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レビュー一覧 (204件)
あめんぼうさんの投稿レビュー/東温市立図書館
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図書
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(4人)
201. ウェンディのあやまち
美輪 和音‖著
光文社 2018.4
あめんぼう さんの評価:
ずっと読みたいと思っていた作者の本。
・・・と言ってもこの人の本はまだ1冊しか読んでないけど・・・。
何せ寡作な作者で中々新作が出ないから忘れかけていた。
今回新刊本で見つけて即読んだ。
読み終えての感想は、期待を裏切らない本だったの一言。
この本の登場人物は主に3人の女性。
キャバクラで働いている時に知り合った男性と同棲を始めた、両親との確執を抱える千里。
殺処分されかかった動物を救助し、周囲には優しいと言われる杏奈。
彼女は結婚を控えていてその男性と同棲中。
まるで自分に罰を与えるように生きている、ラブホテルの清掃員として働く女性。
この3人の女性の話がそれぞれ描かれる前、物語の冒頭で幼い姉弟が両親の育児放棄により、弟は餓死、姉も重体というニュースが書かれている。
だから読んでいて、その酷い事をしたのはどの女性だろう?と自然に思いながら読み進める。
だから物語に引き込まれるし、その真相が分かる様もまるで解けていくという感覚で、実に自然だった。
読み終えて思ったのは何で罪悪感を感じる人は被害者の方なんだろう?ってこと。
もっと周囲に労わられてもいいはずの存在なのに、「もっと自分が何かできなかったか?」と責めて・・・。
それにひきかえ、加害者とは、加害者という意識もなく、むしろ自分こそが被害者だという顔をする。
それは漂白されたようなさっぱりしたものや無邪気な子供のようだったりする。
この物語では今まで聞いた事なかった毒の存在について書かれている。
私は人を傷つけて、その事に自覚がない人間はその毒のようなものだと思う。
最後の最後までどうなっちゃうんだろう?とハラハラしたけど、結末は本当に良かった。
そうなんだな・・・と思う。
罪悪感がないという人間もどこかに人間の心のかけらがあるなら自分のした事の自覚があって、時折何かの拍子にチクリと心を痛める事があるのかもしれない。
主人公の女性のした行為に拍手を送りたかった。
毒のような人間に、その人間のした事を言っても何も通じないだろう。
それよりも、あるかないかの心の欠片を自覚させる方がよほどある意味復讐になるんだと思う。
彼女に復讐してやろうという意識がなかったにしても・・・。
ずっと読みたいと思っていた作者の本。・・・と言ってもこの人の本はまだ1冊しか読ん...
図書
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(8人)
202. 震える教室
近藤 史恵‖著
KADOKAWA 2018.3
あめんぼう さんの評価:
悪くはない・・・んだけど、正直個人的に面白いと思えなかった。
何度も読んでいる途中で中断、所々斜め読みしながら何とか読み終えた。
主人公は志望高校を落ちて、両親の希望するお嬢様学校に入学した少女。
彼女はそこでちょっと不思議な雰囲気の少女と出会い、友達になる。
二人が入学したお嬢様学校は「学校の七不思議的」な不思議な話が噂されている学校で、何故か二人は一緒にいるようになってから怪異現象に遭遇するようになる。
それは、
ピアノ室で血だらけの赤い手を見た事から始まり、
バレエ科の少女にとりつく不気味な手。
アイドルのような綺麗な少女にとりつく白い熊のぬいぐるみ。
教師の背後にいる少女の幽霊。
保健室のベッドに横たわる少女の霊。
プールの底にいる焼けただれた人々・・・。
二人はそれらの怪異現象に遭遇し、それぞれの話ごとに事の真相を知ることとなる。
こうやって、ざっと内容を書くと面白そうなんだけど、何でか読んでいてちっとも中に入りこんで読む事ができなかった。
結末を知るまでの文章が退屈で、もっと知りたいと思う結末の先が書かれてないからだと思う。
特に印象に残るような話もないし、書かれている怪異現象が恐いかと言えばそうでもない。
真相が意外かと言えばそうでもない。
登場人物も悪くも良くもないと、特徴も感じず中途半端な印象を受けた。
それなのに、そう悪くないと思えるのはある意味、作者の力量かな・・・と思う。
この本にはプロローグ、エピローグ的なものがあり、それを見ると、この話、続編があるのかな?と思った。
悪くはない・・・んだけど、正直個人的に面白いと思えなかった。何度も読んでいる途中...
図書
貸出可能
(5人)
203. 首の鎖
宮西 真冬‖著
講談社 2018.5
あめんぼう さんの評価:
家族ー特に母親に縛られている女性が主人公。
彼女は稼業を手伝いながら母親の介護をしているが、家族はそれを当たり前だと感謝する事もない。
彼女は学生時代の恩師と不倫関係にあり、最初は彼女のそんな境遇に理解を示してくれていたその歳の離れた元教師も彼女とそういう関係になりたくて理解しているふりをしていただけで実際は何も分かっていない。
病院の精神科にかかっている彼女はそこで一人の男性と出会う。
彼は妻から精神的、肉体的暴力を受けている男性。
やがて二人はつきあうようになる。
そんな折、彼が妻を殺したという連絡が入り、二人は妻を山中に埋めるがー。
ストーリー自体は単調だし、主人公や他の登場人物の性格などからずっと重苦しい。
客観的に言うと、面白いと思えるものでもない。
ただ、個人的に主人公の女性の気持ちが理解できるし、共感できるから読んでいる間ずっとひきつけられ、不思議な引力を感じた。
家族ー母親に縛られている、というそその彼女の境遇や生き様や性格、そんなのが「分かってる人」が描いてる、と思わせてくれた。
これを外から眺めて、親から虐待を受けてる人ってこうでしょ、という目線で書いていたとしたらここまで惹きつけられなかったと思う。
ただ、そういうのが全く分からない人が読むと「何だ、こりゃ」になるし、主人公にイライラするんだろうな・・・と思う。
「首の鎖」は家族ー母親や妻に縛られて見えない鎖で首をつながれている人の事なんだろうけど、その見えないはずの鎖が見える人がいると私は思う。
それは多分、つながれている本人もそうだし、家族もそう。
そして、何故か全く関係ない第三者でも見える人には見える。
そして、そういう人はその鎖をもってそその人を操ろうとする。
その人間は家族によく似た人だったりする。
だから、家族から肉体的に離れたからといって「自由」になる訳じゃない。
本当の「自由」は自分の心の中にあるけど、それはすごく遠いな・・・、難しいな・・・とそんな事をこの本を読んで思った。
家族ー特に母親に縛られている女性が主人公。彼女は稼業を手伝いながら母親の介護をし...
図書
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(5人)
204. 滅びの園
幽BOOKS 恒川 光太郎‖著
KADOKAWA 2018.5
あめんぼう さんの評価:
ブーニーという謎の生命体に支配されつつある地球。
この話はそのブーニーに知らず知らずの内にとりこまれ、その中で生活するようになった男性やブーニーを退治しに行く者、ブーニーに家族を殺された人、ブーニーの中に入り、核を壊そうとする人々の物語。
こうやって書くと、まるっきり現実味のない話で、書きようによっては荒唐無稽で陳腐な話になってしまう。
だけど、この本は冒頭部、ブーニーの中に入ってしまった男が「いつの間にか」自然ととりこまれていたように、読んでいる私もすんなりとこの世界観に入り、陳腐だと読んでいて思うこともなかった。
どころか、読んでいて何となく哲学的な要素を感じた。
ブーニーの中は意外にも過ごしやすい。
山に行けば金塊やら宝石がころがっていて、それを売ればお金になる。
だから特に働かなくてもいいけれど、人々が働いているのは役割のため。
だというのや、
ブーニーの中にいると魔物が時折現れて悪さをするけれど、それはブーニーを退治しようとする地球人だったりする。
・・・というのは読んでいて考えさせられる。
どちらが悪というのは、その人の立場によって変わるんだな・・・と思うし、単純に、お金のために働くのじゃなく役割のために働く、というのはどういうのだろう?と考えさせられる。
何だかんだと自分の中で思考を巡らしつつ読んでいるとあっという間に読み終えてしまった。
ブーニーという謎の生命体に支配されつつある地球。この話はそのブーニーに知らず知ら...
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