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レビュー一覧 (5件)
語源大好きさんの投稿レビュー/網走市立図書館
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図書
(1人)
1. 感染列島
映画ノベライズ版 小学館文庫 わ9-1 平野 隆‖原作 下田 淳行‖原作 瀬々 敬久‖映画脚本 映画「感染列島」製作委員会‖監修 涌井 学‖著
小学館 2008.12
語源大好き さんの評価:
2009年に公開された邦画のノベライズです。
なお、映画は未見です。
実写映画のノベライズは凡作が多いため、パスしようかと思いましたが、新型肺炎がパニックになりつつあるので、読んでみました。
本書は、いわゆる“ウイルス・パニック物”で、ストーリーに新味はありません。
勘のいい人なら、半分も読めば誰が死ぬか見当がつくと思います。
ですが、この小説の凄いところは、先が読めても存分に泣けることです。
いわば“涙腺崩壊保証ノベライズ”とでも呼ぶべき長編で、終盤は涙が止まらなくなります。
涙もろい読者だと、堤防が決壊したように涙にむせぶことでしょう。
もし読後に外出した場合、真っ赤に泣きはらした目を見て新型肺炎と勘違いされて隔離されるかもしれないので、よく辺りをうかがってから外に出ましょう。
アマゾンのレビューは3つしかありませんが、もっと評価されてもいい小説だと思います。
素直に泣きたいあなたにお勧めします。
2009年に公開された邦画のノベライズです。 なお、映画は未見です。 実写映画...
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(12人)
2. メインテーマは殺人
創元推理文庫 Mホ15-3 アンソニー ホロヴィッツ‖著 山田 蘭‖訳
東京創元社 2019.9
語源大好き さんの評価:
昨年、『カササギ殺人事件』で7冠を制覇したアンソニー・ホロヴィッツの新作長編です。
本書『メインテーマは殺人』は、『このミステリーがすごい! 2020年版』の国外編で1位になりました。
『このミステリーがすごい!』で2年連続首位というのも見事ですが、中身も偉業にふさわしい傑作に仕上がっています。
『カササギ殺人事件』には、日本語に翻訳する際、重要な伏線がわかりにくくなるという大きな欠点がありました。
ですが、本書はほぼ完璧に翻訳されているため、読者はストーリーに集中して謎解きに徹することができます。
本書で探偵役を務めるホーソーンという人物は、シャーロック・ホームズみたいな特異な推理力をもつ奇人です。
そのため、犯人当ては普通の読者には無理かと思いましたが、ちゃんとホーソーンが随所で謎を解く手がかりを示してくれます。
残念ながら、鈍感な私は最後まで犯人が誰なのかわかりませんでした。
再読して気づきましたが、作者は最初の殺人で犯人を特定可能な手がかりをフェアに示しています。
被害者が殺される順番まで伏線になっているほどで、ため息が出ました。
私が作者だったら、「読者への挑戦状」を見開きで入れるでしょう。
また、殺人の動機や犯人の設定にも無理がなく、誰が読んでも納得できると思います。
有名な映画監督や俳優なども実名で登場するので、映画に興味がある人なら、より楽しめます。
思えば、アンソニー・ホロヴィッツも化けたものですね。
デビュー当時は、児童書を書いていました。
ダイヤモンド兄弟シリーズを原書で読んだことがありますが、安っぽいストーリーのB級ギャグ作家で終わるだろうと予想していました。
日本語版は出ないだろうと思っていましたが、2008年に『ダイヤモンドブラザーズ』という邦題で翻訳されました。
興味のある人は読んでみてください。
爆笑できます!
昨年、『カササギ殺人事件』で7冠を制覇したアンソニー・ホロヴィッツの新作長編で...
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(9人)
3. 賞金稼ぎスリーサム!
川瀬 七緒‖著
小学館 2019.11
語源大好き さんの評価:
本書は、「法医昆虫学捜査官」シリーズで人気作家の仲間入りを果たした川瀬七緒さんの最新長編です。
お金目当てに手を組んだ男女3人が放火事件の真犯人を追う、という地味なストーリーですが、読んでビックリしました。
東京都内が舞台なのに、何と3人組のひとりが西興部村出身という設定なんです。
北海道に住んでいても知らない人がいる小さな村を、作者の川瀬さんがなぜ選んだのか不思議です。
最後まで読んでも、理由は書かれていませんでした。
ですが、シリーズ化を前提に書いた作品らしいので、2作目以降で作者の狙いが明かされるのかもしれません。
ひょっとすると、続編はオホーツク海側を舞台にして、西興部村の村長さんが泣いて喜びそうな展開になるんでしょうか?
クライマックスで西興部の断崖絶壁に追い詰められた犯人の脳裏に、西興部村の観光名所が走馬灯のように浮かびます。そして、犯人の口からは犯罪とは何の関係もない郷土料理の数々が説明されるのです。
それを聞いた3人組の口からは大量のヨダレが流れ出し、読者の食欲をこれでもかとそそります。
続編がベストセラーとなったあかつきには、西興部村を訪れる観光客の数が激増し、ひいては北海道全体の活性化につながる可能性も……
なお、読了後に気づいたことがあります。
表紙のイラストをよく見ると、犯人の動機を解明する重要な手がかりが描かれています。
本書は、「法医昆虫学捜査官」シリーズで人気作家の仲間入りを果たした川瀬七緒さん...
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(6人)
4. ざんねんな偉人伝
それでも愛すべき人々 新しい伝記シリーズ 真山 知幸‖著
学研プラス 2017.8
語源大好き さんの評価:
本書は、歴史上の愛すべき人々の残念なエピソードを、これでもかとかき集めた脳天気な偉人伝です。
図書館ではなぜか「児童書」に分類されていますが、大人が読んだ方がずっと楽しめる構成になっています。
妻にいじめられたら、「子供が読みたいと言っているので」とごまかして借りて、こっそり読みましょう。明日への希望がわきます。
個人的に一番気に入った偉人は、170ページのソクラテスです。
ソクラテスの妻であるクサンティッペは悪妻として有名ですが、二人のやりとりはとんでもなく突き抜けています。
ある日、クサンティッペの罵声を浴びたソクラテスは、涙をこらえてこう言いました。
「雷の後には、○○○○○○ものだ」
この崇高なギャグを目にして、私は死ぬほど笑いました。
また、次のセリフも傑作です。
「もし良い妻を得たならば、あなたは幸せになるだろう。
もし悪い妻を得たならば、あなたは○○○になるだろう」
誰が読んでも感動的なエピソードです。
結婚式のスピーチに使いましょう!
もしソクラテスが今の時代に生まれていたら、間違いなく漫才師として成功したと思います。
悪妻クサンティッペのツッコミとボケ役のソクラテスの組み合わせは、ツービート顔負けの偉業を成し遂げたに違いありません。
ソクラテスの死が本当に惜しまれます。
最後に読了後の感想を書いて、レビューを終わりたいと思います。
つまづいたっていいじゃないか
にんげんだもの
みつを
本書は、歴史上の愛すべき人々の残念なエピソードを、これでもかとかき集めた脳天気...
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(1人)
5. 座席ナンバー7Aの恐怖
セバスチャン フィツェック‖著 酒寄 進一‖訳
文藝春秋 2019.3
語源大好き さんの評価:
私はセバスチャン・フィツェックのファンで、これまでに翻訳されたものは全部読破しました。
去年借りた『乗客ナンバー23の消失』は、個人的にイマイチだったので、本書『座席ナンバー7Aの恐怖』もあまり期待せずに読み始めました。
主人公の精神科医は病的な飛行機恐怖症で奇怪な行動をとり、また、誘拐犯の動機も唖然とするほど現実離れしていて絶句しました。ストーリーも破綻しているとしか思えないため、途中で何度もやめようとしましたが、著者お得意の「仕掛け」に期待して最後まで読みました。
すると、フィツェックの翻訳長編では初めてと思われる感動のラストが待っていて、思わず泣いてしまいました。
文字通りの傑作です。
年末のミステリーベストテンでは、海外部門の上位に入るのは確実でしょう。
読んで良かったと思います。
私はセバスチャン・フィツェックのファンで、これまでに翻訳されたものは全部読破し...
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