一か月以上入院している瑛介は退屈な毎日のなか
同室に同じ年の少年壮太が「チビだけどおれ９歳宜しく。」現れる。
入院生活はたちまち、わくわくの連続となる。
少年たちの会話の汚れ亡き瑞々しさに、生き生きとした様子が浮かんでくる。

その他に「魅惑の極悪人」「花曇りの向こう」２編の短編。

　いつもぶっ飛んでいる人間関係を描写している著者の印象ですが、違和感の少ない内容で逆に良い作品と感じました。

心温まる短編3話。1話目は小学3年生の男の子が主人公。長期入院中に3日間だけ検査入院してきた同学年の男の子。ふたりの友情物語。３話目は光村図書の中学国語に掲載されている。

外気温と関係のない空調の効いた病棟での入院中の小学生の男の子同士のやりとり。
内気で人付き合いの苦手さを空想で補い、文章にして発表したことから大学で居場所を見つけた女の子とそこそこイケメンで軽薄そうな男の子のちょっとちぐはぐなやりとり。
転校で友達を作るきっかけをなかなか見つけられない中学生の男の子ととなりの席の男の子のやりとり。
それぞれの年代で心に抱えていて人には言わないけど、何か居心地の悪い思いを文章にするとこうなるんだ…と思いながら読みました。
ちょっと重い自分の気持ちにうんざりしている中、ほっとできる本でした。