未来に夢も希望も持てなくなったぼくらが見ることができる未来の一つの形を描いている。「三体」とは「今」と過去と未来のことなのかと、そんなことを思う。原書では3巻構成なので、あと2巻分あるらしい。

中国で過去に起こった政治的背景と連携させたSFだが、詳しくなくても理解しやすい構成だし、読みやすい文体になっている。
世間的にはべた褒めの評価が多いが、イマジネーションが足りないのか、自分的にはいま一つのめりこめないのが残念。
訳者あとがきにあるような「星を継ぐもの」的ハードSFを期待していると、ストーリー的にもキャラクタ的にもちょっと期待外れだが、近ごろ（2020頃）人気がある中国SFとしては押さえておくべき物。

少しネタバレを含むと、
VRゲームの必要性や、とんでも次元理論を持ち出さなくてもとか、ご都合コミュニケーションとか気になって集中力低下きみ。
自分的には、文潔が出てくるところだけの短編だったら名作と思えたのに。