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レビュー一覧 (48件)
山口の駑馬さんの投稿レビュー/山陽小野田市立中央図書館
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貸出不可(未所蔵)
(2人)
21. 閔妃暗殺 朝鮮王朝末期の国母
新潮社 1988.1
角田房子 著
山口の駑馬 さんの評価:
李氏朝鮮の犯した不幸。話は、日韓併合の30年前から書かれている。
著者は、日本が酷い事をしたという固定観念に囚われながら記述しているが、
読み進めると閔妃暗殺よりも酷い李氏朝鮮が露わになっている。
御簾政治と勢動政治により、一族の繁栄のみのための政治が行われていた。大院君の改革はこれらを打破する国民のための政治を
目指す。
が、重税や既得権・地位の廃止、豪族の土地改革に反発する既存勢力、これ等と結びついた勢動政治を目指す閔妃により追い出される。
植民地主義の時代背景の中で、閔妃等の目指す「独立」とは、一族の栄華を確保する事であり、国民の為の真の独立では無い。
日本の「独立」とは全く違う概念。
日本やり方はまずくも見えるが・・・。本気で列強の浸食、日本の安全保障を心配すればこそとも思われる。
閔妃らには理解できない「独立」であったかもしれない。ここに日本と朝鮮の不幸が始まる。
一部には、金王均のように日本の「独立」の意味を理解したものもいたが主流にはなれなかった。
植民地主義の蔓延る時代、一族の栄華が危うくなると、清に頼りー日本に頼りーロシアに頼る。
福沢諭吉が「共に立つ国でない」と見放したのも良く理解できる。今も、変わらないが。
ロシアだともっと上手に閔妃をおだて、民を搾取しても、自らの栄華に陰りが無ければ、「独立している」と閔妃等は考えただろう
とも思える。日本がいなければ、ロシアが進出し・・・
ハングルも掘り起こさず、学校も作らず文盲のままにし、奴婢制度を維持し、戸籍制度も作らず、土地所有もあいまいのまま奪取し、
港を押え、インフラも作らず、ただただ搾取を続けていただろうに。
そして戦後はソ連領に?
黄文雄氏は『日本を呪縛する「反日」歴史認識の大嘘』で次のように述べています。朝鮮の階級制度がカースト制度と同様、いかに牢固たるものであったかを見れば、この奴婢の開放がリンカーンの奴隷解放以上のものであることはわかるはずだ。
自らの歴史に真摯に向き合わなければ、歴史は繰り返す。本当のヒーローは、大院君、金王均と思うのだが。
諭吉さんの言葉は、まだ生きている。日本も米史観でない自国の歴史を取り戻さないと。
李氏朝鮮の犯した不幸。話は、日韓併合の30年前から書かれている。著者は、日本が酷...
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22. ノモンハンの夏
文春文庫 半藤 一利‖著
文芸春秋 2001.6
山口の駑馬 さんの評価:
ソ連が崩壊したのち公開された機密文書の中にノモンハン事件の資料がある。
ノモンハン事件後、ソ連の勝ったというプロパガンダ、日本軍の多大な被害に驚いた当時の日本人。結果、日本は負けたと思わされた。
この本は、この日本は負けたという前提で書かれた本に過ぎない。
その原因を、日本軍の無謀さや無策、旧式武器によるものだと考え、史実を集めた「思い込み」に過ぎない。
機密文書で明らかになった事は、日本軍を遥かに上回る兵を動員しながら、日本軍以上に甚大な被害にあっていたソ連軍の姿が浮き彫りとなる。
・・・この本では、すでに明らかになっていた機密文書さえ、ほとんど無視され記述されている。
この本の実態は、『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』や『「司馬歴史に潜むあるイデオロギー」に詳しく書かれている。
又ネット上のウキペディアなどにも、戦争の実態が詳しく書かれている。
半藤の書く、旧式の武器のみの日本軍が、新兵器を持った多勢のソ連軍にぼろ負けした?という虚構は、機密文書で崩壊する。
又、無謀な作戦を繰り返したと書く半藤。
しかし実態は、「孫子の兵法」を無視した昭和天皇と、この言う事を聞いてしまった参謀本部の作戦ミスに過ぎない。
孫子の兵法では、兵は奇なりと言い、前線の部隊は臨機応変に動くべきで、遥か後方にいる王が指示を出しては戦には勝てないという教え。
これを犯し、国境を越えた空爆を止めた昭和天皇。
国境を越える空爆でソ連を叩いた前線に対し、この空爆を止めた天皇。おかげでソ連軍は、好き勝手に空軍を使えるようになり日本の被害は甚大に。
・・・まるで現代の専守防衛議論の結果が此処にある。
このノモンハン事件の前哨戦が、張鼓峰事件。此処でも、ソ連の侵攻に対し、飛行機の使用禁じた昭和天皇。無駄な日本兵の死を増やし、
甘く見たソ連によるノモンハン事件へと繋がる。
ノモンハン事件の一説では、ソ連の損害の大きさに驚いたスターリンは、日本の同盟国ヒトラーに仲裁を頼んだという顛末。
ノモンハン後の日本軍の処置が良かったとは思わないが、真摯に国の為を思い戦った人々が居た事を忘れてはいけないし感謝の念を忘れてはいけないと思う。
史実の景色は、見る立場で変わる。富士山の景色は静岡からだけでは全貌は見えない。甲府側からの景色を見て初めて全貌が見える。
全貌を見ずして得た教訓は、人災を生むしかない。
GHQの描いた太平洋戦争という造語。戦前・戦中の日本にあったのは「大東亜戦争」、「支那事変」だという事実。
未だ太平洋戦争史観を学ぶ子供達。物質的な豊かさで戦後は終わったが、精神的な戦後は今も続き、甲府側からの景色を「歴史修正主義」だと叫んでいる。
未だ静岡からの景色が全貌だと勘違いしている日本人と半藤の昭和史観。NHKの毎夏の戦争特集やNHKスペシャルが大人の日本人を思考停止に置く。
戦争を無くしたいなら、戦争の悲惨さではなく、「なぜ戦争が起こったのか」を真摯に検証する事でしかない。
「アメリカの鏡・日本」や「世界を戦争に導くグローバリズム」を読めば、なぜ戦争が起こったのかが見えてくる。
この半藤一利の描く「ノモンハンの夏」や「昭和史」では決して見えない史実の風景がそこにある。
ソ連が崩壊したのち公開された機密文書の中にノモンハン事件の資料がある。ノモンハン...
図書
貸出可能
(2人)
23. 昭和史
1926-1945 半藤 一利‖著
平凡社 2004.2
山口の駑馬 さんの評価:
子供にとっては悪書
史実を並べ、色々な立場で眺める事により史実の全貌が見えてきて歴史を語れる。
全貌を見ずして得られる歴史の教訓は「人災」を生む。
が、この本は日本軍=悪という前提で史実が語られているに過ぎない。
例えば、ノモンハンなどソ連崩壊後の機密文書公開で、ソ連の日本以上の被害を知りながらも、日本軍の踏ん張りは無視して語る。
戦争は正義が勝つのではなく、勝った方が正義を語り歴史を創る。
戦前戦中の日本にあったのは「支那事変」と「大東亜戦争」という史実。戦後にGHQが創った「太平洋戦争史」。この勝者の歴史観に乗ったに過ぎない半藤の「昭和史」。
この勝者の歴史観は、米ソ冷戦が始まれば、日本人も資本家の犠牲者となる史観、ベトナム戦争が始まれば、アジアの侵略者と云う史観が生まれる。何れも、イデオロギー的正義が先に立つ。
1948年に米のヘレンミアーズの書いた「アメリカの鏡:日本」と読み比べれば、半藤の思考停止の史観が明らかになる。
カイロ宣言で、Fルーズベルトが語った欺瞞。日本が暴力と虐待で占領した植民地を解放すると言いながら、同じ以上の暴力と虐待でAA諸国に植民地を作っていた欧米民主主義国の植民地を解放するとは一言も言わない。
ましてや日本が負けると再びアジアに舞い戻り支配しようとする悪度さを発揮。此の時、独立戦争の核となったのは日本指導下で編成されたアジア各国の軍隊であり、見事に独立。
1955年第一回AA会議で、AA諸国は日本代表の席に来てまで感謝の言葉を述べたという国会議事録は無視され続けている。
1956年、「もはや戦後では無い」と言われたが、物質的な事に過ぎない。
今なお、勝者の歴史観が日本を覆い、精神的な戦後はまだ続いている。此れを支えているのがこの「昭和史」というGHQの亡霊。
富士山の景色は静岡からだけでは全貌は見えないのに、全貌が見えてるかの如く史実の誤解が続いている。
子供達には、史実の全貌が見えるような読書をして欲しい。
今なお世界・国際社会は・・・と盛んに流れるニュース。
しかし、具体的に語れば、
小さな発展途上国は無視され、独裁国家も無視され・・・残るのは欧米民主主義国を世界と言っているに過ぎない。カイロ宣言を振り返ってみれば、欧米民主主義国が常に正しい、日本社会は遅れているなど幻想だと判る。
「日本人の武器としての世界史講座」や「逆説の世界史②一神教のタブーと民族差別」、「古事記の読み方」など読めば、日本と世界が見てくる。
子供達は、精神的な戦後から解放してあげるのが、今の大人や親の責任。
子供にとっては悪書史実を並べ、色々な立場で眺める事により史実の全貌が見えてきて歴...
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(2人)
24. ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた
あなたがあなたらしくいられるための29問 佐藤 文香‖監修 一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同‖著
明石書店 2019.6
山口の駑馬 さんの評価:
小学生が法律と道徳を混同し、大人は汚い・不道徳だ、罰せよと叫んでいる様に見える。合わせて読みたい「あぶない法哲学」。
ジェンダー研究やフェミニズムの目指す社会とは、『「男らしく/女らしく」振る舞う事にただ反対しているわけでは無い。ジェンダーやセクシュアリティにより、どの様に行動が制限されいるのか、どうしたらそこから自由になれるのかを考える事』・・p157
>>ジェンダーから自由になるには、「男/女らしく生きる」と云う社会風潮を変える必要があると主張
・男らしく、女らしく生きなさいは、女性や同姓愛者の生き様を性により決めつけている。
・「男/女らしく生きる」と云う考え方は、これから零れる少数者が生き辛いジェンダー差別社会を助長する。故に、この様な考え方や発言を止めよと主張。
・結果、少数者に寛容な多様性を持つ社会が生まれると主張
⇒先人に憧れ男らしく生きたいと願い口にしては、差別社会の再生産を助長する?
⇒家事に勤しみ、家族を慈しむ母に憧れそうなりたいと願い発言しては、差別社会の再生産を助長する?
⇒良妻賢母に成りたいと願っても口にすれば、差別社会の再生産を助長する?
⇒むしろ十人十色を認めない不寛容な社会を生むのではと心配してしまう。
良妻賢母とは「男に尽くす手段を教える」こと?。「男を掌にのせ、夫・家族をコントロールし、結果自分も自分の家庭も幸せになる」事では。
個々人の希望(男/女らしくなりたい)さえ口にしてはいけないでは、不寛容な社会に過ぎない。
⇒セクハラに似ている。不道徳な同じ行為でも、相手が嫌だと思えばセクハラとなり、嬉しいと思えばセクハラにならない。
⇒この行為を問答無用の禁止にし、他者に道徳を強制する行為は、人災を生んでいる。
⇒道徳とは、共同社会での互助の行為だが、個々人の心の問題に過ぎない。道徳とは法律で強制する事ではなく、ただ只管、教育するしかない。
>>「男/女らしく行動する」事は自然な事ではなく、社会や文化、時代に影響を受け変わると主張
⇒その通りだと思うが、自然が生んだ男と女により、種が存続するという事は、人間が生まれて以来の自然の摂理であり、母が子を慈しむのも自然の摂理。
だが、人間全てがそうだと云う事では無いのも事実。故に、その零れた少数者に合わせよ、口を閉ざせと云うのは、自然の摂理まで無視せよと同じでは?
⇒神がアダムの慰みの為、アダムの骨からイブを創った一神教神話が伝える価値観。自然の摂理さえ、神が創りだしたものという世界観。
片や「男女が共同で国創り」した日本神話の伝える価値観。男女は自然の摂理として生まれ、自然に従う世界観。
前者は、男女差別が生まれるが、後者は男女差別は無い。あるのは、自然の摂理に従う役割分担のみで、平等である故に互いに互助する価値観を伝える。
>>同性愛者を保護するには法制化が必要と主張
⇒思わず、歴史を調べる。
⇒日本で同性愛が罰せられたのは西洋思想が流入し、江戸文化が消えていた明治の時代。1872~1882年の10年間のみが犯罪となる。
江戸文化では衆道・男色と呼ばれ、放っておかれ罪にも成らなかった。後ろ指を指されたか否かは?
「逝きし日の面影」を読むと、江戸文化は性に寛容な裸文化だったと感じる。遊郭が、淫靡な場所と思い込むようになったのは西洋思想の影響。
⇒欧州で同性愛が罪となるのは~16世紀以降。これ以前は罪ではない様だ。1791年の仏革命以降、罪では無くなる法典が徐々に各国に広がる。
⇒歴史を遡れば、同性愛者を罰する事の方が異常だった。罪と成らない社会では、自由だという事に他ならない。これこそ多様性では?
集団で生きる社会では個々人の属性により常に付随する「生き辛さ」。此れをカバーするのが、道徳と言う互助の教育では。
>>男性の持つ権利で女性に与えられてない権利を獲得するのがフェミニズムだと主張
⇒でも、以下のCMへの噛みつきは正しいという理屈には、眉をひそめてしまう。
・ムーニーのCM=孤軍奮闘する母親。「その時間が、何時か宝物となる」は、母一人の子育てを美談にし社会風潮を助長し許せないと主張。
⇒これに憧れる人は悪者?子を産み、子に愛情を注ぎ、その苦労が良い思い出になる事を夢見るのは悪?、常に夫が傍に居る事を強制する?
・ENEOSのCM=「安い電気に替えるか、稼ぎの良い夫に替えるか」は、夫は稼ぐ人、女は養なわれる人と云う社会風潮を助長し許せないと主張。
⇒現状の肯定は許さない?、女性の社会進出が進歩だという一神教の生んだ世界観に過ぎない。夫を掌に乗せ、鵜匠の如く外へ出し成果を手に入れ、結果家庭も円満で社会に貢献する事も駄目だと主張しているのど同じ。・・・・何て不寛容な社会だ。
小学生が法律と道徳を混同し、大人は汚い・不道徳だ、罰せよと叫んでいる様に見える。...
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(1人)
25. あぶない法哲学
常識に盾突く思考のレッスン 講談社現代新書 2571 住吉 雅美‖著
講談社 2020.5
山口の駑馬 さんの評価:
煙草を吸うな、健康に注意して生きろ、ゲームをするな・・
「皆が健康で勤勉で勇気があって人に優しい社会」ならば、法律など不要。
法律は「ダメ人間」のためにある。
一億人が皆ヒーローになるために法律があるのではない。考えさせられる事例が幾つか示されている。
ダメ人間に、優等生になるように法律で強制する事は正しいのか?、優等生か否かの線引きの位置は時代や貧富や立場で変わるのでは?と思う。
現代の自分等が考えた価値観こそ時代を超えた普遍の真理だという思い込み。これを公共の正義だと「信仰し」、線を引き、法律を作り、ダメ人間を匡正しようとする。
結果、ダメ人間への強制を生み、此れに反する者は吊し上げ罰しても構わない?。道徳と法律の差が理解できない子供達と同じ?
中世欧州の魔女狩りも、公共の正義だった。当時の人達も時代を超える普遍の正義だと思い、微塵も疑って無かったのでは?
現代から見れば悪習。現代の公共の正義を、未来の人が見れば・・・。
「余計なお世話法案」は十人十色の価値観を受け入ない不寛容な社会を生む。
大衆が正義を成せと法律を作らせ他者に強制する民主主義社会こそ、ヒトラーを生んだのでは?。ヒトラーが独裁を生んだのではない。ヒトラーは、不寛容の範囲を広げただけでは?
あるがまま受け入れ、社会で緩衝するのが多様性のある社会の有り様だと思うのだが・・・これが魔女狩りや差別と言う悪習を断つ手段となるのでは?
「道徳」を何処まで法律にするのか?。考えさせられる問題。道徳とは共存するための相互愛。個々の心の問題であり、他者に強要した途端、道徳ではなくなるのでは?
公共の正義とは、被害予防としてダメ人間を法律で匡正する事ではなく、その引き起こす結果を、如何に被害少なく、社会で緩衝するかという事ではないかと思った。
法律で罪とし幾ら罰しようと、人間の嗜好や欲は終わらない。此れが人間であり、十人十色という自然。
法律を作り罰するとなった途端、この違法と呼ばれる行為は闇に潜み、アルカポネを生み出す。あるルールの下で禁止するのではなく、「何処まで、如何に許す」かが大事か?
闇に潜めてしまうか、明るみに出し社会で被害を小さくすためにコントロールするのか・・・私は後者の社会を子孫に残したい。
NHKやマスメディアが生み出す平等の正義。正義とは・・胡散臭い?。生み出される魔女狩り。
発言の中の一言を刈り取り、「差別者」だと報道し、皆で吊し上げる。
「東北で良かった」で辞任した大臣。「女性の話は長い」でJOCを辞めた元首相。
発言の主旨を報道しないメディア。
発言全体の主旨にも、発言者の普段の行動や人格も知らず関心を持たない人々。刈り取られた言葉一つで非難に参加する。
まさに魔女狩りが再現されている。
平等とは正義だが、万人が納得する完全な平等は存在しない
⇒飲み会の割勘は、給与を基準、飲む量を基準、家庭の経済事情を基準。どれを基準にしても不満はでる。
⇒一人一票という平等を叫ぶ。株主総会では、持ち株により違うのに。国に対する貢献度、納税額は考慮しない?
⇒どの基準で平等を使えば最も平等となるのか?、個々人の持つ属性は一つではなく、程度も違う。故に完全な平等など出来ない。
・不平等に怒り、平等を叫ぶ。不平等には気づき是正せよと叫ぶ。が、自分の平等を叫ぶ結果、他人の平等基準には配慮しない。
「神様のカルテ」で、一つのパンを10人の飢えた子どもに、どう配るか。この本を読みながら考える。
配る者の決断しかない。此れは善悪の問題ではない。
この決断を下す者を、如何に選ぶかの問題。配る者が、その権限を行使し、その結果に対し責任を負ふしかない。当然選んだ者も共同の責任を負う。
10人に配り少なすぎ全員死亡するのか、2人に配り2人のみ生き残るのか?・・・出来るだけ科学的な考慮は必要だが、誰も確実な未来の予測など出来ない。
科学は過去の事象を解明し矛盾なく説明するだけ。その結果としての未来の予測までが常に正しいを保証はしない。
結果は、配った後でないと誰も判らない。配布する者の責任と覚悟でしかない。この権限を持つ者を選べるのが、民主主義の選挙だと思うのだが。
財源が無尽蔵でない以上、全員を幸福には出来ない。如何に配るかを話し合っても、基準は十人十色、全員賛成とはならないのが民主主義社会。此の時、最後に決断する人を選ぶのが選挙。
選挙で責任を与えられた権力者は、独裁だと呼ばれようと、当人が信頼できない者は排除し、信頼できる仲間を作らなければ権限の行使などできない。彼は、結果責任を負う術=選挙を持つ。
責任を負う術を持たない=無責任なNHKやマスメディア報道は正義を振りかざした民主主義の破壊行為と紙一重に見える。
煙草を吸うな、健康に注意して生きろ、ゲームをするな・・「皆が健康で勤勉で勇気があ...
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26. 日本を開国させた男、松平忠固 近代日本の礎を築いた老中
作品社 2020.7
関良基
山口の駑馬 さんの評価:
明治政府の創った「不平等条約を解消するために苦労した」と云う物語を教えられる教育。史観は見る立場により景色が変わる事を痛感する。
正義が勝つのではなく、勝った方が正義となり歴史観を創る。同じ事は太平洋(大東亜)戦争後にも起こり、今も此の史観が教育され続ける。
本書では、忠固が推し進めた修好条約では、関税自主権は存在し、治外法権も無かったという事実を、条約の和文と英文を見ながら解説している。
1859年の初期の修好条約では日本の要求で関税20%で決定され、横浜開港。
世界に通じる輸出商品を模索した、紀州藩、上田藩、会津藩と商人たちの試行錯誤。
紀州藩の末尾候補「茶」、会津藩5番目候補「絹糸」、上田藩トップ候補「白絹糸」は、1941年まで日本の輸出の2位、1位となり、
「佐幕派」と呼ばれる藩と、彼らの藩の商人たちが日本の経済を支え、独立の礎となる。此の時、テロに夢中だった水戸、長州、薩摩の「雄藩」。
薩長の禁裏工作による「奉勅攘夷」を飲まされた幕府。結果、長州による下関海峡無差別攻撃で、徹底的に叩かれ、賠償を求められた幕府。
1866年、賠償の代替えで、関税5%をついに飲まされる。長州の無差別攻撃が、まさに清の阿片戦争敗北同様の内政干渉を生み、関税引き下げと言う「不平等条約」を生む。
結果、英の主要輸出品「綿」により日本の綿産業は壊滅。生糸・茶で蓄えた資本による綿産業の再建までに長い年月を必要とした。
水戸学が生み、薩長に波及した尊王攘夷のテロは、列強の内政干渉を招き、関税の自主権を奪わせ、日本の財政を逼迫させ、むしろ独立を危うくしたに過ぎない。
「尊王攘夷」が日本の独立を守ったのではなく、むしろ攘夷に感染せず、外国語を学びかつ身振り手振りで貿易参入した庶民こそ日本が独立できた礎では?、
この関税20%を維持した幕府の数年間は大幅黒字で、独立のための経済を維持していた日本。関税5%の途端赤字となり、独立の礎が壊れる。
「白絹糸」は忠固の上田藩の養蚕振興から生まれたバイオテクノロジー、蚕の改良で世界基準を上回る品質を達成。百姓の書いた蚕の技術本は、仏語に翻訳され称賛される。
更には、仏の蚕の絶滅を救った日本の禁制品であった蚕の卵の輸出。近代化を図った幕府の小栗等の交渉により導入された横浜造船所の建設費用の代金として使われる。
*岩倉使節団が仏訪問時に感謝されたが、全くお門違いの人々。感謝されるべきは、「佐幕派」と呼ばれている人々。
当時の英製品の圧倒的な商品力は、英のみが関税0%を望み、他国は全て国内産業の近代化のため大きな関税を掛けていた。150年前のグローバリズムに対する保護貿易。
圧倒的な製品力を持つ英に対し、仏も関税を掛け政府による国内産業の育成が当たり前だった。故に幕府が工業化する事に違和感を持たない。
これに反発する英。当時の英の駐日大使やアーネストサトウらの発言を見れば、英の「自由貿易帝国主義」思想の片鱗が見える。
・相手国が不平等を受けいれれば、自由貿易が出来て圧倒的な経済力で支配し、独立とは名ばかりの国となる=タイ等
・相手国が不平等に抵抗すれば軍事力を使い制圧し、自国領に編入する=インド、ビルマ等々、半植民地となった清
交渉の手強い幕府より、従順となった薩長の方が組み易い。結果生まれた(薩長+英)vs(幕府+仏)という構図。
書いていて、歴史は繰り返していると感じる。
根拠薄弱なCO2起因説の温暖化を大儀に掲げ、発展途上国には安価な石炭発電を規制し、高価な太陽光発電を押し付ける。自由市場という大義で、途上国の富を吸い上げ、経済を支配する姿が蘇る現在。
グローバリズム=正義、保護貿易=悪の信者となった現代日本人の思考停止。
老中忠固の3度の敗北
1)斉昭の参画を図る安倍vs忠固と大奥。2)ペリーとの和親条約時の交易開始を、斉昭・安倍に覆される。3)ハリスとの修好条約。無知な禁裏の勅許不要で全責任を決意した忠固。反発する井伊直弼、斉昭、堀田。
上記2)、3)で2度の老中失脚。しかし、この間にも近代化の礎となる養蚕を奨励し、販路を作り農民・商人のモチベーションを上げ、開港・交易を進めた忠固。結果、絹糸と言う日本が独立に必要な経済基盤を創る。
幕末の歴史から消えた忠固。
現在放映されている「大河ドラマ、晴天に突く」に描かれる、事実を混同した物語。これが歴史として皆の脳に刻まれる。
すっぽり抜け落ちる江戸の文化の育んだ底力。「逝きし日の面影」に描かれる社会は封印され、幕府=悪、明治=進歩という虚構。
「東京裁判」の時、石原莞爾の「証人第一号はペリーを呼べ」と言った言葉の重みが判る。ここに本当の歴史の教訓が眠る。
明治政府の創った「不平等条約を解消するために苦労した」と云う物語を教えられる教育...
貸出不可(未所蔵)
(1人)
27. 日本人の武器としての世界史講座 ニュースがよくわかる!
ビジネス社 2016.10
茂木誠 著
山口の駑馬 さんの評価:
日本人である事を自明として育つ日本人。教育で国の意識を生む必要がある他の国々。何故?という歴史の違いが見える。
戦後日本の自虐史観の思考停止が生んだ「欧米=先進社会」という幻想。勝者の歴史観しか学ばない日本の教科書。この本では世界の暗部についても冷静に「なぜ」を語る。
神話の価値観を封印する日本。聖書神話の価値観が今なお続く欧米や中東。朱子学(科挙に採用)が生んだ華夷秩序が今なお続く中韓。
「神話は事実かではなく、その物語が伝える『価値観』」こそ大事。ここに、日本人の武器としての世界史がある?
聖書の物語が伝える価値観とは。
「イブをアダムの慰め者として創った神」、「一人の神のみが正しく他の神は認めない」、「この神に従う者『のみ』が救われる」。即ち『女性蔑視』、『絶対正義』、『差別』(=選ばれし者以外は異端)が当然の価値観。
記紀の神話物語では「イザナギ・イザナミによる国創り」、「八百万の神々の登場」。即ち『男女共同の国創り=役割は違うが同等』、『神々が両立出来る』価値観。ここに『女性蔑視』、『絶対正義』、『差別』の価値観は無い。
世界史を学べば見えてくる聖書の価値観で育まれた近代欧米国家の姿。例とし米史を抜粋。
仏革命以降にナポレオンに対抗して生まれた民族意識が近代国民国家を生む。18世紀末に民族をベースにしない国民国家=米国が誕生。
1775年独立戦争。独立宣言で「自然権」と「人権」を守る事を保証する国として誕生。ただし、この「人」とは「神との約束を実践するピューリタン」のみの選民思想。
⇒スペイン支配(カトリック)の中南米では、原住民との混血が生まれる。カルビン派のピューリタンの米では黒人性奴隷との混血は生まれても、原住民との混血は生まれない。「神に救われる人間は予め決まっている」故に異端は排除するだけ。
⇒19世紀末には「マニュフェスト・デスニティ」(明白な天命)思想が生まれ、神に課せられた使命を果たす。即ち、「野蛮人の住む大陸を、神が憐れみ、我々を導いた。この大陸に文明を築き、異教徒を排除しピュアにするのが使命だ」と(華夷秩序と同類)。
*ポルトガル(カルビン派)植民地の南アフリカ共和国の「アパルトヘイト」も同じ。
⇒メキシコに植民を入れ、多数にした後独立を宣言させ、支援し手に入れる。「リメンバーアラモ」でテキサス併合、カリフォルニア併合1848年。
⇒ゴールラッシュに湧くCA。高すぎるロッキー山脈。大西洋-喜望峰-インド洋-太平洋(日本・フィリピン・ハワイ)-カリフォルニアへの道。
日本に黒船が1853年。南北戦争(1861-1865)の勃発。フィリピンやハワイと違い、米の「明白な天命」の手が及ぶ前に独立できた日本の幸運1868年。
⇒南北戦争=工業化した北部、英の製品に太刀打ちできず保護貿易へ。南部は綿花で貿易推進。19世紀の米は農業国。独立以来南部出身(ワシントン・ジェファーソン等)の民主党大統領が続く。
1960年北部の共和党のリンカーンが当選。貿易問題を黒人問題にすり替える。得票率40%の大統領に反発した南部11州が独立を宣言。北部資本家=共和党と南部地主=民主党の戦い。
⇒南部敗戦後、民主党は「資本家の敵」を取り込む。北部の産業革命の発展で生まれる労働者階級。労働者の主体はWASP(ホワイト・アングロサクソン・ピューリタン)ではなく、新たな移民=イタリア系・アイルランド系カトリック、ロシアから逃げたユダヤ系、アジア系を「票」として取込む。黒人票も。
戦争後、共和党=資本家の大統領が続き、ハワイ・フィリピンの併合を画策。テキサス方式でハワイ併合1898年、米西戦争1898年、圧政からの解放を謳い、勝利後「おめでとう」ではなく、キューバの属国化。フィリピンは独立の約束を反故。抵抗する原住民を虐殺。1902年植民地化。
マッカサーの親父が総督に。「明白な天命」の展開。その先にチャイナが見える。
⇒日露戦争後の南満鉄資本参加を断られた米資本家、対立の始まり。S・ルーズベルトの母方デラノ家はアヘン貿易で財を成したチャイナロビー。反日へ。
⇒選民思想が生む黄禍論。Fルーズベルトの画策・・この前後は「アメリカの鏡・日本」ヘレンミアーズ著が多様な立場で史実の景色を見せてくれる。曰く「日本は誰に憚る事無く欧米民主主義国を偽善者と呼べる」と。
私見
『絶対正義』が『ポリティカルコレクトネス』として名を変え前面に出てきた現代の米。他者へも強制が始まり、魔女狩りが蘇る。銅像も魔女の象徴として壊して当然。参加しない者も魔女。
この『絶対正義』に賛同しない者は異端となる=欧州中世の悪習を、無条件に進歩だと受け入れる辺境の民=日本人。
今こそ大事にしたい日本神話で刻んだ歴史の価値観。
日本人である事を自明として育つ日本人。教育で国の意識を生む必要がある他の国々。何...
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28. 失われた報道の自由
日経BP社 2020.10
マーク・R.レヴィン 道本美穂
山口の駑馬 さんの評価:
共和党寄りの本。でも物事は多様な立場で見なければ全貌は見えない。
「トランプは危険人物だ」と思う記者が、トランプの記事を書けば中立性や客観性は期待出来ない。当然、トランプの全貌を知ることなど不可能。
『トランプが大統領になった事は間違いだと主張する多くのメディア。トランプ批判を繰返し、自らを抵抗勢力と位置づける。これは、「自分は客観的な立場・中立な記者だ」と思う記者には言えない。「トランプは米にとって有害だ」と思っている人にしか言えない。そういう人たちは、出来るだけ早く「トランプを大統領の座から追いやるべきだと主張している。トランプを起訴でも弾劾でも選挙でも、如何なる手段を使っても良いと」。ここには、記者としての客観性は失われている。』、『自分達が記事により、社会運動を起こし、良い方向に動かしたいと考えてしまう記者達。このため、記事から「客観性」が失われていると警告している。
ネットで情報を集められる現代では、この大手メディアの偏向は、市民からメディアの信頼を失なわせてしまった。でも、その責任を取るつもりも無い様だ。(トランプが分断を引き起こしたと)責任転嫁し非難を繰返す。自分等が、大衆に植え付けようとしたトランプへの不信感や皮肉な見方について(の反発だと)は反省してない。・・と書かれている。
米大手メディアの論調を翻訳するだけで、裏もとらず記事を垂れ流すNHKや日本のメディア。瓦版を紙芝居にしているだけ。
自分等は正しいと考え、報道の自由を守ると公言するが、「国民に判断材料」を与えてはいない。江戸の瓦版のアジ演説と同類に成り下がる。
ジャーナリズムとは真実の追求こそが本分であり、権力監視や政権批判などは真実追求の副産物に過ぎない。
現在の日本のジャーナリスト達は、「権力は悪を成す」故に「権力監視することがジャーナリズムの本分だ」と勘違いして「ニュースを製造」し報道している。記事を書く前から「権力は悪を成す」と思う記者が、政治や政策を書けば、ここに中立性や客観性を望めるはずもない。政権の行動や言動に、一生懸命に粗を探し続けて記事を書く。果ては「発言の切取り」さえ行い、発言の主旨さえ無視した「ニュースを製造」する。
国語のテストを行えば落第だと判っていても、サラリーマン記者として糧を得るためには変えられない?。批判されれば報道の自由を守れと叫ぶ。
米の報道の歴史も面白い。
1)独立戦争前からパンフレットや新聞は「共和主義の理想」(=民主主義?)に基づく国家を作るために、プロパガンダを展開した。
2)独立後、党派に基づいた報道=党のプロパガンダが主流となる。彼らは、党派を隠す事はしなかった。
3)19~20世紀。「科学的・専門的」が前面に押し出され、「客観性」が重要視された
4)現在は、「客観性」とは何かが問題になっている。
「客観的で統一された基準」とは、ジャーナリストの考え方や政治信条は、中立である事は重要でなく、報道する時の「考え方」や「分析」が客観的であれば良いと考えるようになっている。でも、米の大手6社は完全な民主党寄りの報道機関となっている。オバマ政権で権力に登用された記者やその親族たちが、再び報道機関に戻り記事を書いている。
私が望む報道は、上記の1)を期待する。福沢諭吉の創刊した「時事新報」も、明治の日本という国と日本人の生き様を模索していた。
国と云う集団の形があって初めて経済・社会保障・日々の安心安全を享受できる。今もスクランブルを繰返している名も無き人々に守られて享受する幸福。
世界に類を見ない平和な国を作った徳川の治世(日本ver.1)。欧米が植民地を求めアジアに殺到した時、強要された国際ルールを学びながら独立を果たした明治政府(日本ver.2)、戦争で荒廃した日本を復活させた戦後日本(日本ver.3)。冷戦後に支那共産党の覇権主義が台頭し、米による秩序が終焉しつつある現代。次の日本ver.4を作る時になっている・・ルトワック著「日本4.0」。
此のためには、日本人の自虐史観と云う目の鱗を取る必要がある。最適な本は、「アメリカの鏡・日本」ヘレンミアーズ著。
1948年に発刊されたが、GHQに翻訳禁止された本。色々な立場の史実の景色を見せてくれ、学校教育やNHKから受けた米史観の鱗を落す。
富士山の景色が静岡側と甲府側で違うように、史実の景色も立つ位置により変わる。片方だけの景色を信仰してしまえば、全貌が見えず歴史の教訓も間違ってしまう。コロンブスは米大陸を「発見」したのではなく、インディアンの住む土地に辿り着いただけ。「発見」では無い景色が見える。
勝者の価値観でしか歴史を振り返らない自虐史観。当時の人達と同じ立場に立たなければ歴史の教訓は見えない。歴史は主役を変えて繰り返している。
共和党寄りの本。でも物事は多様な立場で見なければ全貌は見えない。「トランプは危険...
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29. 避けられた戦争
一九二〇年代・日本の選択 ちくま新書 1499 油井 大三郎‖著
筑摩書房 2020.6
山口の駑馬 さんの評価:
半藤利一の結論ありきの昭和史と同じ。
p-22 第二次大戦で日本が外国に与えた被害。戦後補償問題が日本の関心事になった1990年代。日本の戦争責任の否定する一般向け昭和史。日本の戦争責任を軽視する事を意図した本は、目的に合わせ史実を選択する。その信条の為に史実を曲げる事は許されない。プロパガンダとなってしまう。
・・・と書かれているが。1990年代と言えば、日本=加害者と言う家永史観=「太平洋戦争」1986刊が日本を覆っていた。
あたかも戦争責任を回避する本は、目的に合わせて史実を選択しているかの様に書いている。だが、戦争責任を書いている本は、加害の事実を書いても、日本が貢献した史実を書いていない。日本の暴力を盛んに書くが、他国の暴力の史実には触れない。
此れこそ、日本の戦争責任という目的の為に、史実を選択している事に気づいてない。
日本=加害者という自分の思考に合わない主張をプロパガンダと言い切る。まさに学問の自由を犯す。
ヘレンミアーズの「アメリカの鏡・日本」1948年刊に書かれた、史実をここに挙げよう。
・1943年。カイロで米英が日本を「懲罰・拘束」し、彼らが「暴力と貪欲」によって奪った領土を全て取り上げる決意を表明した。
⇒解説=蒋介石もいたが、彼はアジアの代表では無く米英ブロックの傀儡でしかなった。
米国民は正義と民主主義の行動として歓迎した。しかし、英・仏・蘭の植民地には、カイロ宣言には含まれなかった。アジアから対日カイロ宣言を読めば、日本の罪状は、彼らが植民地住民に対して暴虐を振るった事では無く、同じ様な暴虐で西洋が確立した植民地体制の現状を揺さぶった事。
・”1944年Fルーズベルトは”アジアの民衆は日本の奴隷になる事を望んではいない”と声明。
⇒解説=全くその通り。しかし、歴史的に見てアジアの民衆を「奴隷にしていた」のは日本でなく、米が同盟を結んでいた西欧の民主主義国である事は無視している。
歴史の景色は、史実を誰の立場で見るかで変わる。
「コロンブスがアメリカ大陸を『発見』」と学ばせる学校教育。しかし、インディアンから見れば、単に彼らが住む土地に辿り着いたに過ぎない。インディアンには史実は無いのか?
史実は色々な立場で見れば、景色(歴史観)は変わる。
此れを知らずして、学問の自由など実現できない。どの立場なら良い、どの立場なら悪いという発想こそ、プロパガンダ。学問を侵している。
一般市民に対する、歴史学者の驕りにしか見えない。学者だけが、「正しい」と。
・p-53 門戸開放・機会均等という経済的な自由競争の主張は、軍事力による領土拡大を目指す「古典的な帝国主義」とは性格を異にする。
後者を「旧外交」と呼び、前者のベルサイユ条約以降を「新外交」と言う区分け。性格を異にする?という勘違い。
戦争が、水戸黄門の様に善悪で起こるという大間違いを犯している。
近代戦争は、常に利益集団同士が話し合いう中で、折り合いがつかず発生する。
外交が上手くいき、戦争回避ができたと言う。が、内実は両者の大きな軍事力の差が厳然と存在し、イーブンに成らない。
故に、アジアは、ずっと植民地だったし、シナも清朝滅亡後、統一政府など無く欧米との交渉も利権の裏返しに過ぎない。
p205 ”満州を中国本土から分離する軍事行動を考えていたと推察される”。此の著者の視点に疑問。
中国本土を支配していたのは、満州族の清朝。清朝が亡びれば、中国本土が、満州族から独立しただけという史実。「満洲分離」という言葉こそ、史実を無視している。支配されていた中国本土と満洲とは元々別な民族の土地であるという事実を忘れている。
防共の砦の日本を潰し、結果共産圏と直接対峙する事になった米。これが戦後の冷戦を生み多くの悲劇を生む歴史を創ってしまった。
戦前に防共としての米との協調の可能性も、当時の米の南米やフィリピンでの実績を見れば、信じられるのか?
大きな力の前に、黙って屈するか、一太刀浴びせるか?。当時を生きた人々の苦悩。
果たして、米提案を受け入れた時、米との運命共同体に成れるのか、何も逆らえない植民地になるのか。当時の排日が渦巻く米、民族平等は否定され、白人至上主義が世界を闊歩する時代。
支那事変を収束できなかった近衛(米の意図?)、南進でなく北進を提唱した松岡を拒否した天皇。統帥権を持つ天皇が、自己の責任を回避し、政府(苦悩する東條)に任せた無茶ブリの責任はスルーする。
全てのタブーを無くし、多様な立場に立ち史実を眺める時が来ている。今を生きる大人が、自ら考え子供たちに残すべき歴史観こそ重要だと感じる。
正義が勝つのではなく、勝った方が正義となり歴史を書く。
此れを学ぶ学校教育、NHKの毎夏のプロパガンダに疑問を持たない。
半藤利一の結論ありきの昭和史と同じ。p-22 第二次大戦で日本が外国に与えた被害...
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30. スノードロップ
島田 雅彦‖著
新潮社 2020.4
山口の駑馬 さんの評価:
令和の皇后が皇居の森に閉じ込められ外の世界との繋がりを求め、スノードロップのいうハンドル名で、政権への不満を吐き、ついには天皇に政権非難の詔勅を出させる。
違和感の正体は、
①令和の皇后擬きを登場させ、彼女の口から「左翼の思考」を語らせる。まるで天皇が左翼思想を応援している様に見える。
②現政権に批判をしない国民を「愚民」と呼ばせ、無視して良いと語らせる。まさに左翼丸出しの「絶対正義」を語らせる。自分等の正義以外は認めないというファシズムと気づかない。
③明治から昭和敗戦までの史実認識が、日本=悪という戦争史観を語らせる。戦争は善悪2言論の様な水戸黄門の世界でもあるまいに。
④明治天皇は、日清戦争に反対し怒ったと。天皇だから常に正しいと思い込ませたいのか?
福沢諭吉と明治天皇の何れが賢人だったのか。諭吉の書いた当時の時代背景を基に書いた「脱亜論」と戦争を怒った明治天皇。
当時の時代背景の中で、不平等条約を強いられていた日本。後手に回れば、植民地。
大国清に日本が負け、千年以上続く皇統が絶える事を恐れ、民が隷属しても構わないと考えたなら本末転倒。
まさに李氏朝鮮王朝と同じ。王朝の栄華を続けることが「独立」と考えていた高宗と閔妃。ここに国民はいない。諭吉の書いた「脱亜論」の背景が此処にある。
⑤米の隷属からの脱却と言いながら、イコールでロシア中韓と結びつくと言う短絡思考を語らせる。
米隷属からの脱却は皆が望むところ。でも、反日教育を創造し教育を続ける中韓、支那共産党の独裁と結びつくことが本当に「独立」する事なのかは語らない。
力で国の言論を統制し支配し続けるロシアと結びつくことが、日本国民の幸せなのかは語らない。
戦国の世を変え平和をもたらした徳川の体制(ver.1)、世界の荒波に引っ張り出された明治の体制(ver.2)、敗戦の廃墟から蘇った戦後の体制(ver.3)
今「日本4.0」ルトワック著が求められている。必要なのは「歴史修正主義」という思考停止から脱し、史実を多様な立場で眺め全貌を知り、歴史の教訓を正しく学ぶ事しかないのに。
⑥戦争をしたくなかった昭和天皇を擁護する。統帥権を持つ天皇以外は軍に口を出せない政治体制。ここにも、天皇の御身大切、皇統を絶やしてはいけない
という、国民を置き去りにした自己保身しか見えない。まるで武士が台頭した当時の平安公家と天皇を見る様だ。全て武士が悪いと。
国の為戦った人々に「誇りも感謝も」しない天皇とは。国民に謝る事は構わないが、英霊に感謝も無い天皇とは。
昭和天皇が当時の時代背景に目を瞑り、平和を祈る姿は、「軍本部」と「現場で治安に当たる部隊」との齟齬を生み、張鼓峰、ノモンハンのソ連侵攻には
天皇が軍の手足を縛り、日本人兵士の犠牲者を増やす。
清王朝滅亡後の軍閥割拠、英米の傀儡の蔣介石政府、コミンテルンの傀儡の毛共産党による治安の混乱はアジアの経済を壊す。
漢人禁足の地、清王朝の故郷の満州の土地に帝国を築き治安を安定させ、五族協和を謳いアジア経済圏建設を目指した日本。
治外法権を放棄し、租借地を返還したのは、欧米の民主主義国ではなく、「日本だけ」だったという事実は無視する。
⑦憲法の条文を盾に、令和天皇の詔勅を出し憲法改正をしようとする政権批判を出させる。でも、国民投票もしてない現憲法の奇妙さには口を噤ませる。
GHQの占領下という異常時に制定された憲法。占領が終われば、主権国家として見直すのが当たり前。見直さずとも国民投票をするのが民主主義では。
天皇が詔勅を出し政権を批判するなら、憲法を国民投票に掛けよと言う詔勅では?
⑧不幸な人々を救わない政権だと令和天皇に政権批判させる。ここには、自由民主主義と平等民主主義の何れかを目指すのかと言う視点は無い。
政権批判の為に、道具を引っ張り出しているに過ぎない。
ただ、日露戦争の借金完済が1986年だったと言う事実には驚いた。更には、この時以降、米の借金を肩代わりにしてしまったという指摘には同意する。
多額の日本の黒字、黒字で買った米国債。売れば円高となり、売るに売れない米国債の塩漬け。
米がいくら借金しても日本が黒字でカバーする。「黒字亡国」に書かれた日本。
米国債をIMFに寄付しようとした中川は不倫スキャンダルで失脚、自殺。共に画策した当時のIMF理事は、米のホテルで不倫スキャンダルで失脚。
裁判では無罪となったが、後の祭り。見えない手が動いている?
令和の皇后が皇居の森に閉じ込められ外の世界との繋がりを求め、スノードロップのいう...
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