子門さんのブックリスト / 筑前町図書館

図書
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(1人)
151. 世界はおわらない
ジェラルディン マコックラン‖著 金原 瑞人‖訳 段木 ちひろ‖訳
主婦の友社 2006.3
子門 さんの評価:
「ノアの箱舟」ってのは、聖書の数あるエピソードでも有名なもののひとつで
あるが、その航海中の出来事というのはあまり知られていない。
登場人物は、ノアとその妻アマ、長男セム、その妻バセマト、次男ハム、その
妻サライ、三男ヤフェト・・・っていうか、ノア夫妻と三人の息子たちは聖書
にその存在が確認されるようだが、セムとハムの妻たちはどうなのか?ま、い
ても不思議ではない。だけど、末娘のティムナは作者の創作だろう。でもって
末娘のティムナが主な語り手として、物語は展開する。
ノア一家総出でもって、長い年月をかけて完成した箱船。その用途について、
神の啓示をうけたノアはともかく、近所に住む人々たちとしては「一体、なに
やってんだ?」と不思議に思っても当然である。嫌がらせは論外としても、一
家の精神状態を疑ってかかるのはムリのない話。なにしろ神からの洪水に関す
る情報をノアが非公開にしているのだから、ある意味自業自得といえる。現代
日本で言うなら、新興宗教にハマった一家というのがノアに対する周囲の印象
であった。それでも子ども同士は仲良くするケースもあったりするもので、三
男ヤフェトにはアブラムという友人がいたし、サライにも親友たるツィラがい
た。が、洪水の到来で、そうした関係は一変する。子孫をのこすという目的か
ら、ヤフェトはアブラムを見すてることを強要される。そしてツィラにいたっ
ては、ヤフェトの妻候補ということで、ノア一家に拉致され力づくで箱船に連
れ込まれてしまうのだ!
一気に不穏な空気となったこの物語ではあるが、まだまだそんなモノではすむ
ハズもない。洪水が押し寄せ、箱船が漂いだしたその周辺に、人々が助けを求
めて流されてくる。で、義人たるノア一家、そんな人々を救助するかと思いき
や、なんと見すててしまう!いやそれどころか、長男のセムなどは箱船に取り
すがってくる人たちを棒などで打ち払うありさま!
むろんのこと、箱船のキャパシーに限界があるのだろうから、間違った行動と
もいいきれない。そもそも箱船を造ったのはノア一家であって、周囲の人たち
は何の寄与もしてないしネ。文句をいわれる筋合いはないといえばそうなのだ
けど、だとしても、他者を排除するとき、少しは躊躇いをみせたり、苦悩して
みせろ!と、読者としては言いたくなるのだ。ノアなんて、そんな惨劇を横目
にしながら、神へ祈りを捧げているのだから、その神経を疑う。ホントにコイ
ツら、正義の人なのか?
むろん、箱船に寄ってくる人間たちがすべてマトモであるハズもなく、中には
海賊まがいに乗っ取りをたくらむ輩はいた。が、大半はごく普通の人々であっ
て、中には船でもって洪水をのりきろうとした人々もいて、そんな彼らはノア
一家に対して善意でもって呼びかけをしてくるのだ。が、ソレを一切無視する
ノア一家(ていうか、ノアと、長男セム、次男ハムがマトモじゃない!)の行
く末が本気で心配になってくる。
狂っているというしかないノア一行なのだが、まっとうな人間もいるワケで、
三男ヤフェトと末娘のティムナ、そして拉致されてきたツィラの存在が読者に
とっても救いとなる。この三人、箱船の外壁に流れ着いた母親と少年と乳児を
発見し、保護しようとする。残念ながら母親は助けることができなかったけど
も、子どもと乳児の二人は無事に箱船の奥深く連れ込むことができた。このこ
とがノアや兄たちに露見すると無事にすむとは到底思えないワケで、隠し通そ
うといろいろ画策するのだ。が、その苦労は並大抵のものでなく、たとえば乳
児は夜泣きなどするワケで、ソレに気づいたノアが不審を覚えたりして、そん
な緊迫感がストーリーの後半部分をいやがうえにも盛り上げていく。
加えていうなら、箱船内部の環境劣化も物語にインパクトをあたえているファ
クターである。人間はむろん、動物たちの食糧の不足、病気の蔓延、船内にた
まっていく糞尿をふくめた廃棄物の増大、空気の汚染、外壁の破損からくる水
の流入等々・・・閉鎖環境における人間集団の生存というのは、現代科学をも
ってしても至難の業というか、破綻するのが実証されているので、ムリのない
ことかもしれないが、よくこんな箱船なんぞに運命を託そうとしたものだと、
呆れるしかない。
だけども、そんなお話もさいごはめでたしめでたし、で完結する。読者の一人
として安堵の思いであったが、そのキー・パーソンが、なんと、「あの人」で
あったとはネ!思わず最初から読みなおしてしまった。
楽しめた一冊。お薦めする。
「ノアの箱舟」ってのは、聖書の数あるエピソードでも有名なもののひとつであるが、そ...

図書
貸出可能
(1人)
152. 「司馬遼太郎」で学ぶ日本史
NHK出版新書 517 磯田 道史‖著
NHK出版 2017.5
子門 さんの評価:


貸出不可(未所蔵)
(1人)
153. シャーロック・ホームズの醜聞(スキャンダル) 
晶文社 1999.7
小林司 著, 東山あかね 著
子門 さんの評価:
単純にホームズ物語を楽しみたい人であれば、目を通さないことを推奨する。
ホームズがモリアティ教授と相撃ちの形でもって死亡とのショッキングなシーン
でもって一旦物語が幕を閉じる。が、「生還」でもってホームズが実は死んでは
いなかった事情が明らかにされ、物語が再開となる。
で、なんで作者のドイルは、ホームズを殺そうとしたのか、世に流布していた説
としては「ホームズ物語ではなく、ドイルの本意は歴史小説を書きたかった」か
ら・・・と、そんな説明がなされてはいる。
が、これは真実とはほど遠いモノであって、本書を読んでいくと、仰天すべき事
実が明らかとなっていくのである。
ま、確かにそう言われれば、「突然として」宿敵たるモリアティが「出現」した
印象があったりと不自然なストーリー展開はあった。が、当時の、そして現代の
読者たちも「面白ければいい」とばかりあんまし気にとめなかったのだと思う。
ネタバレは避けるべきと思うから、これ以上のコメントは控えたいところではあ
るのだが、本書で語られた「真実」はじつに苦いものがある。
作家という人種が、かくもあるような存在だとしたら、マトモな精神の持ち主に
つとまる職業ではないことはいうまでもない。
単純にホームズ物語を楽しみたい人であれば、目を通さないことを推奨する。ホームズが...

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(0人)
154. お市の方の生涯
「天下一の美人」と娘たちの知られざる政治権力の実像 朝日新書 895 黒田 基樹‖著
朝日新聞出版 2023.1
子門 さんの評価:

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(0人)
155. シャーロック・ホームズ全集 3
シャーロック・ホームズの冒険 アーサー コナン ドイル‖著 小林 司‖訳 東山 あかね‖訳
河出書房新社 1998.2
子門 さんの評価:

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(1人)
156. écriture新人作家・杉浦李奈の推論 7
レッド・ヘリング 角川文庫 ま26-707 松岡 圭祐‖著
KADOKAWA 2022.12
子門 さんの評価:

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(1人)
157. 君の教室が永遠の眠りにつくまで
鵺野 莉紗‖著
KADOKAWA 2022.12
子門 さんの評価:

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(2人)
158. 地球の中心までトンネルを掘る
海外文学セレクション ケヴィン ウィルソン‖著 芹澤 恵‖訳
東京創元社 2015.8
子門 さんの評価:


貸出不可(未所蔵)
(0人)
159. 福岡・九州の災害地名 語源と地形から読み解く警告
忘羊社 2022.11
池田善朗
子門 さんの評価:

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(3人)
160. 水族館の殺人
青崎 有吾‖著
東京創元社 2013.8
子門 さんの評価:
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