甲斐市立図書館

昼はカフェ、夜はゲイバーになる、
《カフェ・フロリアン》オーナーママのショウは
自分の前世が何代も見えるという特殊能力を持つ。
同じように前世が見え、どう解釈していいのか
助言を求めてやって来る客の問題を解決していく。

ロスト・ヴィレッジはミステリー、その他は
ファンタジー小説。
内容的には中高生向きといったところ。
横溝正史ミステリ大賞《首挽村の殺人》が
面白かったので読んでみたものの
個人的には特筆すべきものはなかった。

ネットでの読書レビューでは大村友貴美さんの
作品の中では上位に入る高評価がついていたが
これが上位なら他の作品は読まなくていいかも。


1.キサブロー、帰る· · ·△
2.ロスト・ヴィレッジ· · ·○
3.僕が殺された日· · ·△
4.虐げられた男は逆襲する· · ·△
5.また逢う日まで· · ·△

昼はカフェ、夜はゲイバーになる、《カフェ・フロリアン》オーナーママのショウは自分...

さすが中山七里さん、短編でも《どんでん返し》が
冴え渡る！

1.赤い水　
　運転手、蓬田は家族を工場排水の鉛中毒が原因で
　家族を亡くしていた。
　その工場社長を事故を装って殺害するが、実は
　同じ被害者家族の運行管理者の高瀬に誘導された
　ものだった。
2.黒いハト
　男子中学生の雅也が校舎の屋上から飛び降り、死亡。
　イジメの中心人物、健斗の強要による殺人と
　みられたが飛び降りるよう引き金を引いたのは
　絶望に歪んだ雅也の顔に快感を感じる親友の
　春樹だった。
3.白い原稿
　文学書受賞ロック歌手、篠島が殺害される。
　犯人は篠島の受賞によって落選したと思い込んだ
　嵐馬が篠島殺害で話題を作り小説家デビューを
　目論んだ犯行と思われたが、
　真犯人は篠島の見かけ倒しの才能に失望した
　妻で、急性アルコール中毒から凍死させていた。
4.青い魚
　中年の釣具屋店主、帆村に近づき家族同然に同居
　し始めた本橋兄妹。
　お決まりのように兄妹の正体は夫婦で、
　保険金殺人へと向かって行くが、帆村が調理した
　クサフグの毒によって返り討ちにあう。
5.緑園の主
　ホームレス狩りをしていた中学生、拓真が毒殺される。
　かねてよりホームレスの黒沢と親交があり、
　自身、夫婦で丹精込めて手入れをしていた庭や菊を
　拓真のサッカーボールで度々荒らされていた
　佐田啓造が怒りにかられ、妻に殺鼠剤入りの
　おはぎを作らせ、拓真に渡して殺害したものだったが
　真の犯行動機は妻が認知症で、老老介護に限界を
　感じ、妻に殺人を起こさせ、心神喪失で不起訴、
　税金で指定医療機関での治療を目論んだものだった。　
6.黄色いリボン
　性同一性障害の少年、桑島翔が主人公。
　翔は1日のうち数時間だけ女装し、架空の人物ミチル
　として生活していたが、そのミチル宛に
　郵便物が届く。
　多重人格なのかと思わせる展開。
　しかしミチルは母の婚外子で、
　両親が殺害したものの児童手当の受給目的で
　遺体を納戸に隠し、あたかもミチルが生きている
　かのように近隣住民に印象づけるため翔に女装
　させていた。
7.紫の献花
　第１話《赤い水》の続編。
　高速バスの運行管理者、高瀬が殺された。
　高瀬は自分が誘導した事件でスプリンターの将来を
　潰してしまった無関係の被害者樫山有希を
　死亡保険金受取人にし、悪辣な高速バス会社社長が
　自分を殺害するよう仕向けたのだった。

さすが中山七里さん、短編でも《どんでん返し》が冴え渡る！1.赤い水　　運転手、蓬...

この世に未練を残す終末期の人々の心に働きかけ、
地縛霊になるのを防ぐ死神（天使）が
犬の姿になり末期癌患者や危機に瀕した病院を
救う話。

先の読める展開で、もどかしい部分もあったが
主人公の死神（天使）の毒舌がユーモラスで
まぁまぁ楽しめた。

深く考えず、サラッと本を読みたい時にちょうどいい
ミステリ。

この世に未練を残す終末期の人々の心に働きかけ、地縛霊になるのを防ぐ死神（天使）が...

ある少女の10才から18才までの成長物語。

主人公の紀子が中学生の時にグレたきっかけが
躾に厳しい母親が密造酒を作っていた事に
ショックを受けて· · ·というのは、たとえ私が中学生の
時に読んだとしても「くだらない」「甘ったれ」と
決して共感する事はなかっただろうが、
最後まで読む事が出来たのはやはり森絵都さんの
文章だったからだろう。

思春期の繊細な感性をユーモアを織り交ぜて
描写するのは流石。
この所、グロテスクなシーンが描かれているミステリ
ばかり読んでしまい、気持ちが暗くなっていたので
癒された。

ある少女の10才から18才までの成長物語。主人公の紀子が中学生の時にグレたきっか...

【ネタバレ】

結果から言うと、犯人は村立鷲尻診療所に赴任して
きた医師 滝本志門の妹 瑠華で、
動機は前任の医師であり婚約者の杉聡一朗が
心変わりしたと邪推し殺してしまった事に端を発し、
事件発覚に繋がると思われた村人を次々と殺害した
という、セオリー通りの作品ではあるが、
最近読んだ横溝正史大賞受賞作品がどれも奇を
てらいすぎて、うんざりする内容の物が多かったので、
久々にコテコテの横溝風作品が読めて面白かった。

過疎化が進み、鄙びて行く一方の岩手県の寒村が
舞台で、飢饉が起きるたびに老人や子ども、病人を
口減らしのため殺害していた村の歴史話に沿って
進んでいく連続殺人事件は、まさに横溝正史の世界。
（長塚本部長の「よし、わかった！」まで出てきた
のには笑った）

【ネタバレ】結果から言うと、犯人は村立鷲尻診療所に赴任してきた医師 滝本志門の妹...

【ネタバレ】
前作〔連続殺人鬼カエル男〕では名字のアイウエオ順に
猟奇的な殺人事件が繰り広げられる。
犯人と思われた精神障碍者の当真勝男は
その音楽療法を施していた有働さゆりに操られ、
更にその有働さゆりは精神科医の御前崎教授に
操られていた。

教授は一人娘と孫を殺害されながら犯人の古沢は
精神障碍者を装い無罪となる過去を持っていた。
連続殺人は古沢に入れ知恵をした衛藤弁護士への
報復で、衛藤以外の殺害は捜査を混乱させるための
ものだった。

衛藤殺害後、さゆりは逮捕されるも教授は事件の
関与を証明する手立てがなく、古手川刑事は
悔しさを滲ませる。
が、ラストは当真勝男の（エトウの次はオマエザキ）
という つぶやきで、本当に怖かった。

本作は御前崎教授の爆殺から始まり、
なぜかカ行からではなく、サ行の名字の殺人が続く。

結論から言えば殺されたと思われた御前崎教授は
別人で、殺人の実行犯も御前崎教授。
末松以外の被害者は自殺者を利用し、カエル男の
犯行のように偽装したもので、
真のターゲットは衛藤弁護士と共謀して、
古沢の精神鑑定を詐称した末松医師だった。

完全に人間の姿を無くした御前崎教授の爆死遺体、
ホームレスに紛れ、フードを目深に被った猫背の男、
· · ·と、ヒントはきちんとあったのに最後まで
カエル男は当真勝男と信じ込んでいた自分に腹が立つ💦

【ネタバレ】前作〔連続殺人鬼カエル男〕では名字のアイウエオ順に猟奇的な殺人事件が...

本の表紙には〔連作短篇集〕と書いてたあったが、
どこが繋がっていたのか不明。

・人形師の家で　○
　ピグマリオンの話をモチーフにしたミステリー。
　主人公の出生の秘密と、少年の頃行方不明になった
　友人の死の真相が描かれる

・家守　✕
　立退きに頑として応じない女性が殺害された。
　殺害方法や、実験に使ったハムスターからの
　犯人特定など、納得できない点が多い上、
　被害者が立退きに応じなかった理由もありきたり。

・埴生の宿　○
　痴呆老人の息子になりきるという奇妙なバイトを
　引受けた青年が、遠く離れた福島のトラックの
　荷台で遺体で発見される。
　ビルの屋上に作られた老人の家、青年の死の
　カラクリに驚かされた。

・鄙　○
　鄙びた村で起こった殺人事件。
　あっけなく犯人は逮捕されたが、実は身代わり。
　真犯人逮捕によって無医村になることを恐れた
　村人たちによる隠蔽だった。

・転居先不明　△
　単身赴任の自由な生活を取り戻したい夫が、
　妻を追い出すために、
　「購入したばかりの家は５年前に
　一家惨殺が起こった事故物件」と嘘をつき、
　恐怖に陥れるも、妻が偶然落とした石鹸に
　足を滑らせ· · ·
　どうせなら妻が一枚上手で、夫の嘘を最初から
　見抜いていてわざと石鹸を置いていた
　という方がスッキリした。

本の表紙には〔連作短篇集〕と書いてたあったが、どこが繋がっていたのか不明。・人形...

【ネタバレ】
昭和〜平成の塾業界を舞台に、三世代にわたり
奮闘する大島家を描いた、長編大河小説。

立ち上げ当時は世間から冷たい目で見られていた
塾だったが、時代の変化に伴い必要とされるように
なるも、文部省との対立、塾同士の生存競争、
塾講師のストライキ、
補習塾から進学塾への方向転換による家族の崩壊
· · ·と次々と難題が降りかかる。

持ち前のバイタリティで困難を乗り越え、
常に前進し続ける主人公、千明。
勉強が出来ない子どもたちに寄り添う塾を目指す
カリスマ教師の夫、吾郎。

三姉妹の中で唯一、吾郎と血の繋がりはないものの
誰よりも尊敬し、父と慕う長女の蕗子。
母、千明以上に強烈な個性と激しい気性の次女、蘭。
マイペースな三女、菜々美。
そんな家族を包み込むような愛情で優しく見守る
千明の母、頼子。
そして、学力が著しく遅れているにもかかわらず
貧困ゆえに塾に来る事が叶わない子どもたちに
無料で勉強を教える場を作る蕗子の長男、一郎。

奥の深い教育現場と世相、個性豊かな登場人物など
実に緻密に、時にはユーモアを交えて書かれている。

タイトルの【みかづき】というのも実に良い。
物語の終盤に吾郎が語る
「教育に完成はない。
満月たりえない途上の月を悩ましく仰ぎ、
奮闘を重ねる· · ·」という言葉に見事に集約されている。
読み応えのある感動作品で、
さすが2017年本屋大賞２位❗

こんなに素晴らしい作品を差し置いて、
本屋大賞１位になったのは何なんだ💢
と調べてみたら恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』
確かにあれも文句なしに素晴らしかった。

甲乙付けがたいとはまさにこの事、
私にはどちらが上とは決めきれない。

【ネタバレ】昭和〜平成の塾業界を舞台に、三世代にわたり奮闘する大島家を描いた、長...

総理に瓜二つの容姿をもち、そのものまね芸を得意とする売れない舞台役者が、瀕死の総理になり変わる話。

政治の世界をわかりやすく描いてある点は面白かったが、
主人公は「衆議院と参議院の違いも分からないノンポリ」
という設定に難あり。

野党や官僚との対決、大使館で起こったテロ、
国民への説明等、全てにおいて冷静沈着・臨機応変・
理路整然· · ·と、ベテラン議員のレベルを超えている。

設定とのギャップが大きすぎて、最初から最後まで
違和感がつきまとってしまったのが残念。

総理に瓜二つの容姿をもち、そのものまね芸を得意とする売れない舞台役者が、瀕死の総...

【ネタバレ】
〔1. 野々宮恭子〕
主人公、蒲生美智留は学校でイジメに遭っていた
従姉妹の野々宮恭子を助けた上、骨髄ドナーとなり
絶対的な信頼を得る。
美智留は恭子を利用して自分に毎日性的虐待を
繰り返していた実父を殺害。

〔2. 鷺沼紗代〕
野々宮恭子の元クラスメイト、鷺沼沙代は
男社会で実力を認められない不満から
買い物依存が始まり、借金に追われていた。
美智留は言葉巧みに沙代を誘導して、横領と
インサイダー取引に手を染めさせ、2億もの大金を
手に入れる。

〔3. 野々宮弘樹〕
就職活動に失敗し、不満を抱えながら家業を
手伝う美智留の従兄弟、弘樹。
その鬱屈した思いに漬け込み、美智留は邪魔になった
恭子を叔父の孝之もろとも殺害させる。

〔4. 古巻佳恵〕
リストラになり「小説家になる」と言いつつ、
２年以上何もせず、暴力まで振るうようになった夫に
悩む佳恵に美智留は保険金詐欺を勧める。

〔5. 蒲生美智留〕
〈殺人〉と〈殺人教唆〉の罪で美智留の裁判が始まる。
弁護側証人、美容整形医の
「被告人は自分が施術して美智留の顔にした
野々宮恭子である」との証言と、
中学生の時の骨髄移植により美智留と恭子の
DNAは一致する事が決め手となり無罪となる。
しかし、真実は美智留が証人の元で美容整形をする前に
別の医師により恭子の顔になり、〔2 〕までの
犯罪を犯し、その後、顔を元に戻し恭子を殺害。
古巻佳恵の事件では保険金詐欺が目的ではなく、
法廷に立つ事で、
「自分は恭子で美智留に利用されただけだ」と
世間を騙すことだった。

【ネタバレ】〔1. 野々宮恭子〕主人公、蒲生美智留は学校でイジメに遭っていた従姉...