２０２０年、新型コロナウイルスの感染拡大のため、春の選抜に続いて、夏の甲子園も中止となりました。大会の中止を知った元・高校球児で作家として活躍する著者は、高校野球の強豪校である２校を何度も訪れ、選手たち、そして指導者を取材します。十八年間の憧れを奪われた選手たちは、現実をどう受け止め、それぞれの高校野球をどう締めくくったのか、彼らが自らの頭で考えた「正解」に耳を傾けます。「甲子園のない夏」という逆境の中、それでも前を向いて次の一歩を踏み出そうとする選手たちの姿に勇気づけられる一冊です。

愛媛県在住の作家早見和真氏。自身も元高校球児でありデビュー作「ひゃくはち」は強豪校の野球部に所属する補欠球児の物語で、作者人生が投影されているという。
2020年、愛媛県の済美高校と石川県の星稜高校での取材、作者が真摯に向き合ったからこそ語られた想い、『愛媛新聞』掲載を加筆・修正。敬称が略されており、普段の会話のように感じられそのときの想いを身近に感じることができる作品です。

新種のウイルスに成果獣が右往左往し、戦々恐々としていた夏の、高校三年生の物語。
こんな夏を経験した大人はいない。正解なんて誰にも分からない。経験豊富な指導者でさえ、悩み迷った。
彼らの本当の思いを分かり合えるのは、同じ歳の彼ら鹿いないのかもしれないが、彼らに少しでも寄り添うためのドキュメンタリー。