甲斐市立図書館

元小学校の校長だった知識豊富な祖父が認知症に・・・
祖父が大好きな現役小学校教師の孫娘楓と祖父とのミステリー談話が興味深い。
解明するまでの物語の紐解き、作中に出てくる数々の推理本は
読んだことも、題名も知らない本はとても魅かれた。
祖父の病気からくる幻視と現実が混ざり合いの推理、楓の小学校の同僚岩田、その友人の四季、三人の絡みも楽しめた。

元小学校の校長だった知識豊富な祖父が認知症に・・・祖父が大好きな現役小学校教師の...

カナダでがんになった西加奈子さんの闘病日記。
彼女に起きた海外での治療は、日本の病院とはかけ離れていた。
治療費は無料なので、命の重みは重傷者が優先される。自分の治療には順番があり
かなりしんどくても、待たなければならないことはきつい。
知らなかった・・
有料だが手厚い日本の看護・治療・医療に感謝。ありがたいことに看護婦さんはとても親切だし、わかりやすい説明もある。病院を変えることも可能だ。
ただ、彼女の場合まわりの人間力に助けられ身体のみならず、心が死なずに希望をもてたと思う。
心が凍えそうな思いが等身大で描かれている。
外国での会話が大阪弁なので重くなりすぎない文体で、温かみを感じ、作中に織り込まれた数々の本の抜粋の一節も心に染みた。
今日一日に感謝、大切に生きよう。

カナダでがんになった西加奈子さんの闘病日記。彼女に起きた海外での治療は、日本の病...

元小学校教員だったが、他人とは少し距離を置きたいと選んだ職業の警備員。
彼の正義感と不器用な真面目さは、一人の置き引きしようとした少女を見捨てることができない。
良かれと思った行動が裏目に出てしまった過去。
教師はとても微妙な立場で子供たちを見守らなければならない。
大切で大事な職業だけれど、組織・父兄諸々込みで大変だと思う。
でも彼に救われた心があることも事実だと思う。
少女にも、あなたにも光が射すことを祈ります。

元小学校教員だったが、他人とは少し距離を置きたいと選んだ職業の警備員。彼の正義感...

かなり昔に読んだ「世界の終わりとハードボイルワンダーランド」を思い出しながら
新しい気持ちで読んだ新刊。
そこにはやはり村上氏ならではの哲学がちりばめられていた。
作中の僕の存在感が、どちらの世界でも図書館で働いているし、どちらが本物なのかと思案。
孤独な心を持つ、自閉的な性格の僕は、独特な表現で読者を深い底へと引きずり、
浸らせる。
他の作家にはない、難解で美しい文体表現にまたまた魅了された。

かなり昔に読んだ「世界の終わりとハードボイルワンダーランド」を思い出しながら新し...

生きずらさを感じる人の多くは、真面目で繊細なひとが多いと聞く。
心を吐き出す場所は誰にでも必要だと思う。
そんな傷ついた心に寄り添ってくれるのは、街の片隅にある「椎木クリニック」。
そしてほんの少し癒しの時間をくれる「純喫茶純」
おだやかに心を受け止め、壊れそうな心を柔らかく抱きしめてくれる。

めまぐるしい情報量の渦の中に暮らす現代社会は、棘だらけだと思うときがある。
心の痛みは千差万別で、本人にしかわからず、医学書にも記載がない。
まして、心は複雑で、なかなか他の人には伝えづらいと思う。
だから心が疲れてしまい、途方に暮れるのだろう。
この本はそんな時に寄り添ってくれる本。

生きずらさを感じる人の多くは、真面目で繊細なひとが多いと聞く。心を吐き出す場所は...

平清盛の愛息子、四男知盛から見た平家の生き様がとても新鮮。
後白河法皇の老害的思考に知盛ともに困惑し、息子の和章の戦いに涙し、源義経へのリスペクトした。そして源頼朝の姑息さに苛立った。
しかしながら、知盛は人柄は知的で平等、愛情深い。
愛妻希子への愛。子供たち家来、大きくはこの時代の人々へも大きな愛。
共に戦い抜いた平教経もとても魅力的な武将だ。
熱き漢たちの想いが迸る。
ＮＨＫ大河ドラマ「鎌倉殿」を視聴していたので、平家側のやり取りが鮮明になり
この本に引き込まれた。
戦国歴史の今村祥吾氏の他にはない視点が魅力的。

平清盛の愛息子、四男知盛から見た平家の生き様がとても新鮮。後白河法皇の老害的思考...

カフェの店長清瀬のもとに、病院から恋人感が薄れている松木が意識不明だと連絡が入る。
彼の部屋には彼が清瀬には見せてくれなかったノートがあり拙い字が綴られていた。
書いたのは誰？
そして、遠い病院へ通う日々が始まる。
職場には学歴は申し分ないけれど、空気を読めないバイトに溜息だったが、助けを乞うことになり、人間関係が少しづつ動き出す。
人とのコミュニケーションは、どうしても温度差が出ることがある。
短絡的に判断できないし、深読みしすぎても難しい。
行動障害と捉えるか、性格と捉えるか、怖がらず、言葉にしなくれは伝わらないと学んだ。

カフェの店長清瀬のもとに、病院から恋人感が薄れている松木が意識不明だと連絡が入る...

万両店の子供たちは、自由奔放な三姉妹と思慮深く愛情深い兄そして、11歳末っ子の５人兄弟。
姉たちに振り回され困惑す鷺之介の姿がとても可愛い。
長兄の優しさも素敵で、コミカルな中にシリアスがあり引き込まれる。
姉たちの散財と言動に鷺くんでなくとも、なんだかなぁなんだけど、憎めない。
５人の性格キャラが際立つ設定。
血縁とはなにか・・家族とはなにか・・・
暖かい気持ちになる一冊。

万両店の子供たちは、自由奔放な三姉妹と思慮深く愛情深い兄そして、11歳末っ子の５...

「人魚」・・今まで黙っていたけれど私本当は人魚なの・・　
から始まる１３本の短編集。
どの短編も秀逸だが「神様はそない優しかない」が時に印象に残った。
突然の「とん！」から駅ホームへ・・生まれ変わりで猫になり嫁に拾われ暮らし始めるのだが、記憶は人間のまま。
嫁の心情に触れてラストは？
短編集のすべてに色んな感情が満ちている。
昔の電車での出来事を思い出した。ご年配の方に「次の駅で降りますからどうぞ」といったとき、「年寄扱いするな！」と叱責され、
席に戻ることも出来ず、次の駅まで気まずかったし、
親切は難しいと切なかった。
感情はいろいろと改めて感じ入った本。

「人魚」・・今まで黙っていたけれど私本当は人魚なの・・　から始まる１３本の短編集...

「合理的にあり得ない」・・・消えた車の行方を捜す依頼なのだが、働かない人間には制裁が必要。
「倫理的にあり得ない」・・・離婚した夫から親権を取り戻したいとの依頼だが、誠の家族の絆の意味知る。
「立場的にあり得ない」・・・摂食障害にまで追い詰められた由奈。心の傷の真実に向き合う。

甘すぎない涼子の性格と、クールで頭脳明晰な貴山の二人の推理がテンポよく小気味いい。

「合理的にあり得ない」・・・消えた車の行方を捜す依頼なのだが、働かない人間には制...