ネット社会の恐怖絵図。
自分ではない殺人事件の容疑者となってしまい、逃げまわるエリート社員。
全く身に覚えのない事件の犯人となり、ネットの世界で拡散されていく。
顔写真は曝され、家族などのプライバシーは、正義の糾弾のごとく、
真実と無関係に事実のごとく公開され、エスカレートしていく。
無実な人にとって、死の宣告よりもつらい。
弁解のすべがない、消えない傷として刻まれる。
ネットで、罵詈雑言、誹謗中傷の類が多い。
その心境は・・・どのような思いで投稿しているのだろうか・・・
そんな恐怖を見事に物語としている一冊。

どんでん返しの衝撃もさることながら、読み進めていくうちに明かされていく情報により、登場人物の印象が二転三転して飽きさせない展開は流石。

最後まで読むと、タイトルの「俺ではない」のもう一つの意味に気づかされる。

何か行動する前に、誰もが一度は「俺かもしれない」と顧みる必要があるのだと考えさせられた。
今の時代にこそ読みたい、読んでほしい本。

今を感じるサスペンション小説ですね、時間が、10年前と現在が、入れ替わりがありその部分は、分かりにくかったと思います。