たけがわさんのブックリスト / 新ひだか町図書館

図書
貸出可能
(1人)
21. ターン
北村 薫‖著
新潮社 1997.8
たけがわ さんの評価:


(売れない)銅版画家・森真希は、7月のある日の15:15、交通事故にあう。もうダメか、と死を覚悟したが、気がつけば、彼女以外だれもいない世界で、前日の15:15に目を覚ます。以降、15:15で記憶以外のすべてがリセットされる世界で<ターン>を繰り返す彼女だったが、ある日、鳴らないはずの電話がかかることで、大きな転換を迎える。


タイムリープものって、「なぜ時間を繰り返してしまうのか」が大きなポイントとなる。たいていのSF小説は、その説明に時間をかけ、読者も納得のがちがちのサイエンス理論を展開する。

が、この作品は、そのあたりの説明が実にさっぱりしている(納得行かない読者のために、筆者が小説外で付記をするほどだ)。それもこれも、読者のターゲットが圧倒的に女性だからだ。
ターンしているのと大差ない、いつも変わらない毎日を過ごすガンバッテル女性たち。存在意義がない彼女たちが、自分らしさを見つけるのはなんなのか。

主人公・真希にとって自分らしさの証が、銅版画だ。物語のラストで、彼女は百合をモチーフにした(おしゃれ感満載の)銅版画を作成する。
凛とした女性の代名詞ともいえる百合をモチーフにしたことが、がんばる女性への最高のエールとなっている、というわけだ。

等身大の女性目線のほんわかとした語り口は、もちろん多くの人々が読んでも心地よい。
(ハードさがほしければ「オール・ユー・ニーズ・イズ・キル」でも読めばいい)
同作者の「時と人」三部作の他の作品も読んでみたくなる一冊。


他にも小説のレビューを書いています。
ブクログ たけがわの本棚
http://booklog.jp/users/cascadebook?category_id=529423&display=front
(売れない)銅版画家・森真希は、7月のある日の15:15、交通事故にあう。もうダ...

図書
貸出可能
(10人)
22. 火星の人
ハヤカワ文庫 SF 1971 アンディ ウィアー‖著 小野田 和子‖訳
早川書房 2014.8
たけがわ さんの評価:
火星探査ミッション中に災害に巻こまれ、幸か不幸か生存してたった一人、火星に取り残された主人公。
助けもこないし、水も食料もおまけに酸素までもそんなにない。
確実に人が来るであろう次の火星ミッションは4年後。
彼はその日まで生き延びることはできるのか?

手に汗握る宇宙サバイバルが描かれているます(主人公のキャラと文章はユルいけど)
こりゃもう一巻の終わり、といった中で、限られた資源を最大限生かして、生存の道を探ります。
先述のジャガイモ栽培に始まり、酸素の確保、水の生産etc
一見、「趣味の園芸」っぽいストーリーが続きますが、それ以外はいたってハードSF。
特に、地球との通信手段を確保するために彼がとる行動は、現代の宇宙ファンにとっても拍手喝采です。

物語が進むにつれ、主人公だけでなくNASAのスタッフの奮闘も強調されます。
「限りある資源を最大限生かす」がサバイバルものの醍醐味ですが、主人公だけでなくNASAスタッフまでも、ありとあらゆるものをいたるところからかき集めて彼の救出に取り組む姿が、映画「アポロ13」を超えるスケールで繰り広げられます。

新しい星でうまくやっていけるかな。
遠い空の向こう、君は何を思うの。
たぶんできはずって思わなきゃしょうがない。

どこかのワンルームのディスコみたいになっちゃいましたが、チャレンジ精神とあきらめない心に感動する、宇宙ファンのための作品です。
マッドデイモンって誰?って人にも、かなりおすすめ!


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