代筆屋を鎌倉で営んでる鳩子と風変わりな依頼主。伝えられなかった想いを相手に代わって文（ふみ）でやさしさとともに届ける。読み終わり最近電子機器での会話しか遠くの友人とはしてないな・・。古風でちょっと面倒だけど友人に手紙が書きたくなるような一冊です。

建長寺裏手の山道は何回か歩いたことがあり、その近くに本当にツバキ文具店がありそうな気がした。万年筆は中学生時代の宝物だった。

鎌倉の文具店を営みながら代筆屋をしている主人公。命名書から和食店のお品書き、看板などなど・・・。メールで伝えるこの時代に手紙の代筆、本人の言いたかったこと、言えなかった想い。その想いによって筆記用具（ボールペン・万年筆・筆など）便せん、カード、封筒などを選ぶ。もちろん言葉も。最後には涙を誘う場面もあります。

手紙を代わりに書くという代書屋として、様々な人の思いを代弁するポッポ。
依頼にくる人々の背景を知り、それを一生懸命に理解し表現するポッポの成長や葛藤に小さなヒューマンドラマが続くような臨場感がありました。
ところどころ挟まれる鎌倉の愉快な登場人物とのやり取りや食事風景などはとてもほっこりします。これがあることで、とても読みやすいのだと思います。
著者のデビュー作かたつむり食堂をたどってきましたが、大満足の１冊でした。

鎌倉で代筆業を営む主人公に舞い込む訳アリの依頼。依頼された手紙が掲載されていて、なんとなく小川洋子さんの「注文の多い注文店」を思い出す構成です。依頼主や隣人との生活している様子など、鎌倉らしさ(？)が目に浮かびます。文具もいろいろ出てきて、鎌倉にいってツバキ文具店をさがしたくなるそんな本です。