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レビュー一覧 (36件)
悲しみの青春さんの投稿レビュー/和泉市立図書館
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図書
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(4人)
31. B面昭和史
1926-1945 半藤 一利‖著
平凡社 2016.2
悲しみの青春 さんの評価:
今では「B面」という言葉は死語になったが、レコード(これも死語か)のメインとなるA面に対して、あまり目立たない裏面のこと。本書で言えば、昭和史の政治・経済・軍事・外交といった教科書に載るような出来事に対して、特に改まって記されることもない庶民の生活を言う。著者の代表作である「日本のいちばん長い日」や「昭和史」と対になる作品であり、本書を読むことによって、著者の他の著書に対する理解も大いに深まる。「神は細部に宿る」という私の好きな言葉があるが、本書の随所にちりばめられた何気ないエピソードから、歴史の生々しい息遣いを垣間見ることができる。
たとえば、「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」は、「大東亜戦争一周年記念・国民決意の標語」の入選作の中で最も人気があったものだそうだが、「工」の一字を消した落書きが巷間に横行し、それを警防団員らが消すのを悪ガキだった著者が手伝わされたという話は、言葉遊びとして秀逸であるが、ひと笑いした後で、当時の銃後の生活の窮状を想像して胸が痛む。
当初は図書館で借りて一読して済ませようと思ったが、平凡社ライブラリーで安価に入手することができるので身銭を切って購入し、昭和史を調べる時の座右の書としたい。
今では「B面」という言葉は死語になったが、レコード(これも死語か)のメインとな...
貸出不可(未所蔵)
(1人)
32. 父・宮脇俊三への旅
グラフ社 2006.12
宮脇灯子 著
悲しみの青春 さんの評価:
宮脇俊三と言えば、鉄道紀行作家として神格化されており、「時刻表2万キロ」を始めとする作品群をバイブルのように信奉する読者が多く存在する。私もその一人であり、彼の書籍のほとんどを単行本初版で揃えているのが秘かな自慢である。しかし、娘から見た父としての宮脇は、決してキリストのような聖人ではなく、特に晩年はアルコール依存症といってよい状態だったという。一番驚いたエピソードは、妻に荷造りの手伝いを頼まれて、虫の居所が悪かったのか逆切れして窓ガラスに右手を突っ込んで腕の神経を切り、救急車を呼ぶ騒ぎになったという件である。作風から飄々としたイメージしか持っていなかっただけに落差が大きかった。子供に対しては放任主義で接したが、出版社に就職したいという娘の希望を聞いて、名編集長だった経歴を活かして方々の出版社に取り次ぎを図って親の七光りを発揮したのには微笑んでしまった。これらを通じて、身内の暴露本として非難する向きもあるが、宮脇の別の側面を知ったからと言って、彼の作品の価値を損なうものではない。むしろ宮脇の隠れた人となりを理解する一助となった点で、本書の功績は大きい。
宮脇俊三と言えば、鉄道紀行作家として神格化されており、「時刻表2万キロ」を始めと...
貸出不可(未所蔵)
(1人)
33. 中国火車旅行
KADOKAWA 1988.2
宮脇俊三 著
悲しみの青春 さんの評価:
私は、ヨーロッパはユーレイルパスを使って何度か鉄道旅行をしたことがあるが、中国は鉄道雑誌のツアーで成昆鉄道に乗ったきりである。従って、本書で著者が中国の鉄道を縦横に乗りまくっているのに接すると、羨ましさが先に立つ。その点を差し引いても、脂の乗り切った筆致で描かれる、鉄路を主体とする中国の描写には感銘を受ける。成昆鉄道のループ線を深夜に通過するので、磁石の針に目を凝らして観察したという件には恐れ入った。しかし、これはあくまでも30数年前の世界であり、その後のこの国の急激な変化(鉄道も高速新幹線が四通八達した)を考慮すると、本書から旅の情報を得ようとするのは誤りであり、当時の風俗を知るという、のんびりとした読み方がふさわしい。例えば、車掌に持参したポラロイドカメラで写真を撮ってプレゼントしたら、驚きかつ喜ばれて、その後は急に愛想良くなったエピソードなんて、今ではあり得ないでしょう。
私は、ヨーロッパはユーレイルパスを使って何度か鉄道旅行をしたことがあるが、中国は...
図書
貸出可能
(1人)
34. 二人で紡いだ物語
米沢 富美子‖著
出窓社 2000.7
悲しみの青春 さんの評価:
題名からロマンチックな内容を期待すると、その思惑は外れるが、それとは比較にならぬ感動を与えてくれる。学生時代に結婚した夫が海外赴任した後を追うため、イギリス中の大学に自薦状を送り付け、キール大学に留学するという破天荒な話から始まるが、NHKの番組「世界わが心の旅」でこの大学を訪れているから、やはり相当な思い入れがあったのであろう。自他共に認める天才であるのに、乳がんの手術で入院する前日に、学生250人分の答案の採点をするという律儀な面もある。凡才でも入院前日は気もそぞろになっても咎められないというのに、天才は雑事にかまけなくても良いと自分を甘やかさない所がすばらしい。同じくNHKの「あの人に会いたい」でも紹介されていたが、映像で見る限りは、日本物理学会長も務めた偉い人にはとても思えない。
題名からロマンチックな内容を期待すると、その思惑は外れるが、それとは比較にならぬ...
図書
貸出可能
(0人)
35. 「無罪」を見抜く
裁判官・木谷明の生き方 木谷 明‖著 山田 隆司‖聞き手 編 嘉多山 宗‖聞き手 編
岩波書店 2013.11
悲しみの青春 さんの評価:
2019年8月3日のMBSテレビ「報道特集」で、多くの無罪判決を出した元裁判官の木谷明弁護士が、冤罪の救済に挑む姿を取り上げていたので、本書を読んだ。父の木谷實は囲碁棋士で、戦前の実力第一人者であり、囲碁を嗜む者なら知らぬ人はいないはずだ。
2019年8月3日のMBSテレビ「報道特集」で、多くの無罪判決を出した元裁判官の...
図書
貸出可能
(2人)
36. がんより怖いがん治療
近藤 誠‖著
小学館 2014.11
悲しみの青春 さんの評価:
がん治療に関するメインテーマよりも、著者が経歴を語る部分が興味あった。慶應病院という組織の中で孤軍奮闘する姿には頭が下がる。退職後、所属していた放射線治療科から絶縁状が送られてきたのには驚いた。
がん治療に関するメインテーマよりも、著者が経歴を語る部分が興味あった。慶應病院と...
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