区役所で勤務する愛子は、同僚から陰口を聞いたことをきっかけに「発作」を起こすようになる。それから何度か「発作」を起こし、心療内科で、「パニック障害」と診断されるが、納得のいかない愛子はドクターショッピングを繰り返し、そして……。（「天罰あげる」）
二人目の子を妊娠中の真実子の夫宛てに届いた1通の手紙。それは、真実子をとことんこき下ろす誹謗中傷の内容だった。初めは悪質ないたずらとしか思っていなかったが、しだいに真実子は、疑心暗鬼になって追い詰められていく。（「ご主人さまへ」）
現役医師による、強烈にブラックな短編小説を5編収録。毒気をはらむ患者たちに、ゾッとすること間違いなし。

今回は、医師からの視線だけでなく、患者側からの目線もある短編５編。同僚に悪口を言われたと訴えるOL、順調すぎる生活に不安を募らせる医師、デイサービスで発生する日常のいざこざ等々、身の回りで起こらないとも限らない出来事が描かれておりドキリとさせられる。