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レビュー一覧 (8件)
背教者ユリアヌスさんの投稿レビュー/池田市立図書館
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1. 頼朝の武士団
鎌倉殿・御家人たちと本拠地「鎌倉」 朝日新書 841 細川 重男‖著
朝日新聞出版 2021.11
背教者ユリアヌス さんの評価:
圧巻は宝島新書として出版されていた前半部分である。源頼朝は一般的に酷薄で理不尽なイメージのあるところ、この本で語られる頼朝像は人間臭く魅力的ですらある。そしてその人物像が筆者の創作であればよくある話なのだが、この本はその人物像に資料を読み込むことでたどり着いているのが素晴らしい。新書としてはかなり分厚い方だと思うが、語り口が平易であるためあまり気にならない。むしろ吾妻鏡の原文とその訳が丹念に拾われているのでこの分量は当然かと。
圧巻は宝島新書として出版されていた前半部分である。源頼朝は一般的に酷薄で理不尽な...
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(5人)
2. ハーモニー
ハヤカワSFシリーズJコレクション 伊藤 計劃‖著
早川書房 2008.12
背教者ユリアヌス さんの評価:
個々人の体内に埋め込まれた医療デバイスが個々人の健康状態を常にモニターし、病気をいち早く発見してくれる理想社会。ただ、個々人のほぼすべての情報は公開・共有され、酒やタバコはもとよりカフェインですら不健全とされる「理想社会」。
そんな「健全」な世界において、その維持・管理の先兵たる螺旋監察官たる主人公は、同時多発自殺の謎を追っていく。
おぞましさすら感じる理想の未来と名状し難い結末は、医療の行き着く先や自我の価値というものに刺激的な問題意識を提起してくれます。
文章が平易で作品がコンパクトなのも好印象。
「エヴァンゲリオン」や「攻殻機動隊」が好きな方はドはまりするに違いありません。
ただ黒幕の行動に一貫性も魅力も感じられず、そんな黒幕に翻弄される世界に重みも厚みも感じられないのはやや残念です。
何より「自由裁量のあるエリートが主人公、謎の黒幕を追って世界を旅して、最終的に黒幕を倒すも、その黒幕の意図は達成され、世界は大きく変貌していく」というように、前作「虐殺器官」とほぼプロットが同じなのはどうなんでしょう。 前作との対比に意味を持たせたかったのなら仕方ありませんが、それには成功しているように思えませんし。
その意味で非常にもったいない作品であると思いました。
個々人の体内に埋め込まれた医療デバイスが個々人の健康状態を常にモニターし、病気...
貸出不可(未所蔵)
(1人)
3. 白銀(しろがね)の誓い 歴史ミステリー
光文社 1998.8
リンゼイ・デイヴィス 著, 伊藤和子 訳
背教者ユリアヌス さんの評価:
元首制ローマはヴェスパシアヌス帝の時代、つまりは内乱直後の混乱とそこからの再建の時代が舞台。
で、始まるのは軍事ものかと思いきやハードボイルド探偵もの。
なんだそれ。
でも、意外に違和感がない。当たり前だ、当時のローマは西洋最大の都市にして、極めて高い文明レベルを誇っていたのだから。我々と同じく人々が泣き、笑い、そして人を殺めるところにはハードボイルドが成立するのだろう。
もちろん楽しむためには最低限のローマ帝国の知識が必要だろう、でもたまには変わった探偵ものが読んでみたいという方にはおススメです。
元首制ローマはヴェスパシアヌス帝の時代、つまりは内乱直後の混乱とそこからの再建の...
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(1人)
4. パスタでたどるイタリア史
岩波ジュニア新書 699 池上 俊一‖著
岩波書店 2011.11
背教者ユリアヌス さんの評価:
まず、この本は筆者の溢れるパスタ愛とパスタの歴史を楽しむ本です。イタリア史はその上でどうしても必要なことをしぶしぶ叙述しているという感じ。その意味で、イタリア史を学びたいのならこの本ではあっさりしすぎです。
ただ、第1次世界大戦の後のアメリカへの憧れから、食のアメリカ化や、パスタを食べると馬鹿になる的な誤ったキャンペーンが学者や「未来派」のマリネッティに代表されるような有識者から始まったという点は、かつての日本でもあったことで、他人事とも思えませんでした。
口絵写真も豊富で、各地のオリジナルパスタの紹介も力を入れておられ、食文化史の本としては手軽で本格的な良い本だと思います。
あと、この本を読むと間違いなくパスタが食べたくなります。
まず、この本は筆者の溢れるパスタ愛とパスタの歴史を楽しむ本です。イタリア史はその...
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(1人)
5. 第九軍団のワシ
岩波書店 1987.9
ローズマリ・サトクリフ 作, 猪熊葉子 訳
背教者ユリアヌス さんの評価:
2世紀前半の古代ローマはブリタニア(現イギリス)、当地に派遣されていたローマ第9軍団がブリタニア北部で突如姿をくらます。なぜ、何が起きたのか、一人の生還者もないままに時は過ぎ…
青年マーカスは新進気鋭の百人隊長(今でいうところの士官)、そして消えた第9軍団の軍団長の息子であった。彼は運命に翻弄されるようにして蛮族の支配するブリタニア北部に元奴隷の友人と二人で乗り込み、真実を探る旅に出る…
本国イギリスでは何度もドラマ化され、すっかり有名になった著者の代表作。同名の映画はDVDとして日本でも市販されています。
時代考証もしっかりしていて当時の社会情勢がよく理解できる。ただ、中学生向けの児童文学にしては文章が固く、相応の歴史的知識があったほうが楽しめると思うので、むしろ日本では大人向けと言ってもいいかもしれない。
2世紀前半の古代ローマはブリタニア(現イギリス)、当地に派遣されていたローマ第9...
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6. 新・ローマ帝国衰亡史
岩波新書 新赤版 1426 南川 高志‖著
岩波書店 2013.5
背教者ユリアヌス さんの評価:
最近の学問的成果からローマ帝国の滅亡のプロセスを説明した本です。
いわゆる「これが本当の滅亡原因だ!」というような本ではなく、ローマの衰退の流れを追ったものなのでそういうのを期待なさった方は不満に思うかもしれません。
ただ、ローマの帝国の衰退の原因として偏狭な蛮族排斥主義があるという指摘は今の我々にもまあ、いろいろと耳の痛い話です。
基本的に硬い文章なので読み進めるのもはじめは時間がかかるかもしれません。
最近の学問的成果からローマ帝国の滅亡のプロセスを説明した本です。いわゆる「これが...
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(2人)
7. フランス革命
歴史における劇薬 岩波ジュニア新書 295 遅塚 忠躬‖著
岩波書店 1997.12
背教者ユリアヌス さんの評価:
いわゆるフランス革命を扱った中高生向けの入門書です。
フランス革命を時系列順に説明するのではなく、どのような流れで、どのように変化をしていき、その歴史的な意義はなんなのか、ということをマクロに理解できるような構成になっています。
個人的にはベクトルを用いた政治理念の変化が分かりやすかったように思います。
バルナーブの言葉や彼のエピソードを始め、具体的な事例にも紙幅を割いており、しかもそれらを参照しやすいように心配りをしていたりと、フランス革命ひいては歴史に関心を持ってほしいという著者の中高生への心遣いが垣間見えます。
フランス革命をこれから学ぼうという中高生はもとより、既にある程度の知識を持っている人にも新たな発見・理解があるでしょう。
ジュニア新書ということでかえって大人は手に取りにくいでしょうが、勿体ないですよ。
いわゆるフランス革命を扱った中高生向けの入門書です。フランス革命を時系列順に説明...
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(4人)
8. 謎の独立国家ソマリランド
そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア 高野 秀行‖著
本の雑誌社 2013.2
背教者ユリアヌス さんの評価:
映画「ブラックホーク・ダウン」でも有名な内戦の続くソマリア。
その東北部であるソマリランドだけが内戦の続く首都周辺をよそに平和で安定した統治が進んでいるということは知っていましたが、なぜ・どのようにといったことが日本ではほとんどうかがい知ることができませんでした。
それゆえこの本の存在を知り、興味を持って読んでみたのですが…
まず基本的には期待を裏切らない内容でした。
当地の風俗やイスラム原理主義などの説明も丁寧で、私のような門外漢でもソマリアの現状を知ることができました。
不満があるとすれば、著者が分かりやすくしようとソマリアの各氏族を日本の歴史上の平氏や源氏、戦国大名になぞらえて紹介しているのですが、これが見事に上滑りしているというか、かえってわかりにくくしているような気がします。
とはいえ、彼ら独自の戦いの論理など、日本人には新鮮な常識・倫理は一読の価値があります。文章も読みやすく、分厚い本ですが、思ったよりも早く読み終えることができました。
映画「ブラックホーク・ダウン」でも有名な内戦の続くソマリア。その東北部であるソマ...
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