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甲斐市立図書館
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レビュー一覧 (204件)
あめんぼうさんの投稿レビュー/東温市立図書館
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21. 私たちはどこで間違えてしまったんだろう
美輪 和音‖著
双葉社 2023.2
あめんぼう さんの評価:
最初から最後まで違和感だらけの話だった。
私はこの作者の書く本が好きで、今まで読んだ本はどれも面白かったのに、これは初めてどうした?という感じになった。
まず、登場人物の言動があまりに単純で幼稚すぎる。
そして、感情がおざなりになってる。
近しい人を亡くしたばかりなのに、その悲しい気持ちが伝わってこない。
そして、普段優しい人も一つの事件を通して、人格が豹変する・・・という事を表すために、あまりにも分かりやすく、「看守役」を悪人にしようとしている風に見えた。
小さな町で暮らす幼馴染の少年少女三人。
この物語の主人公はその内の一人である、高校生の仁美。
彼女は幼馴染の修一郎に思いを寄せている。
そして、もう一人は涼音という美少女。
町で恒例のお祭が開催される事となり、仁美の母親は好評のおしる粉を作り担当を任される。
その手伝いを仁美や涼美もするが、そのお汁粉に農薬が入れられ、お汁粉を作った仁美の母親、修一郎の妹、涼美の弟妹が亡くなる事件が起きる。
小さい町は犯人が誰なのかで騒然とし、犯人と思われる人物は糾弾されていくー。
やがて、犯人は自供により捕まって解決したと思われたが、真犯人の疑惑が浮上してー。
話に入りこむ事が出来なくて、少し読んでは中断した。
とにかく、どの登場人物にもこの時にこの態度?こんな汚い言葉遣い?普段優しい人間が?など小さな違和感の積み重ねで共感するのが難しい。
特に主人公の後半にした行為。
何で今そんな事を?となる。
それも、これもストーリーを動かすためだけの事としか思えない。
この物語は、ざっとあらすじを読んで、当時のニュースを知っている人ならパッと思い浮かべる通り、和歌山のカレー毒物事件を彷彿とさせる。
そして、それに併せて、実際にアメリカで行われた監獄実験も盛り込まれ、そちらの話がこの物語で作者の言いたい主題になってると思う。
でも、どちらも中途半端な使われ方だと思った。
監獄実験の方は映画にもなっており、そちらを観た事があり、それは深く考えさせられる内容だった。
この本はそこまでには全く至らない。
ただ、自分の実体験と合わせて、人は誰かターゲットにして、はっきりとした悪を作りたがるし、常に看守役になりたいものではあるな・・・と思った。
最初から最後まで違和感だらけの話だった。私はこの作者の書く本が好きで、今まで読ん...
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図書
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(7人)
22. アナベル・リイ
小池 真理子‖著
KADOKAWA 2022.7
あめんぼう さんの評価:
この話のあらすじだけ読んだらありがちで、どうって事ない話だと思う。
それが小池真理子さんが書くと、先がどうなるのか知りたいと惹きつけられるし、ゾクッとくる恐ろしさを感じる。
状況だけならもっと恐くてドラマチックな話はいくらでもあるのに、そうでないものをこんな風に書ける・・・流石プロだな・・・と思った。
主人公は、バーでアルバイトをしているイラストレーター志望の若い女性。
彼女の働いているバーは、明るく飾らない性格のママと彼女の二人で切り盛りしていて、そこの常連客に魅力的な男性がいる。
主人公も、ママも彼にぞっこんで、ママは以前彼と関係をもった事がある。
所が、ある日、彼が一人の女性を連れて、バーを訪れる。
連れて来た女性は売れない舞台女優で、偶然つかんだチャンスで、念願の主役を演じたにも関わらず、あまりにも酷いその演技に周りにあきれられ、本人も自分の才能の無さを自覚している。
そんな女性をフリーライターである、魅力的な男は愛し、結婚する。
そして、何故か主人公はその売れない女優に気に入られ友達になるが、彼女は突然亡くなってしまう。
それから、主人公、バーのママの周辺で不気味な出来事が起きるようになる。
読んでいて、さほど恐い筋の話でもないのに、ゾクッときた。
はっきりと状況、情景が想像できたから。
そして、読み進める毎に、亡くなった女優に腹が立った。
何これ?お角違いじゃないの?
こっちがあんたを恨みたいわ・・・と、作中の人物の気持ちになった。
でも、結末を見て、何か、憎めなくなった。
そんな女だから、女がほっておかない魅力的な男も魅了されたんだろうと思う。
それにしても、もてる男は・・・女性もだけど、罪つくりだと思う。
どこで、自分の知らない内に念を飛ばされてるか、執着されてるか分からない。
この話のあらすじだけ読んだらありがちで、どうって事ない話だと思う。それが小池真理...
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図書
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(4人)
23. ドラゴンズ・タン
宇佐美 まこと‖著
新潮社 2022.9
あめんぼう さんの評価:
時代を越えた歴史小説。
古代の中国から一番最後の話は現代の日本まで。
5章に分かれて書かれている中で共通しているのは妖狐の存在とドラゴンズ・タンというもの。
それは何なのか?
最終話で分かる。
ああ、落としどころをここにしたくて書いたのかと思った。
とにかく読みにくかった。
人の名前が難しい漢字なので覚えにくいし、最初の話を読んだ時、この時代のこの流れでいくのかと思いきや、章が変わるごとに、その難しい名前を憶え直して新しい話に入らないといけない。
途中から話に入れなくて、後半は斜め読みした。
第1章は、古代の中国を舞台とした、物語の軸となるドラゴンズ・タンー竜舌の誕生の物語。
続く第2章からはそれに関わる事となる人々の話となっている。
レビューを書こうと思ってパラパラッと読み返すもあらすじを書けない。
きちんと読めてないけれど、あらかたのストーリーも結末も分かった。
その結末がどうも、あまり好きになれない。
最初の大昔の中国舞台の話で、あの登場人物で話が進めばストーリーに入れたかもな・・・と思う。
時代を越えた歴史小説。古代の中国から一番最後の話は現代の日本まで。5章に分かれて...
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図書
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(6人)
24. 秋雨物語
貴志 祐介‖著
KADOKAWA 2022.11
あめんぼう さんの評価:
ちょっと奇妙で不気味な雰囲気の4話からなる短編集。
「餓鬼の田」
社員旅行で意中の男性と話す機会を得た女性。
彼はモテそうなのに誰にも愛されない事が悩みだと言う。
そして、そこには過去の因縁が関係しているのだと言う。
「フーグ」
主人公は編集者の男性。
彼は連絡が取れなくなった作家の自伝的な小説を受け取り読む。
そこには、眠れば別の場所に知らない内に飛ばされる、そんな不思議な体験をずっとしてきた作家の苦悩が綴られていた。
作家はそれを防ぐために霊能者に相談、一時は成功したように感じたがー。
「白鳥の歌」
小説家の男性は、ある自伝を書いて欲しいという依頼を受けて京都の資産家の男性の家を訪れる。
資産家は音にこだわりのある男性で、彼から聴かされたある女性のレコードは信じられないような声だった。
その声はどこから生まれたものかー。
「こっくりさん」
こっくりさんをする4人の男女。
そのこっくりさんをすると、メンバーの誰かが死ぬが他の人間の願いが叶うと言う。
どれも結末はこれで終わり?という感じで物足りない。
ただ、フーグなら夢遊病の話、白鳥の歌なら音というものについて、作者の豊富な知識が綴られていて、文章も魅力的なので、さほど興味もない分野の話なのに読まされる。
得もすると、荒唐無稽で浅い話になりがちな話ばかりなのに、もしかしてあるかも・・・と自然に読ませる所はさすがだな・・・と思う。
ちょっと奇妙で不気味な雰囲気の4話からなる短編集。「餓鬼の田」社員旅行で意中の男...
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図書
(7人)
25. さっちゃんは、なぜ死んだのか?
真梨 幸子‖著
講談社 2022.11
あめんぼう さんの評価:
相変わらず登場人物が多く、誤解を招いてそれで結末であっとさせるため、複雑なストーリー構成・・・だけど、今回はまあ、内容を理解できたと思う。
主人公の女性は、氷河期時代に生まれて、今も貧困にあえいでいる女性。
彼女は自分の家の近くでホームレスの女性が殺された事を知る。
殺された女性は主人公が働くカフェの常連で、しかも彼女が今住んでいる前の住人だった事も分かる。
さらに、たまたま知り合ったマッサージ師もホームレスの女性と縁があった事を知り、不思議な縁を感じた主人公は殺されたホームレスの女性の事をたどっていく。
後半は別の主人公が登場。
彼は記者で、偶然知り合った女性から保護猫を押し付けられる。
その猫には迷子になった際にとチップが埋め込まれていて、そこから辿った元飼い主はホームレスの女性を殺害した犯人。
記者魂に火がついた男性は事件の事を探っていき、もしや事件は冤罪だったのでは?という疑いをもつ。
さらに現れた、監視カメラに映った不審人物。
その人物の事を探っていった中で、ホームレス女性と犯人との関係が見えてくる。
その二つのパートの話を踏まえてのラスト。
どんでん返しー。
この作者の話ではよくバブル時代の話が出てくる。
今回はそれに氷河期時代の話も。
結局、バブル時代に生きたからって得した人ばかりではないし、氷河期時代でもちゃんと運をつかんでる人はつかんでる訳だけど、ひとくくりにしたくなるのが世間なんだろうと思う。
その時代で浮上しなかった人達ばかりが登場する話。
何だか複雑そうでいて、結末は割とシンプルだったりする。
この本の中で誰かが言ってた言葉にリンクしているな・・・と思った。
相変わらず登場人物が多く、誤解を招いてそれで結末であっとさせるため、複雑なストー...
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図書
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(20人)
26. 燕は戻ってこない
桐野 夏生‖著
集英社 2022.3
あめんぼう さんの評価:
主人公は北海道から上京して、派遣で病院事務の仕事をしている女性。
彼女は常にお金が無くて、同じようにお金に困っている友達とエッグドナーに登録し、卵子を提供してお金を得る事にする。
その登録先で彼女は思いがけず、代理母になる事を提案され、悩んだ末に受け入れる事に。
代理母を希望するのは有名なバレエダンサーの男性とその妻。
妻の方は代理母について乗り気ではないが、夫の熱意にほだされて渋々受け入れた。
そのため、二人はいったん離婚し、主人公とその夫が結婚する事に。
無事、子供が生まれたら、主人公と離婚、二人はまた再婚するという事になった。
代理母になる代わりに、大金を手に入れる事になった主人公の女性は北海道に里帰りするが、その時以前つきあっていた男性と再会し、性的関係を結んでしまうー。
読んでいて途中まで、こういうのって結局傷つくのは女性だよな・・・と思った。
不妊治療で痛い思いをするのも、出産の痛みを味わうのも。
だけど、主人公が妊娠した時点で、ああ、男性はどんなに努力してもこの思いを味わえないんだ・・・と思った。
どんなに自分一人で努力しても叶わない。
それもある意味、痛みなのかも知れないと思い当った。
それにしても、代理母って何て大変でリスキーなんだろうと思う。
せっかく夫婦仲がうまくいってても、日本の今の現状では離婚して代理母と結婚しなきゃいけない。
もし、夫がその女性を本当に好きになったら?とか、子供を手離したくないと代理母が言い出したら・・・とか。
ラストの主人公の行動は、人間はやはり感情があって機械じゃないんだって事を見せてる。
そういう衝動って、理屈じゃないんだろうと思う。
主人公は北海道から上京して、派遣で病院事務の仕事をしている女性。彼女は常にお金が...
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貸出不可(未所蔵)
(4人)
27. 残酷依存症
幻冬舎 2022.4
櫛木理宇
あめんぼう さんの評価:
面白くあっという間に読めてしまった。
けれど、物足りないとも思った。
それは内容が物足りないというよりもボリューム的に。
もっと、登場人物それぞれの心情を読みたかったと思う。
サークル仲間の大学生3人がサークル名義で借りている一軒家に監禁される。
彼らは薬を飲まされ、その間に両足の指を4本切断される。
やがて、目を覚ました3人は自分達が何者かに監禁されている事を知る。
彼らを監禁した犯人は、彼らにお互いの体を傷つけるようにパソコンから指令する。
指、歯、目・・・。
そんな中、お互いへの憎悪やそれまでたまっていた互いへの不満が明らかになっていく。
それと別に、彼らの仲間である女性が無残な姿で死体となり発見される。
その事件を追う刑事達。
その中で見えてきたものはー。
そして、話の合間に入る猫の話をする老女は誰なのかー。
監禁された男達の拷問の様子、痛みの様子が素晴らしい文章で書かれていて読んでいるだけで顔がゆがんだ。
それくらい痛みが伝わるのに、彼らが可哀相だとは全く思わなかった。
むしろ、指、爪、歯、目・・・その程度でなく、もっと痛がっている様子を見たいし、お互いをもっとののしりあっている醜い様子が見たかった。
彼らよりも彼らにひどい事をされた人たちの方がよほど可哀相だと思う。
特にある女性は・・・。
もう、想像しただけで可哀相でたまらない。
心が痛んだ。
加害者も親や環境の被害者で、同情できる面もあるとも言えるけど、彼らには一切同情心はわかなかった。
普段、仲良くしてると言っても何てもろい関係性だろう。
一時的であっても自分の仲間にひどい事をして、それを正当化するために逃げた被害者が悪いとさらに追い打ちをかける。
十分、自分はその行為の中にいるくせに、心の中では、
自分は主導者じゃない。
本当はしたくなかった。
と自分を正当化する。
そんな割とどこにでもいる弱い人間がイジメを増長させるんだと思う。
この本では加害者の一人の心情しか描かれていない。
他の二人の心情はどうなのか知りたいと思ったし、その他の登場人物の心情も描いて欲しかったと思った。
だから物足りないと思ったけれど、すぐに読める面白い本だった。
内容的には面白いというのは不謹慎だけど。
面白くあっという間に読めてしまった。けれど、物足りないとも思った。それは内容が物...
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図書
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(4人)
28. 紙の梟
ハーシュソサエティ 貫井 徳郎‖著
文藝春秋 2022.7
あめんぼう さんの評価:
人を一人殺したら即死刑判決になるという世界の物語。
罪を厳罰化する事をある意味、皮肉に描いている。
「見ざる、書かざる、言わざる」
デザイナーの男性が何者かに襲われ、両手の指を切断され、舌を切り取られ、目は失明に至る傷を負わされる。
そんな状態でも彼は生きている。
でも、クリエイティブな仕事をしている人間にその状況は死ぬよりも厳しい。
しかし、生きているという事で犯人は死刑にはならない。
「鍵の中の鳥たち」
大学の写真同好会のメンバー男女6人。
その内の一人が所有している別荘を訪れ合宿していた所、メンバーの女性が一人の男に襲われる。
それを制止しようとして思わず男を殺してしまったメンバーの男性。
彼らは事件を隠蔽しようと決めるが、その後、メンバーが一人一人殺されていく。
犯人はこの中の誰かには違いないがー。
「レミングの群れ」
いじめにより自殺した少年の仇を討つとして、ネット上に拡散された情報を元に加害者が殺される事件が起きる。
その事件を起こしたのは自殺志願者。
どうせ死ぬのなら死ぬ前に世間の役に立ってから死のうという動機だった。
その後、それを模倣する事件が次々と起きて加熱していく。
その事件を冷静かつ冷徹に見ている人物がいた。
「猫は忘れない」
姉を殺したストーカー男を殺そうと計画する青年。
計画を実行するため、男の部屋に入った青年はそこで一匹の猫を目にする。
やがて、その猫により事件が発覚してしまう。
そしてさらに知る事となる真実はー。
「紙の梟」
以前バンドメンバーだった作曲家の男性。
彼にはつきあっている彼女がいるが、その女性が突然何者かに殺される。
それは顔をメチャクチャにつぶされるという恨みのこもった殺され方。
彼のもとを犯人の弁護士が訪れ、死刑を望まないで欲しいという話をする。
そして、犯人の殺害動機を話す。
殺された彼女は以前、男をだまして大金をまきあげ、自殺に追い込んだ。
それが彼女が殺された殺害動機。
さらに、彼女は偽名を使っており、その後の調査で彼の知らなかった彼女の姿が見えてくる。
さらに彼女の事を知りたいと思った彼はSNS上で情報を求める。
そこから得た情報は彼女の良くない噂ばかり。
だが、一人の女性から彼女を知っていると連絡があり、その人に会いに行く。
そこで知った真実はー。
表題の「紙の梟」は最後の真実というのが唐突で、それなのに驚くようなものではなかった。
ストーリーがどうのというより、メッセージ性の強い本だと思う。
罪を犯した人間を罰する。
それがどんどん厳罰化していく。
それでどうなるのか?という話。
人を一人殺したら死刑。
だけど、中には同情できる殺害もあるし、殺してるより悪い事をしてるというのもある。
最後の話では犯行を犯した犯人に反省する機会を与えて欲しいと被害者の関係者も思う。
決りというものはどこかで線を引いて決めなければいけないけれど、それはどこかで無理を生じてしまう。
あらゆる人にあてはまる万能な法も裁きもないというのは確実に言えると思う。
人を一人殺したら即死刑判決になるという世界の物語。罪を厳罰化する事をある意味、皮...
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29. 夢伝い
宇佐美 まこと‖著
集英社 2022.5
あめんぼう さんの評価:
11話からなる短編集。
どの話も不思議でちょっと不気味な味わいの話となっている。
11話も収録されているので短い話が多く、さらっと読める分、読んですぐ忘れるような話が多かった。
一番印象に残ったのはタイトルになっている「夢伝い」。
主人公は編集者の男性。
彼の担当している作家が小説が書けなくなったという連絡を受けて、彼は作家のいるさびれた田舎町を訪れる。
主人公には今悩みがある。
それは以前つきあっていた女性が突然現れて、彼の子供だという子供に引き合わせたという出来事。
何年か前に別れてから会ってないので、その子供は自分の子ではないと彼は言うが、彼女の方は彼が合鍵を使って部屋に侵入して来たのだと言う。
一方、小説が書けなくなった作家は今まで書いた小説は実は親友から構想を得ていたのだと話す。
「水族」
恋人を車の事故で亡くした女性。
彼女は恋人の死に水族館に勤めている彼の親友が関わっていると確信する。
「エアープランツ」
手癖の悪い女子社員が連続で無断欠勤し、その同僚である主人公が彼女の家に赴く。
そこにはエアープランツがあり、主人公はそれを持ち帰る。
それから異常な食欲を覚えるようになりー。
「沈下橋渡ろ」
生まれ故郷を訪れた男性。
そこに彼は暗い過去があった。
ひどい虐めにあった過去、そしてそれが耐えられなくなった頃、ちょっとしたいたずら心とある偶然が重なってー。
「愛と見分けがつかない」
教育虐待を受ける子供と恋人のモラハラに翻弄される女性。
女性は心霊スポットのトンネルである体験をしてー。
「卵胎生」
卵胎生のウミヘビを飼う根暗の男性。
彼に興味をもって声をかけてきた同僚にはある思惑がー。
「湖族」
従姉妹同士の男性二人。
彼らの住む土地には湖族という湖に住む人がいるという伝説があり、それと一人の女性を巡る男性二人の葛藤がいきつく先はー。
「巡り遍路」
幼い頃に会った女遍路の記憶。
「果てなき世界の果て」
リモートで彼女とつきあっている男性。
彼は彼女と結婚したいと思っているが、彼女の答えはー。
「満月の街」
自分の元から去った男性の行方を突き止めた女性。
彼らはまたつきあい始めるがそれは冷えた関係で、その訳はー。
「母の自画像」
亡くなった母親の事を話し始める父親。
母親は以前、一週間ほど姿を消していた事があった。
母親の行先は以前つきあっていた男性の所。
そこには母親が描いた、母の肖像画があると言う。
主人公の男性はその家を訪ねる。
そして知った不思議な出来事とはー。
このレビューを書くためにざっと本を読み返して、見事にストーリーを忘れてる話ばかりだった。
だから、つまらなかったというのでなく、物語の不思議さや不気味な感覚は残っている。
短編は入るのに時間がある程度かかる上、すぐ終わり物足りないと思うものが多いけど、これは物語に入りやすい本ではあった。
11話からなる短編集。どの話も不思議でちょっと不気味な味わいの話となっている。1...
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(5人)
30. シェア
真梨 幸子‖著
光文社 2022.3
あめんぼう さんの評価:
疎遠となっていた父親が亡くなり、その父親の遺産として新宿の古い家を相続した女性。
新宿にあるとは言え、その家はとても古く資産価値が低い。
そんな家を相続した彼女に、「ガラスの靴」なる不動産屋の男がその家をシェアハウスとして使用する事をアドバイスする。
その男の言われるまま、リフォームし入居者を募った所、6人の女性が集まる。
6人の女性の内、4人はキラキラネームで彼女達は「君の名は」というハンドルネームの男性と知り合い、シェアハウスに入居希望してきた。
それぞれ、癖があり事情がある女性達。
その中には妊婦もいた。
やがて、そのシェアハウスで殺人が起きて、さらに5人の赤ちゃんの死体が見つかる。
その事件を探るユーチューバーの男性とその男性の手足として事件を実際に探る女性。
彼らの調査により、シェアハウスのある場所は以前、三業地ー風俗街で、怪しげな産婦人科のあった場所で、オーナーとなった女性の父親は後にそこで怪しげな集団とたむろしていたと言う。
5人の赤ちゃんの死体が何故そこにあったのか。
殺人事件は何故起きたのか。
「君の名は」の正体はー。
いつもの通り登場人物が多く、それらの人々の話を見て行く内に最初の話は結局何だっけ?この人誰だっけ?となってしまう形の話だった。
と言っても、この作者の他の本に比べると分かりやすい。
多分、もう一度読めば、「ああ、なるほど」とはなると思う。
と言っても、結末や犯人は知った所で大した驚きもなく、このストーリーを単純に読んですごい!となるようなもんでもなかった。
ふーん、くらいな感じ。
いつもの通り、そのストーリーに盛り込まれている人の嫌らしさや感情を読んでいくのが面白いという読書だった。
コロナの給付金詐欺やマスクの制作話なんてのも織り込まれているのが今の話だなーと思えた。
疎遠となっていた父親が亡くなり、その父親の遺産として新宿の古い家を相続した女性。...
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(c) 甲斐市立図書館
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光文社 2022.3