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甲斐市立図書館

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百年と一日
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竜王図書館 <1012401632>
貸出可 / 1F棚16/913.6サ-タ / / /913.6/シ/  / 帯出可
詳細情報
ISBN 4-480-81556-9
13桁ISBN 978-4-480-81556-9
書名ヨミ ヒャクネン ト イチニチ
著者ヨミ シバサキ トモカ
分類記号 913.6
価格 ¥1400
出版者ヨミ チクマ ショボウ
大きさ 20cm
ページ数 185p
内容 内容:一年一組一番と二組一番は、長雨の夏に渡り廊下のそばの植え込みできのこを発見し、卒業して二年後に再会したあと、十年経って、二十年経って、まだ会えていない話 角のたばこ屋は藤に覆われていて毎年見事な花が咲いたが、よく見るとそれは二本の藤が絡まり合っていて、一つはある日家の前に置かれていたということを、今は誰も知らない 逃げて入り江にたどり着いた男は少年と老人に助けられ、戦争が終わってからもその集落に住み続けたが、ほとんど少年としか話さなかった 娘の話 1 駅のコンコースに噴水があったころ、男は一日中そこにいて、パーカと呼ばれていて、知らない女にいきなり怒られた 大根の穫れない町で暮らす大根が好きなわたしは大根の栽培を試み、近所の人たちに大根料理をふるまうようになって、大根の物語を考えた たまたま降りた駅で引っ越し先を決め、商店街の酒屋で働き、配達先の女と知り合い、女がいなくなって引っ越し、別の町に住み着いた男の話 小さな駅の近くの小さな家の前で、学校をさぼった中学生が三人、駅のほうを眺めていて、十年が経った ファミリーツリー 1 ラーメン屋「未来軒」は、長い間そこにあって、その間に周囲の店がなくなったり、マンションが建ったりして、人が去り、人がやってきた 戦争が始まった報せをラジオで知った女のところに、親戚の女と子どもが避難してきていっしょに暮らし、戦争が終わって街へ帰っていき、内戦が始まった 埠頭からいくつも行き交っていた大型フェリーはすべて廃止になり、ターミナルは放置されて長い時間が経ったが、一人の裕福な投資家がリゾートホテルを建て、たくさんの人たちが宇宙へ行く新型航空機を眺めた 銭湯を営む家の男たちは皆「正」という漢字が名前につけられていてそれを誰がいつ決めたのか誰も知らなかった 娘の話 2 二人は毎月名画座に通い、映画館に行く前には必ず近くのラーメン屋でラーメンと餃子とチャーハンを食べ、あるとき映画の中に一人とそっくりな人物が映っているのを観た 二階の窓から土手が眺められた川は台風の影響で増水して決壊しそうになったが、その家ができたころにはあたりには田畑しかなく、もっと昔には人間も来なかった 「セカンドハンド」というストレートな名前の中古品店で、アビーは日本語の漫画と小説を見つけ、日本語が読める同級生に見せたら小説の最後のページにあるメモ書きはラブレターだと言われた アパート一階の住人は暮らし始めて二年経って毎日同じ時間に路地を通る猫に気がつき、行く先を追ってみると、猫が入っていった空き家は、住人が引っ越して来た頃にはまだ空き家ではなかった ファミリーツリー 2 水島は交通事故に遭い、しばらく入院していたが後遺症もなく、事故の記憶も薄れかけてきた七年後に出張先の東京で、事故を起こした車を運転していた横田を見かけた 商店街のメニュー図解を並べた古びた喫茶店は、店主が学生時代に通ったジャズ喫茶を理想として開店し、三十年近く営業して閉店した 兄弟は仲がいいと言われて育ち、兄は勉強をするために街を出て、弟はギターを弾き始めて有名になり、兄は居酒屋のテレビで弟を見た 屋上にある部屋を探して住んだ山本は、また別の屋上やバルコニーの広い部屋に移り住み、
内容 また別の部屋に移り、女がいたこともあったし、隣人と話したこともあった 娘の話 3 国際空港には出発を待つ女学生たちがいて、子供を連れた夫婦がいて、父親に見送られる娘がいて、国際空港になる前にもそこから飛行機で飛び立った男がいた ほか8編
抄録 地下街にはたいてい噴水が数多くあり、その地下の噴水広場は待ち合わせ場所で、何十年前も、数年後も、誰かが誰かを待っていた-。人生と時間を描く新感覚物語集。『ちくま』連載に書き下ろしを加え書籍化。
著者紹介 1973年大阪生まれ。「その街の今は」で藝術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、「寝ても覚めても」で野間文芸新人賞、「春の庭」で芥川賞を受賞。
1人中 1人が好評価
納得できないが理解できないわけじゃない
(2020/08/26)
wata8216/甲府市立図書館
作り話のようでもあり、誰かの身の上話のようでもあり、そのどちらでもあってなおかつどちらでもないなにかのようでもある。さらに数の力にも圧倒される。一つひとつの話を丁寧に描いて欲しいと思うのはぼくが古いタイプだからなのだろうか。この、短く、端的にまとめられ、一息で読み終えることができる物語群は、ぼくには「インスタント」的である。お湯をかけて3分待てば、1編の長編小説が現れるかのようであるが、それはぼくの希望であって、現実にはぼくのなかで出来損ないの後日談が生まれては消えするだけだ。もやもやする! この物足りなさをして、「足るを知れ」と言われているようでもある。なんだこの感じは。他のことで例えるなら、この感覚は音楽に近い。3分半という時間を一区切りに、音符を、言葉を積み重ねていくのが音楽だ。CDならだいたい12曲、ライブなら20曲程度。そして本作には33編が収められている。そういうことなのか。いや、どういうことなのだ? ぼくは、音楽を聴くことはできるようだが、本を聴くにはぼくの中に余剰がないようだ。

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