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レビュー一覧 (36件)
悲しみの青春さんの投稿レビュー/和泉市立図書館
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1. 鉄道旅へ行ってきます
酒井 順子‖著 関川 夏央‖著 原 武史‖著
講談社 2010.12
悲しみの青春 さんの評価:
車中での鼎談は鉄道全般に関する話題が多くを占め、車窓から眺める沿線風景に関するものが少なかったのが不満だが、本書の目的は旅情を味わうものではないから仕方がない。「宮脇俊三六十代以降の鉄道ものには、はっきり倦怠の色が見える。」(P174:関川)との指摘が厳しいが、具体的にどの作品を言うのか不明である。宮脇は1926年生まれだが、「汽車旅は地球の果てへ」(1986年4月刊)等の海外紀行ものでは、まだエネルギッシュだから、テーマ的に「失われた鉄道を求めて」(1989年9月刊)あたりか。
車中での鼎談は鉄道全般に関する話題が多くを占め、車窓から眺める沿線風景に関する...
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2. 転生
満州国皇帝・愛新覚羅家と天皇家の昭和 牧 久‖著
小学館 2022.8
悲しみの青春 さんの評価:
愛新覚羅溥儀とその弟溥傑が辿った激動の生涯を描いたノンフィクションである。過日に千葉の稲毛を訪れた折りに、溥傑と妻の浩が半年ほど新婚生活を送った家を見学した。それで流転の王妃と称された嵯峨浩の生涯に関心を抱き、本書を手に取った次第である。著者は稲毛の在住者であり、当家の付近をジョギングしていたことが、本書執筆の動機になったというのも面白い。満州国の歴史を、これまでと違った視点で見ることができた。
愛新覚羅溥儀とその弟溥傑が辿った激動の生涯を描いたノンフィクションである。過日に...
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3. 小澤征爾指揮者を語る
音楽と表現 100年インタビュー 小澤 征爾‖語り 有働 由美子‖インタビュー 100年インタビュー制作班‖編
PHP研究所 2012.3
悲しみの青春 さんの評価:
NHKのインタビュー番組を基に文字起こしをしたものだが、中身の体裁に難あり。活字が大きくて行間も広く、ページ稼ぎとしか思えないあざとさだ。僕、聴くなど多くの漢字に振り仮名が振ってあるのは、読者を小学生レベルとなめているのか。小澤征爾にまでルビが付いているのは悪い冗談か。内容にも難あり。聞き手の有働アナが音楽について詳しくないので、小澤の話した内容に反応できず、通り一遍の質疑応答に終始している。村上春樹が書いた「小澤征爾さんと、音楽について話をする」と大違いだ。小澤について本当に知りたいのなら、ぜひこちらを読んでほしい。
付記:この番組を録画したものが見つかったので、さっそく後追い視聴した。本書は小澤の発言をほぼ正確に取り込んでいることがわかり、少し見直した。先ほどは有働アナを酷評したが、音楽マニア向けでもないのだから、これでいいか。
NHKのインタビュー番組を基に文字起こしをしたものだが、中身の体裁に難あり。活...
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4. 声をあげて
五ノ井 里奈‖著
小学館 2023.5
悲しみの青春 さんの評価:
裁判で勝訴し、陸自トップの幕僚長を謝罪に追い込ませたのだから、さぞかし優秀な弁護士がついていたのだろうと推測したが、本書を読む限り、性被害を受けて退職後、YouTubeでの配信を通じてマスコミに働きかけたのをきっかけに、独力で長い闘いを続けており、有力なアドバイザーの姿はみえない。誹謗中傷に耐えて自衛隊という巨大組織に立ち向かった精神力は賞賛に値する。
裁判で勝訴し、陸自トップの幕僚長を謝罪に追い込ませたのだから、さぞかし優秀な弁護...
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5. 不染鉄之画集
不染 鉄‖著
求龍堂 2018.3
悲しみの青春 さんの評価:
奈良県立美術館で不染鉄の回顧展を観たので、その記憶が薄れないうちにと閲読した。横山大観を凌ぐとの評価もあるが、戦後は中央画壇と距離を置いて奈良で創作を続けたので、最近まで脚光を浴びることはなかった。こんなマイナーな画家の画集をよくぞ購入したものだと、図書館の慧眼に敬意を表する。講演会で筋目画きと呼ばれる水墨画法に優れていると聞き、「孤帆」P112に見入った。
奈良県立美術館で不染鉄の回顧展を観たので、その記憶が薄れないうちにと閲読した。横...
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6. 寺山修司からの手紙
寺山 修司‖著 山田 太一‖編著
岩波書店 2015.9
悲しみの青春 さんの評価:
早大教育学部国語国文科で同級生だった山田太一と寺山修司の往復書簡集。腎臓の病気で入院した寺山を頻繁に見舞う山田だが、その場で語り足りない所を補う意味を込めて送られたもの。現在、原本は存在しないが、寺山死後の回顧展に際して集めたものをコピーしておいたのが幸いして、整理して出版にこぎつけたという数奇な経緯を辿っている。寺山を支えてきた田中未知さんの功績が大きい。
当然、当事者以外に読まれることは想定していないので、文脈を追うには困難が伴ったし、二人の濃密な関係を覗き見ているのではという背徳感に悩まされた。あとがきで山田が、開通直後の地下鉄丸ノ内線に二人で乗った思い出を本当に楽しそうに語っていたのが、鉄道ファンとして気になった。
早大教育学部国語国文科で同級生だった山田太一と寺山修司の往復書簡集。腎臓の病気...
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7. 大人の時間はなぜ短いのか
集英社新書 0460 一川 誠‖著
集英社 2008.9
悲しみの青春 さんの評価:
表題からは哲学的な考察の展開を期待したが、認知科学的な観点からの時間研究を取り上げたものであって、私の問いに答えていないので失望した。
表題からは哲学的な考察の展開を期待したが、認知科学的な観点からの時間研究を取り上...
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8. プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争
135枚が映し出す真実 田島 奈都子‖編著
勉誠出版 2016.7
悲しみの青春 さんの評価:
本書に掲載されているのは、長野県の阿智村に現存する戦時国民精神高揚ポスターで、1937年の日中戦争開戦から1945年の終戦までの約10年間に製作された135枚である。当時村長を務めた原弘平氏が、焼却処分の命令に反して自宅土蔵の天井の梁の裏に密かに保管していたものを、孫が発掘し公開した。詳細な解説を加えた編著者は青梅市立美術館で近代日本のデザイン史・ポスター史を研究する学芸員とある。当時の国策をうかがい知る貴重な資料として読み解くことができるが、証拠隠滅を図ろうとした官僚的体質を指弾することを忘れてはならない。
本書に掲載されているのは、長野県の阿智村に現存する戦時国民精神高揚ポスターで、1...
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9. 人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか? 最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深
ダイヤモンド社 2017.5
山本一成
悲しみの青春 さんの評価:
人工知能という文系の人間にとっては理解が難しい分野を、分かり易く説明しようという著者の誠意ある態度を十分汲み取ることができる。しかし、それに付いていくのは困難を極め、機械学習は何とか把握できたが、ディープラーニングとかロジスティック回帰となると、敬して遠ざかるのが関の山であった。
著者は、東大留年中にプログラミングの道に進むことを決意し、将棋ソフトのポナンザの開発に着手する。それが人間の能力を超えることは、早い段階から分かっていたというのがすごい。しかし、名人に勝つという目的を達成した後、その功績を捨てて、現在は完全自動運転システムを搭載した自動車メーカーを作ることに挑戦しているというのが瞠目に価する。朝日新聞連載の「フロントランナー」で取り上げられたのも納得する。
人工知能という文系の人間にとっては理解が難しい分野を、分かり易く説明しようとい...
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10. 友情について
僕と豊島昭彦君の44年 佐藤 優‖著
講談社 2019.4
悲しみの青春 さんの評価:
佐藤優の高校時代の親友豊島氏の人生を振り返りながら、佐藤の外務省時代の記憶をシンクロさせるという異色の構成である。きっかけは豊島氏が膵臓癌になり、余命の中央値は291日と判明した時に佐藤がかけた呼びかけに始まる。「豊島、一緒に本を作ろう。君の体験という財産を、後の人たちのために遺すんだ。」豊島氏の社会人としての半生は、日債銀からあおぞら銀行になって、外国人上司に苦労し、ゆうちょ銀行では優秀だがそりの合わない上司に悩まされる。「性善説に立って誠実に努力する豊島の体験を、性悪説に立つ(と自ら分析する)佐藤が冷静なスタイルで語ることにより、人間や組織の根深い問題を際立たせ、一流の社会派サスペンス物語のように仕上がっている。」との評に同感した。
佐藤優の高校時代の親友豊島氏の人生を振り返りながら、佐藤の外務省時代の記憶をシン...
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