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世界はおわらない
主婦の友社 2006.3
ジェラルディン マコックラン
∥著
金原 瑞人
∥訳
段木 ちひろ
∥訳
(1人)
蔵書数: 3冊
貸出数: 0冊
貸出可能数: 3冊
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竜王図書館 <1011525357>
貸出可 / 書庫一般書 / / /933/マ/ / 帯出可
敷島図書館 <410662928>
貸出可 / 一般930-999 / / /933/マ/ / 帯出可
双葉図書館 <2810814943>
貸出可 / 一般外国文学920-999 / / /933/マ/ / 帯出可
詳細情報
ISBN
4-07-248332-X
書名ヨミ
セカイ ワ オワラナイ
著者ヨミ
マコーリン ジェラルディン
著者原綴
McCaughrean Geraldine
著者ヨミ
カネハラ ミズヒト
著者ヨミ
ダンボク チヒロ
原書名
原タイトル:Not the end of the world
分類記号
933.7
価格
¥1900
出版者ヨミ
シュフ ノ トモシャ
大きさ
19cm
ページ数
285p
抄録
どんなに世界が悪魔でいっぱいに思えたとしても、世界の終わりは決してやってこない…。途方もない世界の広がりと、目の前に見えるようなリアルな描写、予想を裏切る巧みな物語で、人の中に潜む闇と光を鋭く描く。
著者紹介
1951年生まれ。英国の児童書作家。出版社につとめたのち、作家になる。「不思議を売る男」でカーネギー賞とガーディアン賞、「世界はおわらない」で3度目のウィットブレッド賞を受賞。
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シン・ノアの箱舟
(2023/03/09)
子門/筑前町図書館
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「ノアの箱舟」ってのは、聖書の数あるエピソードでも有名なもののひとつで
あるが、その航海中の出来事というのはあまり知られていない。
登場人物は、ノアとその妻アマ、長男セム、その妻バセマト、次男ハム、その
妻サライ、三男ヤフェト・・・っていうか、ノア夫妻と三人の息子たちは聖書
にその存在が確認されるようだが、セムとハムの妻たちはどうなのか?ま、い
ても不思議ではない。だけど、末娘のティムナは作者の創作だろう。でもって
末娘のティムナが主な語り手として、物語は展開する。
ノア一家総出でもって、長い年月をかけて完成した箱船。その用途について、
神の啓示をうけたノアはともかく、近所に住む人々たちとしては「一体、なに
やってんだ?」と不思議に思っても当然である。嫌がらせは論外としても、一
家の精神状態を疑ってかかるのはムリのない話。なにしろ神からの洪水に関す
る情報をノアが非公開にしているのだから、ある意味自業自得といえる。現代
日本で言うなら、新興宗教にハマった一家というのがノアに対する周囲の印象
であった。それでも子ども同士は仲良くするケースもあったりするもので、三
男ヤフェトにはアブラムという友人がいたし、サライにも親友たるツィラがい
た。が、洪水の到来で、そうした関係は一変する。子孫をのこすという目的か
ら、ヤフェトはアブラムを見すてることを強要される。そしてツィラにいたっ
ては、ヤフェトの妻候補ということで、ノア一家に拉致され力づくで箱船に連
れ込まれてしまうのだ!
一気に不穏な空気となったこの物語ではあるが、まだまだそんなモノではすむ
ハズもない。洪水が押し寄せ、箱船が漂いだしたその周辺に、人々が助けを求
めて流されてくる。で、義人たるノア一家、そんな人々を救助するかと思いき
や、なんと見すててしまう!いやそれどころか、長男のセムなどは箱船に取り
すがってくる人たちを棒などで打ち払うありさま!
むろんのこと、箱船のキャパシーに限界があるのだろうから、間違った行動と
もいいきれない。そもそも箱船を造ったのはノア一家であって、周囲の人たち
は何の寄与もしてないしネ。文句をいわれる筋合いはないといえばそうなのだ
けど、だとしても、他者を排除するとき、少しは躊躇いをみせたり、苦悩して
みせろ!と、読者としては言いたくなるのだ。ノアなんて、そんな惨劇を横目
にしながら、神へ祈りを捧げているのだから、その神経を疑う。ホントにコイ
ツら、正義の人なのか?
むろん、箱船に寄ってくる人間たちがすべてマトモであるハズもなく、中には
海賊まがいに乗っ取りをたくらむ輩はいた。が、大半はごく普通の人々であっ
て、中には船でもって洪水をのりきろうとした人々もいて、そんな彼らはノア
一家に対して善意でもって呼びかけをしてくるのだ。が、ソレを一切無視する
ノア一家(ていうか、ノアと、長男セム、次男ハムがマトモじゃない!)の行
く末が本気で心配になってくる。
狂っているというしかないノア一行なのだが、まっとうな人間もいるワケで、
三男ヤフェトと末娘のティムナ、そして拉致されてきたツィラの存在が読者に
とっても救いとなる。この三人、箱船の外壁に流れ着いた母親と少年と乳児を
発見し、保護しようとする。残念ながら母親は助けることができなかったけど
も、子どもと乳児の二人は無事に箱船の奥深く連れ込むことができた。このこ
とがノアや兄たちに露見すると無事にすむとは到底思えないワケで、隠し通そ
うといろいろ画策するのだ。が、その苦労は並大抵のものでなく、たとえば乳
児は夜泣きなどするワケで、ソレに気づいたノアが不審を覚えたりして、そん
な緊迫感がストーリーの後半部分をいやがうえにも盛り上げていく。
加えていうなら、箱船内部の環境劣化も物語にインパクトをあたえているファ
クターである。人間はむろん、動物たちの食糧の不足、病気の蔓延、船内にた
まっていく糞尿をふくめた廃棄物の増大、空気の汚染、外壁の破損からくる水
の流入等々・・・閉鎖環境における人間集団の生存というのは、現代科学をも
ってしても至難の業というか、破綻するのが実証されているので、ムリのない
ことかもしれないが、よくこんな箱船なんぞに運命を託そうとしたものだと、
呆れるしかない。
だけども、そんなお話もさいごはめでたしめでたし、で完結する。読者の一人
として安堵の思いであったが、そのキー・パーソンが、なんと、「あの人」で
あったとはネ!思わず最初から読みなおしてしまった。
楽しめた一冊。お薦めする。
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あるが、その航海中の出来事というのはあまり知られていない。
登場人物は、ノアとその妻アマ、長男セム、その妻バセマト、次男ハム、その
妻サライ、三男ヤフェト・・・っていうか、ノア夫妻と三人の息子たちは聖書
にその存在が確認されるようだが、セムとハムの妻たちはどうなのか?ま、い
ても不思議ではない。だけど、末娘のティムナは作者の創作だろう。でもって
末娘のティムナが主な語り手として、物語は展開する。
ノア一家総出でもって、長い年月をかけて完成した箱船。その用途について、
神の啓示をうけたノアはともかく、近所に住む人々たちとしては「一体、なに
やってんだ?」と不思議に思っても当然である。嫌がらせは論外としても、一
家の精神状態を疑ってかかるのはムリのない話。なにしろ神からの洪水に関す
る情報をノアが非公開にしているのだから、ある意味自業自得といえる。現代
日本で言うなら、新興宗教にハマった一家というのがノアに対する周囲の印象
であった。それでも子ども同士は仲良くするケースもあったりするもので、三
男ヤフェトにはアブラムという友人がいたし、サライにも親友たるツィラがい
た。が、洪水の到来で、そうした関係は一変する。子孫をのこすという目的か
ら、ヤフェトはアブラムを見すてることを強要される。そしてツィラにいたっ
ては、ヤフェトの妻候補ということで、ノア一家に拉致され力づくで箱船に連
れ込まれてしまうのだ!
一気に不穏な空気となったこの物語ではあるが、まだまだそんなモノではすむ
ハズもない。洪水が押し寄せ、箱船が漂いだしたその周辺に、人々が助けを求
めて流されてくる。で、義人たるノア一家、そんな人々を救助するかと思いき
や、なんと見すててしまう!いやそれどころか、長男のセムなどは箱船に取り
すがってくる人たちを棒などで打ち払うありさま!
むろんのこと、箱船のキャパシーに限界があるのだろうから、間違った行動と
もいいきれない。そもそも箱船を造ったのはノア一家であって、周囲の人たち
は何の寄与もしてないしネ。文句をいわれる筋合いはないといえばそうなのだ
けど、だとしても、他者を排除するとき、少しは躊躇いをみせたり、苦悩して
みせろ!と、読者としては言いたくなるのだ。ノアなんて、そんな惨劇を横目
にしながら、神へ祈りを捧げているのだから、その神経を疑う。ホントにコイ
ツら、正義の人なのか?
むろん、箱船に寄ってくる人間たちがすべてマトモであるハズもなく、中には
海賊まがいに乗っ取りをたくらむ輩はいた。が、大半はごく普通の人々であっ
て、中には船でもって洪水をのりきろうとした人々もいて、そんな彼らはノア
一家に対して善意でもって呼びかけをしてくるのだ。が、ソレを一切無視する
ノア一家(ていうか、ノアと、長男セム、次男ハムがマトモじゃない!)の行
く末が本気で心配になってくる。
狂っているというしかないノア一行なのだが、まっとうな人間もいるワケで、
三男ヤフェトと末娘のティムナ、そして拉致されてきたツィラの存在が読者に
とっても救いとなる。この三人、箱船の外壁に流れ着いた母親と少年と乳児を
発見し、保護しようとする。残念ながら母親は助けることができなかったけど
も、子どもと乳児の二人は無事に箱船の奥深く連れ込むことができた。このこ
とがノアや兄たちに露見すると無事にすむとは到底思えないワケで、隠し通そ
うといろいろ画策するのだ。が、その苦労は並大抵のものでなく、たとえば乳
児は夜泣きなどするワケで、ソレに気づいたノアが不審を覚えたりして、そん
な緊迫感がストーリーの後半部分をいやがうえにも盛り上げていく。
加えていうなら、箱船内部の環境劣化も物語にインパクトをあたえているファ
クターである。人間はむろん、動物たちの食糧の不足、病気の蔓延、船内にた
まっていく糞尿をふくめた廃棄物の増大、空気の汚染、外壁の破損からくる水
の流入等々・・・閉鎖環境における人間集団の生存というのは、現代科学をも
ってしても至難の業というか、破綻するのが実証されているので、ムリのない
ことかもしれないが、よくこんな箱船なんぞに運命を託そうとしたものだと、
呆れるしかない。
だけども、そんなお話もさいごはめでたしめでたし、で完結する。読者の一人
として安堵の思いであったが、そのキー・パーソンが、なんと、「あの人」で
あったとはネ!思わず最初から読みなおしてしまった。
楽しめた一冊。お薦めする。