たけがわさんのブックリスト / 新ひだか町図書館

図書
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(20人)
11. オー!ファーザー
a family 伊坂 幸太郎‖著
新潮社 2010.3
たけがわ さんの評価:
岡田将生さん主演の映画は、コメディもしくはサスペンスといったテイストのようですけど、原作のこちらは「日常系」といった様相です。
「父親が4人」といったシチュエーションのなかで、ゆる〜く日常が繰り広げられて行きます。
「妹が12人」のシスプリとおんなじと言えます。
(すいません、言い過ぎです)
ただ、本当に何も起こらない。
「父親が3人」と一人少ないのに、劇団四季の「マンマミーア!!」のほうがまだ急転直下でいろいろ起こるくらい。
映画の原案となったであろう「誘拐」はどうなっちゃったの?ひょっとして、この文庫本やたら分厚いけど、上・中・下の1作目なの?と訝るほどです。

もともと新聞連載されていた本作の、ストーリー展開は仕方が無いにしろ、ただ「伊坂幸太郎にしては」伏線回収とかラストの盛り上がりとか、もうちょっとあったんじゃないか、と思うくらい。
いえ、エンターテイメント小説としては、最上級レベルなんでしょうけど。

すごくどうでもいい点ですが、個人的なツボは、あれだけ文章にうるさい(と思う)伊坂幸太郎が、作中、「違和感を感じる」といった「頭が頭痛」的な表現をしていたという点です。
新聞小説特有の、締め切りに追われていたのでしょうか。
そういうピンチのときに、4人のお父さんが助けてくれればいいのに。


他にも伊坂幸太郎さんの作品のレビューをいろいろ書いています。
ブクログーたけがわの本棚
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岡田将生さん主演の映画は、コメディもしくはサスペンスといったテイストのようですけ...

図書
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(31人)
12. ゴールデンスランバー
A MEMORY 伊坂 幸太郎‖著
新潮社 2007.11
たけがわ さんの評価:
おもしろかった!
ちょっと読み始めるつもりが、これで休日まるまる1日つぶすくらい面白かった。
いままで積読してたのがほんともったいない。

仙台で起こった首相暗殺事件。
その容疑者として浮上したのは、事件とはまったく関係のない一青年だった。
次々と明らかになる「あるはずのない証拠」に大きな陰謀の存在を気付いた青年は、必死の逃亡を開始する――

本作品から「伊坂幸太郎 第二期」になるそうで、作風がガラリと変わります。
といいつつも、巧妙な言い回しや、気持ちいいくらいのご都合主義、また何より「そこでそうなるの?」と驚くというよりも感心しちゃうような伏線がバシバシ貼られています。
っていうか、本当はハードボイルド路線で行きたかったのだけど、後半になってついつい今までのクセが出ちゃった、って感じです。
後半の超緊迫シーンで出てきた「やじやじやじやじ矢島です」はあれは卑怯だ。絶対笑う。
(ネタばれ?)

読了感は「終末のフール」に似た、物悲しいながらも晴れ晴れとして爽快感があります。
絵的なものも含めて、映画にしたら面白いだろうな、と思っていたら、やっぱり映画化されてるみたいで、けっこう高評価な様子。
原作を読み終えたうえで、そっちも見てみたいです。

伊坂幸太郎さんの作品のレビューを他にもいろいろ書いています。
ブクログーたけがわの本棚
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おもしろかった!ちょっと読み始めるつもりが、これで休日まるまる1日つぶすくらい面...

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(13人)
13. パラドックス13
東野 圭吾‖著
毎日新聞社 2009.4
たけがわ さんの評価:
この兄貴がとにかくすごい。
警察で培ったたぐいまれなる危機管理能力と人心掌握術をもち、被災後わずか数時間で防災無線で生存者を呼び集め、荒廃した東京で政府の機密情報を探り当て、わずかな天候の変化から河川の氾濫を察知し、電動ドリルと針金だけでマンションのドアをいとも簡単に開錠し、インフル患者をまとめて看病しても感染せず、愛用の腕時計は瓦礫や洪水をくぐり抜けても電波時計よりも正確に時を刻み続ける。
そりゃ弟がひねくれるのも当たり前という、スーパー兄貴だ。

そんな彼だから、他の登場人物が、必死で元の生活に戻れることを目指してサバイバルするなか、彼だけは新しい世界で(みんなで)生きていくこと選択する(そして、顰蹙を買う)。天才の発想は、たとえ合理的であっても、一般大衆には受け入れられない、という端的な事実だ。

結局、一般大衆の代表たる弟だけが、なんとなーく兄貴を理解したところで、物語は終わる。

いわば知恵の兄貴と、本能の弟が、サバイバルのなかでうまいこと折り合いをつけていくストーリーだ。

長いストーリーの割に、一気読みできるのは、さすがの東野圭吾といったところ。
感動よりもエンターテイメントを楽しむ作品なので、そんなスーパー兄貴の活躍をにやにやしながら気軽に楽しむことが一番、な作品。


東野圭吾さんの作品のレビューを他にもいろいろ書いています。
ブクログーたけがわの本棚
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(14人)
14. モダンタイムス
Morning NOVELS 伊坂 幸太郎‖著
講談社 2008.10
たけがわ さんの評価:
この頃から作風を変えた伊坂先生、おもしろいことはおもしろいけど、まだ新しい作風をつかみ切れていない印象です。なにか、伏線の貼り方が空回りしてるというか、せっかく貼った伏線が不発に終わっているような。

この作品でやりきれなかったことが、同時期に並行して書かれた「ゴールデンスランバー」でやり切れてる気がします。
週刊マンガ誌に連載されていたということを含めて、実験的な作品だったのかな、と思います、はい。

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(14人)
15. 聖女の救済
[ガリレオ] [5] 東野 圭吾‖著
文藝春秋 2008.10
たけがわ さんの評価:

探偵ガリレオシリーズ最新作。
シリーズ当初の「オカルト現象を科学の知識で解明」ってパターンから、「理系的思考でトリックを解明」って形にシフトしています。
といっても、今回は「スプリング8」が登場したほかは、理系的キーワードは「虚数解」くらいですが。
作品中では「理論上ありえるけど、実現性する可能性はない」といった意味で使用されています。
作中ではその「ありえないトリック」を使用した犯罪をいかに立証するか、がポイントになっています。
ただし、著者さん自身が理系であるためか、そこまでむちゃくちゃ実現性が低いって印象は受けないって程度です。むしろ合理的な説明がついちゃっている、というか。
なんとなくトリックとしては、森博嗣「すべてがFになる」の方向性を現実的にしてみました、といった様子です。

また、いままでトリック解明に終始して、犯罪の立証にはあまり積極的ではなかったガリレオ先生が、今作は動機・謎解きに終盤は積極的に参加していることが印象的です。
キャラが生きてきたととるべきか、著者さんのほうが、ドラマ作品に引きずられているととるべきか。


東野圭吾さんの作品のレビューを他にも書いています。
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(21人)
16. 容疑者Xの献身
[ガリレオ] [3] 東野 圭吾‖著
文藝春秋 2005.8
たけがわ さんの評価:
ガリレオシリーズの長編です。
犯人?が湯川先生の同級生の天才数学者・石神ということで超数学チックな展開です。
作中、数学者の言葉の引用で「よい定理には美しい簡明な照明がある」とあるように、今回のトリックは実はすごい単純。
が、そこに目がいかないように巧妙に誘導されました(読者に対しても)。
なんて恐ろしい子・・・

ただトリックもさることながら石神の人物描写がこれがまた切ないです。
動機もこれがまた単純なようで単純でないことが物語に示されてます。
「容疑者X」との表現は、石神が場面に応じてどんなこともやる変数=Xとして示されてるのかと勘繰ってみたり。

そういやガリレオシリーズといっても、科学トリック→解明という流れではないため雰囲気はちょっと違うかも。
次作はバリバリに物理トリックな作品も期待します。



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ガリレオシリーズの長編です。犯人?が湯川先生の同級生の天才数学者・石神ということ...

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(2人)
17. ティファニーで朝食を
トルーマン カポーティ‖著 村上 春樹‖訳
新潮社 2008.2
たけがわ さんの評価:

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(2人)
18. ロング・グッドバイ
レイモンド チャンドラー‖著 村上 春樹‖訳
早川書房 2007.3
たけがわ さんの評価:

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(1人)
19. 雨天炎天
ギリシャ・トルコ辺境紀行 新潮文庫 村上 春樹‖著
新潮社 1991.7
たけがわ さんの評価:

旅行記というのは、作者がひどい目にあえばあうほど、おもしろくなる。
特に村上氏の旅行記はそれが顕著だ。
(村上氏の旅行記は他にもあるけど、ひどい目にあわないでおもしろいのは、おいしい料理を食べられているときと、マラソンを走っているときくらいだ)

タイトルからして大変さがにじみ出てる。
「雨天」は、たった3泊4日の旅なのに、雨の中、険しい山道を半ば遭難しながらさまよってヘトヘトになったギリシャ正教の聖地アトスへの巡礼期だ。
「炎天」は、3週間かけて灼熱で、車の運転は荒くて、ゲリラに囲まれてたばこをせびられて、ホテルで水を飲めば下痢をして、ノープロブレムと言われれま問題だらけで、「もう一度そこに行きたいかといわれれば、今のところ僕の答えはノーだ」というトルコの一周旅行の記録だ。

さて、これだけ気の毒な旅行記だというのに(旅行した当事者たちはともかく)読んでいるほうは、不思議と自分もアトス、そしてトルコに行きたくなる。
アトスの修道院で固いパンと冷めた豆のスープを飲みたくなるし、トルコのチャイハネでトルコ人のおしゃべり攻撃に耐えながら日記を書きたくなる。

なぜかと思えば、村上氏の(ユーモアあふれる)筆致により、村上氏が感じた当地の「空気」が活き活きと表現されているからだ。
そして、その「空気」を「リアル」に感じることが、旅行の醍醐味だと、村上氏は述べている。
その旅行感そのものを村上氏と追体験したくなるのだ。

ギリシャ正教の人もそうじゃない人も、トルコでヴァン猫を見に絨毯店に入りたい人も入りたくない人も、いちど読んで損はない一冊。
(なお、僕はそうまでしてトルコには行きたくない)


他にも村上春樹さんの作品のレビューをいろいろ書いています。
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旅行記というのは、作者がひどい目にあえばあうほど、おもしろくなる。特に村上氏の旅...

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(2人)
20. 走ることについて語るときに僕の語ること
村上 春樹‖著
文藝春秋 2007.10
たけがわ さんの評価:
「走る小説家」こと村上春樹氏のランニングに関するエッセイ(いや、そんなキャッチフレーズがあるのか知らないけど)。
ライフワークとしている年1回のフルマラソン出場、さらにそれだけでなくウルトラマラソン(100km)やトライアスロンなど、自分に苦痛を与える長距離競技に出場するなかで感じていることを、小説に負けず劣らずの軽妙かつシックな口調で表現している。

村上氏が走るのは、もともとは健康のためだ。
ただ、20年以上のランナー生活を経て、走ることそのものの価値を見いだしている。
「ただ走る」ことで「無心」を得ている。
これは、禅宗でいう「只管打坐」と同じ発想だ。

「僕は走りながら、ただ走っている。僕は原則的には空白の中を走っている。逆の言い方をすれば、空白を獲得するために走っている、ということかもしれない。」(第1章)

しかも、村上氏は、「どうしても生じる雑念」についても語っている。
そして、その上で感じ入ったのは、村上氏はその雑念さえも受け入れている、といいうことだ。

「そのような空白の中にも、その時々の考えが自然に潜り込んでくる。当然のことだ。人間の心の中には真の空白など存在し得ないのだから」(第1章)


坐禅に取り組んでいる者にとって、この言葉は自分たちが(坐禅の中で)感じていることを、ものすごく的確に表現しているように思える。
坐っている自身すら存在しなくなることが坐禅の目標のひとつだ。だが、空白になるなんてことはない(できるのは悟りを開いたときだ)。
坐禅に取り組む者が皆、感じていることだ。
だが、こうした「禅的な迷い」まで著した言葉は、坐禅の本では滅多にお目にかからない。
それを、ランナーである村上氏が、表現してくれている。
心が晴れた思いだ。


もちろん、ランナー目線でみたほうが、より得るものは大きいだろう。
走ることについて、新たな視点を示してくれる、全国の「お一人様ジョガー」(いや、そんな言葉はあるのか知らないけど)にもぜひ読んで欲しい一冊。


他にも村上春樹さんの作品のレビューを書いています。
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