ブルーツ・リーさんのブックリスト / 飯能市立図書館


貸出不可(未所蔵)
(1人)
71. 心理療法対話 
岩波書店 2008.3
河合隼雄 編著
ブルーツ・リー さんの評価:
よいところと悪いところと、半々と言った印象。
河合隼雄先生の哲学的なお話も十分理解できるものの、
実際の臨床現場で、それがどこまで通用するか、という印象も。

たとえば引きこもりの治療等で、そっと待つ。
というものがあり、恐らく河合先生はそういった立場だろう。
しかし、引きこもりの人の中には、そっと待つだけでは変わらない人もおり、
そういった人たちには、もう少し生活を改善させるような、
具体的で積極的な治療が必要な人もいるのも事実。

心理学系の本は読んでいていつも思うのだが、
どんな治療法も、合う人と合わない人がいるのが現状。
あまり自分の説だけを、唯一だとは思わない方がいいように思う。
よいところと悪いところと、半々と言った印象。河合隼雄先生の哲学的なお話も十分理解...

図書
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(1人)
72. 世界の歴史 17
ヨーロッパ近世の開花
中央公論社 1997.3
ブルーツ・リー さんの評価:
「ヨーロッパ」の近世である。
近世を扱うにしても、幅が広すぎるのではないかとの危惧も覚えた。
しかし、読んでみると、比較的、広く扱っており、
戦争、飢饉、性風俗、王族、庶民の生活、農業、謀略…。
等々、幅広く抑えられているように感じられた。

本当に専門的にやりたい人はどうか分からないが、
少なくとも、私のように専門が文学の人間としては、
これでも十分に広く、深く扱ってくれているように感じた。

このシリーズは全体に面白く、専門性もあり、
歴史好きならば、一度読んでみて損はないシリーズだと思う。
「ヨーロッパ」の近世である。近世を扱うにしても、幅が広すぎるのではないかとの危惧...


貸出不可(未所蔵)
(1人)
73. 秩父古寺を歩く 
新人物往来社 1987.7
室生朝子 著
ブルーツ・リー さんの評価:
中途半端。
全体に、著者がお寺を回って聞いたちょっといい話がまとめられている内容で、
宗教の棚にある本としては、内容が宗教とは言えず。
とはいえ、単なるエッセイにしては民俗学で扱うような話が多かったり、
民俗学の勉強としては、単にお寺の住職に聞いた話を載せているだけだったりで、
調査も不十分。

なんとも、どこにも属していない本。という内容。
中途半端。全体に、著者がお寺を回って聞いたちょっといい話がまとめられている内容で...

図書
貸出可能
(1人)
74. 世界の歴史 15
成熟のイスラーム社会
中央公論社 1998.1
ブルーツ・リー さんの評価:
イスラームの世界のイメージはどうだろうか。
特に21世紀に入っての同時多発テロ以降、
「攻撃的」なイスラーム世界。というイメージがどうしても付きまとう。

本書においては、攻撃的で排他的な面のみではなく、
文化や、交流の歴史も含めてのイスラームの文化、社会、歴史を描いている。
あえて、戦争のシーンを少なめにし、
王族の文化や、庶民の暮らしなど、普段のイスラーム世界の中世の様子を教えてくれる。

粗野で、文化が無く、戦争をしたがるイスラーム社会というイメージが広がる中、
我々は、この本を通じて、少しだけイスラームの違った側面を見、
バランスの取れた思考法に誘導してくれるのではないだろうか。

作者の中で、若干イスラーム圏の人たちに対して贔屓があるかも知れないが、
しかし、実際にその地で研究をし、イスラーム圏の人々と対話を重ねていれば、
その文化や国、何より人に情が移るのはある程度は仕方ないところ。

攻撃的なイスラームと言うイメージが先行する中、
あえて、そうではないイスラーム文化を知り、
別の視点からのイスラーム世界の解釈を作り上げて行く中で、
この書は、きっと一助になると思う。
イスラームの世界のイメージはどうだろうか。特に21世紀に入っての同時多発テロ以降...

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貸出可能
(15人)
75. 蹴りたい背中
綿矢 りさ‖著
河出書房新社 2003.8
ブルーツ・リー さんの評価:
主人公初美は「自分の事しか見えていない」女子高生。
自意識が強く、自分の殻の中に籠ってしまいがちで、
結果高校に入学以降、友達らしい友達ができず、孤立してしまっている。

そんなある日、クラスに同じように孤立している男子、
「にな川」と出会う。
にな川は「オリチャン」というモデルの「ファン」であり、
余りにも熱が高じ、常にオリチャンの事ばかり考えている結果、
初美とは違った意味で周りが見えず、孤立している。

初美は、にな川の言動に、自分より劣るものを見出し、
仲間意識や、同時に優越感を抱くようになったように感じる。
優越感は、次第にある気持ちに変化していく。
にな川の背中を「蹴りたい」という気持ちである。

「蹴りたい」
その感情は、時に恋愛のようでもあるが、
少なくとも本人は決してそれを認めない。
蹴りたい感情は、自分よりも孤独で、自分よりも劣る存在が居る。
という、自意識が満足される感情に近いように感じた。

にな川はオリチャンばかりを見、初美の事はオリチャンを見た女の子、
として扱い、いつも背中を向けてオリチャンの声を、姿を聞いていた。
そんな関係が、ラスト近く、転機を迎える。

背中を蹴りたい初美が、にな川の背中に足を当てる。
にな川がついに気づき、初美の足を見る。
それは、初美にとって、
「蹴りたい」
そんな乱暴な気持ちをも含む、
自分自身のそのままの姿。
にな川が、初めて本当の意味で初美を見た(と少なくとも初美は感じた)
蹴りたい気持ちをも含む、「自分」が見られていると感じた瞬間に、初美が吐いた息。
その息は、震える。

「蹴りたい」気持ちが少しだけ、「恋」に近づいていく。
主人公初美は「自分の事しか見えていない」女子高生。自意識が強く、自分の殻の中に籠...

図書
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(1人)
76. 世界の歴史 14
ムガル帝国から英領インドへ
中央公論社 1998.9
ブルーツ・リー さんの評価:
世界の歴史シリーズの14巻目。

西暦800年頃から、植民地化の時代までの1000年ほどを一冊にまとめた歴史書。
入門と言うか、概論と言うか、ともかく長い歴史を一望しようとすると、
どうしても、個々の人物の評伝は短くなってしまう。

特にこの本のように、実に1000年の歴史を1冊で、
しかも、歴史の流れを1部でまずくくる、となると、
なかなか読むほうも大変。
新しく出てきた人物の名前を一生懸命覚えようとしても、
出てきて3ページ後には死んでしまったりする。
しかもその3ページの間に、奥さんだのライバルだのの名前もたくさん…。
その全員の名前が、日本人にはなじみの薄いイスラム圏の人っぽい名前だと…。
もう大混乱と言うか、あまり個々の人物についてまでは、
1回の読書では訳分からん。というのが本音。

でも、概論的な本ではどうしてもこうなってしまうので、
別にこの本だけが分かりづらいというわけでは無く、
この本をきっかけに、さらにインドを調べていけば、
いずれは訳分からなかった人の名前もわかるようになる日が来る…はず。

2部では文化や庶民の話。
3部では物語のような流れになっていて、
こちらは読み物としても楽しめると思う。

この本をきっかけに、インドの歴史にまずは触れたい。
世界の歴史シリーズの14巻目。西暦800年頃から、植民地化の時代までの1000年...

図書
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(5人)
77. 爪と目
藤野 可織‖著
新潮社 2013.7
ブルーツ・リー さんの評価:
まず確認しておきます。
純文学は、道徳の教科書ではありません。
世間的に正しいことや、読んで心温まる話が書いてあるわけではないのです。

ある方は、純文学とは、下水道の逆流の音である、とおっしゃっていました。
まさにこれこそ純文学だと思います。
下水道というのは、現代日本には絶対に欠かせないインフラ。
にも関わらず、ほとんどの人は、存在することすら忘れてしまっている。
地下に閉じ込め、気持ち悪いものは知らないうちに処分してしまおう。
という、大変便利なシステムです。
しかし、皆が忘れようとも、汚くて気持ち悪いものは地中を流れているのです。

人間の感情も、また然り。
人間の醜い部分。社会で蓋をされて忘れ去られてしまっているけれど、
しかし絶対に存在してるもの。
それに目を向けることこそが、純文学という学問です。
まず純文学を読まれるならば、最低限そのあたりは考慮していただきたいと思います。

それを踏まえ、本作。

「あなた」は痛みを表面でやり過ごす存在。
それはコンタクトレンズのように、表面をこするばかりで、
決して「目」には届かない痛み。
「あなた」は、痛みを決して見ようとしない。
見なければ、痛みなどというものは、存在しないかのように。

「わたし」は「あなた」の不倫相手「父」の娘。
実の母は、恐らくは「わたし」の目前のベランダで倒れる。
もしかしたら、「わたし」による殺人の可能性もあるが、
「事故」ののち、その傷から受ける痛みを隠すために、
ベランダの視界から外れる位置に倒れた母を見えなくするように、
ガラス窓に鍵をかけ、「見ないことにした」
まるで、目(ガラス)に瞼(コンタクトレンズ)を閉じるように。
その「事故」以来、「わたし」はベランダに出ることも、見ることもできなくなる。

「わたし」には、「爪」がある。
「事故」以来、「わたし」は「爪」を噛む行為をやめられない。
それは、「わたし」が痛みを見ないことにするための行為。
それすら。それすらも「あなた」は「見えない=無い」ことにしようとしてしまう。
マニキュアを塗ってやり、ギザギザになってしまった爪を整えてあげる。
研いでしまえば、爪の形は元通り。
マニキュアで綺麗に飾れば、まるでコンタクトに覆われた目のように、
そのマニキュア(コンタクト)の下にある「傷=痛み」は無いことと同じ。
痛みなど、見ないことにしてしまえ!

終盤間近、「あなた」は不倫相手との会話を「わたし」に「見せないために」ベランダに突き出す。
それは、「わたし」にとっては耐えがたい「痛み」
その痛みすら、「あなた」には分からない。
ベランダに出してしまえば、「見えない」見えないものは「無い」かのように。
しかし、ベランダ(目の中)にわたし(爪)が入り、痛みを感じない人間などいるのでしょうか。

「わたし」はマニキュアを器用に剥がし、「あなた」の目の中にねじ込む。
コンタクト(痛みをすべと表面上のみで受け流す行為)を失っている「あなた」
痛み(爪)は容赦なく、あなたの目(痛みを感じることのなかった心)をはじめて傷つける。

あなたは、痛み(爪)を感じる、心(目)を、持っていますか?
まず確認しておきます。純文学は、道徳の教科書ではありません。世間的に正しいことや...

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(1人)
78. 世界の歴史 13
東南アジアの伝統と発展 樺山 紘一‖編集 礪波 護‖編集 山内 昌之‖編集
中央公論社 1998.12
ブルーツ・リー さんの評価:
東南アジアという、比較的マイナーな地域を扱った本で、
大きな帝国や、世界的に有名な人物が少ない分、
同じシリーズの本の中でも、作ることが大変だったのではないかと思われる作品。

しかし、大きな帝国が無くても、「歴史」は存在するし、
その歴史はたくさんの興味深いエピソードで彩られている。
それらをよく拾い上げ、十分に歴史書として楽しめる内容となっている。

歴史研究の基本となる資料がそもそも不足しているであろう中で、
よくここまで作り上げられた、と思う。
同シリーズの他の本とも遜色のない内容となっている一冊。
東南アジアという、比較的マイナーな地域を扱った本で、大きな帝国や、世界的に有名な...


貸出不可(未所蔵)
(1人)
79. イタリア・ルネサンスの文化と社会 
岩波書店 2000.9
ピーター・バーク 〔著〕, 森田義之 訳
ブルーツ・リー さんの評価:
イタリアのルネサンス期の歴史を扱った本。
単に歴史としてのルネサンスを描くのみではなく、
その時代に生きた著名人、民衆、文化、宗教、など、
近年勃興してきた「著名人以外の歴史」にも力を当てた良作。

読みやすく、理解しやすい文章ですし、
ルネサンス期の歴史を支えた文化や社会の様子がよく伝わってくる良書。
イタリアのルネサンス期の歴史を扱った本。単に歴史としてのルネサンスを描くのみでは...
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