出版当時、結構売れたと思う。タイトルのみ記憶に残っていたので借りた。
しかし最初の数ページで挫折しそうになる。これは酷い。あまりにも酷い。どれぐらい酷いかと言うと、灰と幻想のグリムガルの13巻と同じぐらい（ちなみにこれは読んですぐ全巻まとめて捨てた）。文章の体をなしておらず、読むことが苦痛でしかない。一応最後まで読んだが、それはこのレビューを書くためでしかなかった。あなたの人生の大切な時間を無駄にしたくなければ、読むべきではありません。

出版当時、結構売れたと思う。タイトルのみ記憶に残っていたので借りた。しかし最初の...

　男の子なら、みんな大好き007。子供の頃、「私を愛したスパイ」の水陸両用ロータス・エスプリに衝撃を受けたのを思い出す（歳がバレる）。
　本作は、原作イアン・フレミングの版権を管理する団体から、依頼を受けて書かれたもの。どんでん返しの天才、ジェフリー・ディーヴァーが007ってどうなんだろう？　半端なモノになるんじゃないか？　そんな風に、半分疑いながら読み進めたのだが、予想を超えてちゃんと007だ。ディーヴァーは、きちんと007のエッセンスをちりばめながら、彼らしい二転三転する展開を盛り込み現代のジェームス・ボンドとして昇華させた。私見だが、この内容なら多くのファンを納得させると思う。
　余談だが、これを書いている現在、新型コロナウイルスの影響で映画最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」の公開が延期されている。僕はダニエル・クレイグ演じるボロボロ中年ボンド（しかもアル中）が大好きなのだが、それは自分がその年齢に差し掛かっているからかもしれない。公開が待ち遠しい。

＜参考：著者インタビュー＞
https://books.bunshun.jp/articles/-/3266

　男の子なら、みんな大好き007。子供の頃、「私を愛したスパイ」の水陸両用ロータ...

個人的な話だが、とある賞を頂いた際に審査員をされていたのが原田マハさんだった。「優しい人だな」という印象を持っていたのだが、それは氏の作品すべてに表れていて、どれを読んでも弱者への暖かい目線、愛が感じられる。
本作は小品ではあるものの、氏の魅力が詰まった小さな宝石である。

個人的な話だが、とある賞を頂いた際に審査員をされていたのが原田マハさんだった。「...

名作だから読め。
レビューとしてはこの一言で良いのだけれど、参考までに蛇足を付け加える。2012年に本屋大賞、2016年にアニメ化した。アニメも素晴らしい出来なのでお勧め。
これも蛇足、我が町の図書館には二冊用意されていたが、どちらもボロボロで読者が多いのが良くわかる。愛されている本だと思う。
最後に、読み終わったら装幀を眺めてみよう。ニヤリとすること請け合い。

名作だから読め。レビューとしてはこの一言で良いのだけれど、参考までに蛇足を付け加...