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レビュー一覧 (13件)
wata8216さんの投稿レビュー/甲府市立図書館
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図書
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11. グラスホッパー
伊坂 幸太郎‖著
角川書店 2004.7
wata8216 さんの評価:
「よつば」に言われるまでもなく(よつばって誰だよw)、冷静に考えるならば「復習はなにも生まない」という結論に行き着くのはひどく当然のことではあるのだが絶望に瀕した「鈴木」は、簡単になせることでは自分の悲しみに釣り合わないとばかりに困難な術を探すあまりに復習という無理難題を果たすことで得られる救済に希望を見てしまうのだが果たして彼の復習は果たせるのか乞うご期待的なストーリーが展開するのかと思いきや、その復習はあまりに無計画で無鉄砲で、早々に頓挫する彼は「復習さえ満足にできない私」という彼の中の悲壮感に溺れてしまうのだが、彼と彼自身の内なる世界とは別に、彼を取り巻く外なる世界ではまさしく連鎖する復習が今なお展開中で、彼は大いなる復習の連鎖に巻き込まれることで起死回生の芽をつかむ、というか、彼の側にその芽が生えてきた、という感じで、果たして彼はその芽をつかんで復習の道へと復帰できるのか、そして復習を果たすことができるのか、というのが本書の読みどころであるのだが、その一方でこの物語には謎解きの要素が多いにもかかわらずに本書の構造的に読み手を迷わす仕掛けが多く、それは登場人物の名前がネコとかウサギとか覚えやすいがゆえに混同もしやすく登場人物の人間関係をうまくつかむことができないからで、でもそれはぼくが無駄に年を重ねたせいで記憶力がおぼつかなくなっているからなのかも知れないという深読みもあって、本書の側の問題ではない可能性も否定できずにぼく自身にがっかりしているのだが、ともかく途中から謎解きは諦め、彼の復習の行く末を見届けるつもりをページをこなしてみれば不思議に、ぼくの側が気持ちを切り替えたことがよかったのかも知れないが、物語はテンポ良く進み始め、彼の、というか、彼を巻き込んだ復習の連鎖は大いなる復習によって終結するのだが、復習の連鎖に巻き込まれただけの彼は当然のごとく自身の復習を果たせたという実感は持てず、かといって悲壮感に溺れていたころのような不健康さは全くなく、冷静さを取り戻せた彼は彼らしいやり方で彼自身の悲しみにけりをつける、という結末であって、本書の面白さをあえて言えば、誰かのことを思い出すということはその誰かがしたことや言ったことを思い出すということであって、忘れ去れらることを恐れた妻のことを彼がいつまでも覚えていたその理由は忘れ去られることを恐れていた彼女のその言動であって、この皮肉な感じが本書に通底する切実さであって、しかもその恐れる彼女が言った「ブライアン・ジョーンズがストーンズのメンバーだったなんてさ、誰も覚えていないって。そんな証拠はないんだって」という言葉が形を変えて槿の気持ちを揺さぶるというところもまた切実さの現れ方として悪くないと思うし、復習の連鎖とはつまり思いの連鎖と言うことであれば、彼女の思いはちゃんと連なっているんだなと、そんなところも面白かったのです。
ブライアンに関する記述:P126、P201、P275、P295
「よつば」に言われるまでもなく(よつばって誰だよw)、冷静に考えるならば「復習は...
図書
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(7人)
12. 去年の雪
江國 香織‖著
KADOKAWA 2020.2
wata8216 さんの評価:
物語は、その物語世界に生きる誰かの「いま」や「過去」、あるいは「未来」を描き、語るのだけど、読み手であるぼくにとっての物語の世界はいつだって「過ぎ去った」世界だ。いまはもうここにはない、物語の世界に生きる誰かが紡ぎ出していたに違いない世界。言い換えれば、ぼくは常に物語の世界の先を生きている。どういうことか。既にそこにある物語は、ぼくが読むことでぼくの世界に立ち上がってくる。ぼくが読むことでぼくの中に生まれるということは、ぼくが読まなければ、ぼくの中に生まれることはないからだ。つまりどういうことか、と言葉を重ねるが、ぼくは物語の先を生きている、と言いたいのではなく、物語はどうしてもぼくよりも以前に生まれ、読まれるのを待っていると言う意味で過ぎ去った世界なのだ。このひどく当たり前のことをぼくが思うのに合わせ、ぼくにとっては過去の出来事に過ぎない物語の世界で、その世界に生きる誰もが自身の「いま」を生きていると言うことの不思議を、改めて思う。すべてはぼくにとっての過去であるのに、物語の世界ではさまざまな「いま」があるのだ。
万華鏡のような世界。
物語は、その物語世界に生きる誰かの「いま」や「過去」、あるいは「未来」を描き、語...
図書
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(24人)
13. 三体 [1]
劉 慈欣‖著 大森 望‖訳 光吉 さくら‖訳 ワン チャイ‖訳 立原 透耶‖監修
早川書房 2019.7
wata8216 さんの評価:
未来に夢も希望も持てなくなったぼくらが見ることができる未来の一つの形を描いている。「三体」とは「今」と過去と未来のことなのかと、そんなことを思う。原書では3巻構成なので、あと2巻分あるらしい。
未来に夢も希望も持てなくなったぼくらが見ることができる未来の一つの形を描いている...
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