社会全体がこういう事が起きる地盤を作り出している。
見て見ぬふりをする人。
そして、私のように危ういと思いながらも何かを積極的に調べようともしない人。
こんな親は、こんなヤツらはクズだとただ糾弾する人。
全てが作り出している物語だと思った。

そういう作者の思いを感じるからこそ、この人の書くセンセーショナルな内容はただただ嫌悪感を覚えて終わりにはならない。
問題提起している、と感じる。
ただ、こうやってレビューを書くと重苦しくなるけれど、その中の救いは主人公やその親友のような大人の存在。
そして、読後感も悪くない。

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