樺太アイヌのヤヨマネクフとポルトガル人のブロニスクフの
樺太（サハリン）で繰り広げられる政治的背景に
翻弄されながらも強く生きる様に感動する。
そして私は、彼らが存在したことも知らず、ほんの少しの記憶さえ
文献として残るに過ぎない。
祖国（故郷）はだれのものなのか。
知らざれる樺太の真実とアイヌの人たちから、土地を奪ったのは
正義だったのかと、胸が痛くなった。

樺太の凍土を思い、「熱源」？　と思った。民族のアイデンティティーを守ろうとする魂の活力の源と分かった。時代考証等きちんとしている重厚な作品である。

明治から大正の動乱期のアイヌを描いた力作。史実をもとにしたフィクションで、白瀬中尉、金田一京助、二葉亭四迷なども登場。民族に優劣はあるかを問う。近代の歴史小説。