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レビュー一覧 (16件)
たけがわさんの投稿レビュー/新ひだか町図書館
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1. 秘密
文春文庫 東野 圭吾‖著
文芸春秋 2001.5
たけがわ さんの評価:
バス事故で妻・直子を失った夫・平介。ところが、直子の魂は小学5年生の娘・藻奈美に乗り移っていた。
誰にもいえない「秘密」を抱えたまま、二人はどんな生活を送っていくのか。
一見すると、夫・平介が家族の父親として成長する物語です。
しかし、最後まで読めば、妻・直子からの平介への愛情の物語であると気がつかされます。
近年と比較すると表現がまだ稚拙だったり、シリアスに進める場面でボケが顔を覗かせてコンセプトがブレたりな場面がありますが、そこは東野圭吾の出世作ということで「自分探しの真っ最中なんだな」とフォローするところだと思います。
ヒロスエが好きな人もそうでない人も、ラストシーンまで読み進めてほしい一冊です。あ、私は好きです。
バス事故で妻・直子を失った夫・平介。ところが、直子の魂は小学5年生の娘・藻奈美に...
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2. 変身
講談社文庫 東野 圭吾‖著
講談社 1994.6
たけがわ さんの評価:
世界初の成人脳移植の被験者となった成瀬純一。手術は無事成功し、彼は事件により脳を損傷する前と同じ状態で社会復帰した、、、ように見えた。しかし、彼の意識は、ドナーの意識に次第に乗っ取られていく。
人格が変貌していくなか、自分を、そして愛する人さえも信じられなくなっていく成瀬の運命はーー
オカルトのようにみえて、割と硬派なSFテイストです。
(そのあたりが、実はミステリーとしての確信ではないかとも思ったり)
「秘密」とは違ったアプローチで(そして結末で)本当の「私」とはなんなのかを描く東野圭吾の傑作です。
世界初の成人脳移植の被験者となった成瀬純一。手術は無事成功し、彼は事件により脳を...
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3. 容疑者Xの献身
[ガリレオ] [3] 東野 圭吾‖著
文藝春秋 2005.8
たけがわ さんの評価:
ガリレオシリーズの長編です。
犯人?が湯川先生の同級生の天才数学者・石神ということで超数学チックな展開です。
作中、数学者の言葉の引用で「よい定理には美しい簡明な照明がある」とあるように、今回のトリックは実はすごい単純。
が、そこに目がいかないように巧妙に誘導されました(読者に対しても)。
なんて恐ろしい子・・・
ただトリックもさることながら石神の人物描写がこれがまた切ないです。
動機もこれがまた単純なようで単純でないことが物語に示されてます。
「容疑者X」との表現は、石神が場面に応じてどんなこともやる変数=Xとして示されてるのかと勘繰ってみたり。
そういやガリレオシリーズといっても、科学トリック→解明という流れではないため雰囲気はちょっと違うかも。
次作はバリバリに物理トリックな作品も期待します。
東野圭吾さんの作品のレビューを他にもいろいろ書いています。
ブクログーたけがわの本棚
http://booklog.jp/users/cascadebook?tag=%E6%9D%B1%E9%87%8E%E5%9C%AD%E5%90%BE&display=front
ガリレオシリーズの長編です。犯人?が湯川先生の同級生の天才数学者・石神ということ...
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4. 聖女の救済
[ガリレオ] [5] 東野 圭吾‖著
文藝春秋 2008.10
たけがわ さんの評価:
探偵ガリレオシリーズ最新作。
シリーズ当初の「オカルト現象を科学の知識で解明」ってパターンから、「理系的思考でトリックを解明」って形にシフトしています。
といっても、今回は「スプリング8」が登場したほかは、理系的キーワードは「虚数解」くらいですが。
作品中では「理論上ありえるけど、実現性する可能性はない」といった意味で使用されています。
作中ではその「ありえないトリック」を使用した犯罪をいかに立証するか、がポイントになっています。
ただし、著者さん自身が理系であるためか、そこまでむちゃくちゃ実現性が低いって印象は受けないって程度です。むしろ合理的な説明がついちゃっている、というか。
なんとなくトリックとしては、森博嗣「すべてがFになる」の方向性を現実的にしてみました、といった様子です。
また、いままでトリック解明に終始して、犯罪の立証にはあまり積極的ではなかったガリレオ先生が、今作は動機・謎解きに終盤は積極的に参加していることが印象的です。
キャラが生きてきたととるべきか、著者さんのほうが、ドラマ作品に引きずられているととるべきか。
東野圭吾さんの作品のレビューを他にも書いています。
ブクログーたけがわの本棚
http://booklog.jp/users/cascadebook?tag=%E6%9D%B1%E9%87%8E%E5%9C%AD%E5%90%BE&display=front
探偵ガリレオシリーズ最新作。シリーズ当初の「オカルト現象を科学の知識で解明」って...
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5. パラドックス13
東野 圭吾‖著
毎日新聞社 2009.4
たけがわ さんの評価:
この兄貴がとにかくすごい。
警察で培ったたぐいまれなる危機管理能力と人心掌握術をもち、被災後わずか数時間で防災無線で生存者を呼び集め、荒廃した東京で政府の機密情報を探り当て、わずかな天候の変化から河川の氾濫を察知し、電動ドリルと針金だけでマンションのドアをいとも簡単に開錠し、インフル患者をまとめて看病しても感染せず、愛用の腕時計は瓦礫や洪水をくぐり抜けても電波時計よりも正確に時を刻み続ける。
そりゃ弟がひねくれるのも当たり前という、スーパー兄貴だ。
そんな彼だから、他の登場人物が、必死で元の生活に戻れることを目指してサバイバルするなか、彼だけは新しい世界で(みんなで)生きていくこと選択する(そして、顰蹙を買う)。天才の発想は、たとえ合理的であっても、一般大衆には受け入れられない、という端的な事実だ。
結局、一般大衆の代表たる弟だけが、なんとなーく兄貴を理解したところで、物語は終わる。
いわば知恵の兄貴と、本能の弟が、サバイバルのなかでうまいこと折り合いをつけていくストーリーだ。
長いストーリーの割に、一気読みできるのは、さすがの東野圭吾といったところ。
感動よりもエンターテイメントを楽しむ作品なので、そんなスーパー兄貴の活躍をにやにやしながら気軽に楽しむことが一番、な作品。
東野圭吾さんの作品のレビューを他にもいろいろ書いています。
ブクログーたけがわの本棚
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この兄貴がとにかくすごい。警察で培ったたぐいまれなる危機管理能力と人心掌握術をも...
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6. モダンタイムス
Morning NOVELS 伊坂 幸太郎‖著
講談社 2008.10
たけがわ さんの評価:
この頃から作風を変えた伊坂先生、おもしろいことはおもしろいけど、まだ新しい作風をつかみ切れていない印象です。なにか、伏線の貼り方が空回りしてるというか、せっかく貼った伏線が不発に終わっているような。
この作品でやりきれなかったことが、同時期に並行して書かれた「ゴールデンスランバー」でやり切れてる気がします。
週刊マンガ誌に連載されていたということを含めて、実験的な作品だったのかな、と思います、はい。
伊坂幸太郎さんの作品のレビューを他にもいろいろ書いています。
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この頃から作風を変えた伊坂先生、おもしろいことはおもしろいけど、まだ新しい作風を...
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7. ゴールデンスランバー
A MEMORY 伊坂 幸太郎‖著
新潮社 2007.11
たけがわ さんの評価:
おもしろかった!
ちょっと読み始めるつもりが、これで休日まるまる1日つぶすくらい面白かった。
いままで積読してたのがほんともったいない。
仙台で起こった首相暗殺事件。
その容疑者として浮上したのは、事件とはまったく関係のない一青年だった。
次々と明らかになる「あるはずのない証拠」に大きな陰謀の存在を気付いた青年は、必死の逃亡を開始する――
本作品から「伊坂幸太郎 第二期」になるそうで、作風がガラリと変わります。
といいつつも、巧妙な言い回しや、気持ちいいくらいのご都合主義、また何より「そこでそうなるの?」と驚くというよりも感心しちゃうような伏線がバシバシ貼られています。
っていうか、本当はハードボイルド路線で行きたかったのだけど、後半になってついつい今までのクセが出ちゃった、って感じです。
後半の超緊迫シーンで出てきた「やじやじやじやじ矢島です」はあれは卑怯だ。絶対笑う。
(ネタばれ?)
読了感は「終末のフール」に似た、物悲しいながらも晴れ晴れとして爽快感があります。
絵的なものも含めて、映画にしたら面白いだろうな、と思っていたら、やっぱり映画化されてるみたいで、けっこう高評価な様子。
原作を読み終えたうえで、そっちも見てみたいです。
伊坂幸太郎さんの作品のレビューを他にもいろいろ書いています。
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おもしろかった!ちょっと読み始めるつもりが、これで休日まるまる1日つぶすくらい面...
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8. オー!ファーザー
a family 伊坂 幸太郎‖著
新潮社 2010.3
たけがわ さんの評価:
岡田将生さん主演の映画は、コメディもしくはサスペンスといったテイストのようですけど、原作のこちらは「日常系」といった様相です。
「父親が4人」といったシチュエーションのなかで、ゆる〜く日常が繰り広げられて行きます。
「妹が12人」のシスプリとおんなじと言えます。
(すいません、言い過ぎです)
ただ、本当に何も起こらない。
「父親が3人」と一人少ないのに、劇団四季の「マンマミーア!!」のほうがまだ急転直下でいろいろ起こるくらい。
映画の原案となったであろう「誘拐」はどうなっちゃったの?ひょっとして、この文庫本やたら分厚いけど、上・中・下の1作目なの?と訝るほどです。
もともと新聞連載されていた本作の、ストーリー展開は仕方が無いにしろ、ただ「伊坂幸太郎にしては」伏線回収とかラストの盛り上がりとか、もうちょっとあったんじゃないか、と思うくらい。
いえ、エンターテイメント小説としては、最上級レベルなんでしょうけど。
すごくどうでもいい点ですが、個人的なツボは、あれだけ文章にうるさい(と思う)伊坂幸太郎が、作中、「違和感を感じる」といった「頭が頭痛」的な表現をしていたという点です。
新聞小説特有の、締め切りに追われていたのでしょうか。
そういうピンチのときに、4人のお父さんが助けてくれればいいのに。
他にも伊坂幸太郎さんの作品のレビューをいろいろ書いています。
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岡田将生さん主演の映画は、コメディもしくはサスペンスといったテイストのようですけ...
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9. マリアビートル
伊坂 幸太郎‖著
角川書店 角川グループパブリッシング(発売) 2010.9
たけがわ さんの評価:
ざっくりとした印象は「新聞小説をまとめて読んでいるみたい」。つまりはエンターテイメント小説です。
要所要所にヤマ場があり、謎解きがあり、さらに伏線もたくさん散りばめられてて、先を読むのがもどかしくなります。
キャラクターもそれぞれがいい味を出している。
そこが伊坂らしいところ。
ところが、それら伏線がなかなか回収されない。されたかと思えば、なんだか中途半端。消化不良。
「こいつを殺したのは誰だ?」的なミステリー要素も多分にありながら、犯人はミステリーらしさ皆無だったりです。
もう少し練り込めないかな〜、なんて振り返ってみれば思う点も多かったり。
ただ、中盤以降、重っ苦しいムードになっていくなかで、最後で「あの大ベテラン」が登場して以降のワクワク感は超特急です。
さすが新幹線を舞台にしただけのことはあります。
ひょっとしたら続編があるのかな?な期待も込めて、様々な意味で伊坂幸太郎上級者向けです。
伊坂幸太郎さんの作品のレビューを他にもいろいろ書いています。
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ざっくりとした印象は「新聞小説をまとめて読んでいるみたい」。つまりはエンターテイ...
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10. 陽気なギャングは三つ数えろ
長編サスペンス書下ろし ノン・ノベル 1026 伊坂 幸太郎‖著
祥伝社 2015.10
たけがわ さんの評価:
期待していた9年ぶりのシリーズ新作、前作までは横浜を舞台のロマンあふれる銀行強盗劇が繰り広げられたというのに、今回は、いたって地味だ。10年ぶりの新作のスターウォーズは公開前からロマンにあふれているというのに。
最初の銀行強盗シーンも、ちょっと締まらない。本人達にも数年ぶりのブランクがあったようだが、気が抜ける結末。
また、成瀬達はいくつかの災難に巻き込まれるが、それらはカツ上げ、当たり屋、痴漢冤罪、振り込め詐欺など、ケチな犯罪ばかりだ。
敵役の火尻もほんと、せこい。
(スターウォーズでいえばグリーバス将軍くらい。
途中で出てくる第3勢力・大桑がダース・シディアス並の風格を持っているにも関わらず、だ)
最後のオチにも、いまいち爽快感はない。
オビワン・ケノービ的に表現すれば、ライトセイバーではなく野蛮な武器=レーザー銃をつかって敵を倒してしまったかのような、不本意さが残る。
この爽快感のなさ、まるで現代社会を表しているかのようだ。
ブラック企業とか、バイトテロとか、「なんだかなぁ」な事件が、やたらと一大事のように取り上げられる。
ロマンが欲しいのだけど、どこにあるのかわからない。
だが、ロマンのない世界でも、新たな希望が見える。
慎一くんも働き始めてるし、響野さんより役に立つ新キャラも登場。
先述したラストの展開も、現代に適合した、今までと違ったパターンを展開しているようにも見える。
要所要所で著者の「もう辞めようよ」的なグチが聞こえてくるが、それでも続編への布石が打たれている。
九年前にリアルタイムに「陽気なギャング」を読んで心躍らせた人たちにこそ、いま、改めて読んで欲しい一冊。
伊坂幸太郎さんのレビューを他にもいろいろ書いています。
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期待していた9年ぶりのシリーズ新作、前作までは横浜を舞台のロマンあふれる銀行強盗...
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