一冊の小説は売れたが、次がなかなか売れない55歳ぐらいの小説家と何とかしようとする編集者の話し。小説家の私生活も書かれている。

作家と編集者が章を区切って、交互に1人称での語りのなかで一冊の本を作り上げていく話なのだが、「フーン小説ってこんなふうに作られるんだ！」っていう読者にとって新鮮な発見もある。
しかし、何といっても文中の作家が実によく描かれている。多分著者の等身大（私小説？）だろうと思われる生き方が実に好感が持てる。
納豆とキムチと豆腐が大好きな所なんか大好きです。私も毎朝これなので思わず感情移入しちゃいました。
編集者の人物設定も秀逸。

50歳売れない作家の横尾と若き編集者菜種が月ごとに
心情を語る内容だ。
本を書くのも、売れるように導くのも大変だ。
ピュアな心根だけでは、本は面白くないし、正直な目での批評を
受け入れなければ、良い本は作れない。
そして、良い本が売れる本にならない場合も多々あると思う。

小さいころから本が大好き人間としては、作家と編集者ともに頑張って
たくさんの良い本を作ってほしいと願う。