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レビュー一覧 (46件)
しゅうちゃんさんの投稿レビュー/甲斐市立図書館
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(3人)
1. 人類の物語
ヒトはこうして地球の支配者になった ユヴァル ノア ハラリ‖著 リカル ザプラナ ルイズ‖絵 西田 美緒子‖訳
河出書房新社 2022.11
しゅうちゃん さんの評価:
「サピエンス全史」のユヴァル・ノア・ハラリが、人類の歴史を、子供たちに分かるように語りかける。なぜヒトが地球の支配者になれたのか?それは、物語を描き語れることができ、たくさんの人たちをひとつにまとめることができたから。そのことか、できなくなりつつあるということは、人類の滅亡を暗示しているのかもしれない。
「サピエンス全史」のユヴァル・ノア・ハラリが、人類の歴史を、子供たちに分かるよう...
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(2人)
2. あの胸が岬のように遠かった
河野裕子との青春 永田 和宏‖著
新潮社 2022.3
しゅうちゃん さんの評価:
人生で最も輝いている時間は、必ずしも栄光の時間ではない。喜びや楽しみだけでなく、苦しみや怒りや哀しみが、十二分に発揮される時、それが人生で最も充実した時であるように思う。物理学者で歌人でもあり、家族みんなが著名な歌人でもあるスーパーヒーロー・永田和宏氏は、他から賞賛される栄光の時を、いくつも重ねられている。が、人として最も輝いていたのは、歌人として河野裕子に先をこされ、大学院受験に失敗、結婚を河野裕子の両親に約束しつつも、先の見通しが立たない。愛する気持ちが強ければ強いほど、その苦悩も深くなる。どうしていいか分からない中で、時は過ぎていく。そして…。
永田和宏が河野裕子と20歳出会ってから結婚する直前までの約5年の記録。河野と永田が交わした300通と超える手紙、両者の日記をもとに構成。河野裕子も、また最も輝いていた時期だった。青春真っただ中の二人が求めあい、傷つけあう。青春小説にして恋愛小説。心が揺さぶられる。強くおすすめ。
人生で最も輝いている時間は、必ずしも栄光の時間ではない。喜びや楽しみだけでなく...
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(1人)
3. AI監獄ウイグル
ジェフリー ケイン‖著 濱野 大道‖訳
新潮社 2022.1
しゅうちゃん さんの評価:
中国の人権弾圧で取りあげられる新疆ウィグル自治区。そこは、国家が最先端のAI企業の力を活用し、デジタルで人々を管理していく実験場となっていた。精神的な暴力は、人間を狂気の世界へと追い込んでいく。何が、いつ、どこで、どこまで管理されていることが分からないことが、より恐怖を高める。中立的に見えるAI企業は、市場拡大の魔の手に誘われ、明らかに悪魔に手を貸している。現代のサイバー監視国家は、ジョージ・オーウェルが70年以上前に書いた約40年前の世界(1984年)を、現代的なものに書き替えた。
完璧な警察国家を作り出すための3つのステップ。第1段階は敵を特定すること。「国の力と名誉に対する脅威となる」と人々を説得する。第2段階は、敵を監視する技術を管理すること。怖がらせるだけではダメ。不確かな状況に置くことが、人々をコントロールするために有効な方法」。第3段階は、ハイテク機器を使って作り上げる「事実を軽視して感情に訴える被害妄想」を利用する。国全体をパノプティコン(一望監視装置)に変える。パノプティコンとは円形に配置された刑務所で、中央の監視塔にいる看守はすべてを見ることができるが、囚人側からは看守の姿が見えない。誰もが見られていると認識しているにも関わらず、いつどこで見られているかわからないため、パノプティコンは人々を管理する効果的なツールとなる。
「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」。ウクライナは眼に見える地獄の世界も、プーチンの支持率80%以上というロシアの国内状況も、形を変えた恐ろしい世界。洗脳は外からは見えるが、内からは見えない。今ロシアで起きていることは他人ごとではない。中国だけでなく、アメリカも、いや日本も近未来の世界となりうるものとなっている。
中国の人権弾圧で取りあげられる新疆ウィグル自治区。そこは、国家が最先端のAI企...
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(5人)
4. 実力も運のうち
能力主義は正義か? マイケル サンデル‖著 鬼澤 忍‖訳
早川書房 2021.4
しゅうちゃん さんの評価:
生まれ、育ちのハンディキャップがありながら、能力を発揮し、機会不平等を超えて結果を出し評価をえる、それはまさに「アメリカン・ドリーム」。ただ、その成功物語は、そのまま「正義」と受け止めることはできない。能力主義は、自己責任と同義。結果を出したものはそれが自らの実力=自らの努力の結果と受け止め、結果は出せなかったものは、自分に実力がなかった、努力が足らなかったと受け止める。しかし、成功者は、自らの努力だけで結果をえられたのではなく、生まれ・育ちの環境要件に起因するところが大きいし、結果を出せなかったものは自分に責任があっただけでもない。ハンディキャップを抱えていたこともあるから。しかし、能力主義は、勝者に奢りを与え、敗者に屈辱を与える。そのなかで社会に不満が蓄積していく…。
「実力も運のうち」。格差社会がより格差を増幅し、怒りのエネルギーを社会に充満させていかないため、誤った能力主義とその理解を変えていくことが求められている。
生まれ、育ちのハンディキャップがありながら、能力を発揮し、機会不平等を超えて結...
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(5人)
5. 筑紫哲也『NEWS23』とその時代
金平 茂紀‖著
講談社 2021.11
しゅうちゃん さんの評価:
土曜日の夕方、TBSの「報道特集」で、森友学園問題、入管施設での死亡、伊藤詩織さん暴行事件の問題を、執拗に報道続ける金平キャスター。「ジャーナリスト」と認知できる数少なくなった一人。その金平氏が、筑紫哲也氏への思いを込めて、危機的な状況にあるジャーナリズムの中で、自らを鼓舞する書。
筑紫哲也氏「NEWS23」の3つのDNA。①「力の強いものを監視し」②「少数派であることを恐れず」③「多様な意見で社会に自由の気風を保つ」。やりきれるかどうかではなく、そうあろうとする意志をもつ。①がとかく強調される中で、大切なのは②③。筑紫氏は、個人ではなくチームで力を発揮。そのリーダーシップは「旗をたてる意志」。テーマをたてる。個々のテーマは、個人ではなく、チームで担う。リーダーは、それをリードし、サポートしていく。
今、プーチンの戦争で、報道が一色になってくるなかで、「NEWS23」のDNAが大切にされるべき。
土曜日の夕方、TBSの「報道特集」で、森友学園問題、入管施設での死亡、伊藤詩織...
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(1人)
6. 生涯弁護人 1
事件ファイル 村木厚子 小澤一郎 鈴木宗男 三浦和義… 弘中 惇一郎‖著
講談社 2021.11
しゅうちゃん さんの評価:
薬害エイズ事件の安部英、小澤一郎、三浦和義、カルロス・ゴーン……。世評で「悪人」とされている人たち。弘中弁護士は、この「悪人」と評価されてきた人たちを弁護してきた。正義感強く、弱者の味方であったはずなのに、なぜ「悪人」の弁護をしてきたのか。お金さえもらえば、誰でも弁護するのか!?
日本の刑事裁判の有罪率は99.9%。刑事被告人は圧倒的に弱い存在。自白を強要され、否認を継続すると拘置は延長され、仮釈放もなかなか認められない。検察官は、供述調書を作文し、それに適合しない証拠はあったとしても隠蔽される。裁判官は、裁判の処理件数が評価される中で、検察のストーリーを受け入れることに抵抗がない。加えて、マスコミは、検察からリークされた情報を検証することなく報道、「悪人」のレッテルが貼られていく…。
もともと弁護士は、被告のために存在するもの。弁護人のあるべき姿を追求する弘中弁護士はぶれていない。「コラム、エピソード・思い出」に、弘中弁護士の素の姿が見える。
薬害エイズ事件の安部英、小澤一郎、三浦和義、カルロス・ゴーン……。世評で「悪人...
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7. 探花
隠蔽捜査 9 今野 敏‖著
新潮社 2022.1
しゅうちゃん さんの評価:
探花は、選りすぐりのエリートの呼称。中国の科挙制度では、首席を状元と言い、第二位は榜眼、第三位の及第者を探花といった。警察の採用試験の第三位で警察のキャリア官僚となった竜崎の物語。
首席ではなく第三位と設定しているところが、みそ。知識が豊富で勉強ができ周りから注目もされ、本人も自尊心が強いという「優等生」ではなく、「地頭」が良い人、考察力や判断力に優れ、自ら考え抜く能力をもっていて、真のコミュニケーション力の高い人。但し、周りの空気が読めず、自分の意志を通すことを是とし、その分、割を食うこともある。主人公の竜崎は、息子の不祥事(薬物使用)を隠蔽することなく、警察庁の長官官房課長のエリートコースからはずれ、所轄の署長に飛ばされた。ただ、持ち前の地頭のよさでリーダーシップ発揮し、周りの信頼をえて実績を残し、神奈川県警の刑事部長にまで復帰。いろいろな不祥事を過去に起こし、米軍も管内にあり問題山積の「神奈川県警」。その場で、ポジションも上がった竜崎が、引き続き力を発揮できるのかが、新たなシリーズの焦点。
隠蔽捜査は、組織の中でのリーダーシップを問う小説。組織の中でリーダーに問われるのは決断力、任せること、責任を取ること。ポジションごとに、その発揮の仕方も変わらなければならない。署長から刑事部長になり、竜崎はどう変わるのか、変わらないのか。変わる姿、変わらない姿を描く。リーダーシップについて考えるところがある方に好著。
探花は、選りすぐりのエリートの呼称。中国の科挙制度では、首席を状元と言い、第二...
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8. サンセット・サンライズ
楡 周平‖著
講談社 2022.1
しゅうちゃん さんの評価:
コロナ禍の影響で、テレワークが進み、この間一貫した流れであった東京に人が集まる「転入」から、他県に人が流れる「転出」に変化し始めている。都心のオフィスの縮小とともに、他県への住み替え等、一時的ではなく、今後不可逆的となりうる現象も起きている。転出は、現状は近隣県が中心も、長野・沖縄・北海道への転出も徐々に始まっており、「毎日職場に通うということが当たり前でなくなる」とすれば、ライフスタイルの見直しが進んでいくはず。
本書は、「コロナ禍でのテレワーク」という旬のテーマを描くとともに、著者がこの間追究している「過疎・高齢化の地方」の問題を違う角度から掘り下げるとともに、東日本大震災から10年も取りあげている。もともと企業小説にたけた著者でもあり、「地方創生は行政まかせからビジネスモデルへ」(石破茂)と評される内容となっており、本書の中で提起されている解決策は読みごたえのあるものになっている。コロナ後の世界の一端を展望するのに好著。
コロナ禍の影響で、テレワークが進み、この間一貫した流れであった東京に人が集まる...
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(10人)
9. 黛家の兄弟
[神山藩シリーズ] [2] 砂原 浩太朗‖著
講談社 2022.1
しゅうちゃん さんの評価:
「高瀬庄左衛門御留書」が直木賞・山本周五郎賞候補となり、一躍、時代小説の旗手となった砂原浩太朗。
新作の舞台も、前作に引き継ぎ架空の藩である神山藩。代々筆頭家老の家に生まれた三兄弟の物語。お家騒動の暗闘繰り広げられる世界、救いがない明確な身分差社会の中で、家族・男と女・師弟・友情等、人の心の動き、通い合いが、物語の世界を切り拓いていく
前作より、ストーリーの展開がより多面的・ドラマティックとなり、ミステリー性に主人公の成長ストーリーが加わり、小説のおもしろさがより磨かれた。今後の作品に一層期待。
「高瀬庄左衛門御留書」が直木賞・山本周五郎賞候補となり、一躍、時代小説の旗手とな...
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(1人)
10. 地方メディアの逆襲
ちくま新書 1623 松本 創‖著
筑摩書房 2021.12
しゅうちゃん さんの評価:
「国境なき記者団」が昨年発表した報道の自由度の日本の評価は67位。G7主要7ケ国の中では最下位。韓国(42位)・台湾(43位)よりも低い評価。「慣習や経済的利益に阻まれ記者が権力監視機関としての役割を十分に果たすことが困難になっている」と指摘を受けている。当然、陰湿な報道規制は、日本でもあるが、中国やロシアのように、権力を振りかざした露骨な報道規制があるわけではない。政府に批判的な記者が、仲間であるはずの記者クラブの記者から露骨な排除を受けるなど、記者も「忖度」をしている。
「日々発生する世の中の出来事や時事的な問題を報道、解説、論評する」のがジャーナリズム。今起きていることを「ありのままに、あますことなく」見ること・見せることで、見る力が備わる。大手メディアが、その役割を果たせなくなっている中で、地方メディアの中にその役割を担っているところが出ている。著者によると、地方メディアの強みは、現場があること、時間軸が長いこと、当事者性を帯びていること。大手メディアは、それを取り戻すことが求められているのだと思う。
「人間は、自分が見たいと欲する現実しか見ない」(塩野七生、ローマ人の物語)。野党含め、権力監視機関に求められているのは、「主張ではなく、ファクトを突き付けること」。本書で紹介されている秋田魁新報、琉球新報、毎日放送、瀬戸内海放送、京都新聞、東海テレビ放送の当該部署には、引き続き奮闘をお願いしたいと思うとともに、大手メディアを含め他の追随を期待したい。
「国境なき記者団」が昨年発表した報道の自由度の日本の評価は67位。G7主要7ケ...
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