しゅうちゃんさんのブックリスト / 甲斐市立図書館

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871. 武田百合子対談集
武田 百合子‖著
中央公論新社 2019.11
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872. 武田百合子全作品 3
富士日記 下 武田 百合子‖著
中央公論社 1994.12
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873. 武田百合子全作品 2
富士日記 中 武田 百合子‖著
中央公論社 1994.11
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874. 武田百合子全作品 1
富士日記 上 武田 百合子‖著
中央公論社 1994.10
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夫の泰淳にすすめられて始めたという日記。食べ物・買い物を、値段も含めて細かく記録、三食の食事の献立が非凡なレベルで記述されている。献立を読むと、百合子の献身的な料理ぶりとともに、武田夫婦の健啖家ぶりに感心させられる。「朝からこんなもの食べる?」といった食事の記録が随所に見られる。泰淳の執筆・講演・対談・選考会等の対応状況も、雑誌社・新聞社等とのやりとり含め書かれている。今とは違って通信手段が限られていて、電報を打った入り、原稿を電車の便に乗せたりといった秘書的役割を百合子が果たしていたことや、泰淳が病をえて後は、百合子が口述筆記をしていた様子もわかる。運転はもっぱら百合子の役割で、東京・赤坂からの度重なる早朝の移動、富士五湖周辺の散策、雪道での運転等、時代から考えると極めて行動的。山荘の隣人であった大岡昇平夫妻や、土地の人々とのたのしげな交流等も書かれている。
行方不明騒ぎや、愛犬の死、車両事故等のエピソードに、百合子の無垢で自然に生きる姿が、飾らない日記だから、より鮮明に浮かび上がる。泰淳や大岡昇平も、歴史に残る大作家ではなく、ばかなこともする、愛すべき等身大の人間として描かれている。約13年間の日記も、特に心に響いたのは、ともに生きてきた泰淳が病をえて、衰えていく日々の記述。泰淳の死を意識せざるをえない百合子の不安が、読むものにもひしひしと伝わってくる。
日記にも登場する娘の武田花さんは、若干上だがほぼ同世代。私にとっては、泰淳夫妻は父・母の世代となる。泰淳が亡くなったのは64歳、百合子が亡くなったのは67歳。ともに若くして亡くなっている。時がたち、自らがそういう年齢に差し掛かってきた。新型コロナウィルスで高齢者が次々亡くなっていく報を聞きつつ、不安がしのびよる近い未来を見つめる…。
富士が毎日見られる甲斐に住む人々におすすめ。

夫の泰淳にすすめられて始めたという日記。食べ物・買い物を、値段も含めて細かく記録...
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