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高村光太郎全集 第3巻
増補版
筑摩書房 1994.12
高村 光太郎
∥著
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竜王図書館 <2810129474>
貸出可 / 1F北壁/個人全集 / / /918/タ/3 / 帯出可
詳細情報
ISBN
4-480-70223-7
書名ヨミ
タカムラ コウタロウ ゼンシュウ
著者ヨミ
タカムラ コウタロウ
分類記号
918.68
価格
¥5631
出版者ヨミ
チクマ ショボウ
大きさ
20cm
ページ数
472p
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光太郎と甲州南巨摩と戦争(上)
(2019/02/14)
ゲンゴロウ/甲斐市立図書館
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昭和十七年「山道のをばさん」で、光太郎は甲州の山峡にはいった。
『甲州南巨摩郡の山の上
上高下といふ小部落の
通称山道のをばさんを私は訪ねた。
(中略)
あけっ放しなをばさんはいそいそと
死んだむすこの遺品をひろげて
手帳やナイフやビールの栓抜きを
余念なくいじってゐる。(後略)』
ゲンゴロウは五十年前「母」と冠した光太郎の詩に出逢った。出版元へ書信を送ったら、全集編集の北川太一氏からお手紙をいただいた。その後何回か『高村光太郎研究会報』を送っていただいた。青春期にこんなことがあると、光太郎の詩が「忘れてはいけない忘れ物」に、いつのまにかなってしまった。
十二月八日の光太郎
『歴史的な時間は分秒に音なく
午前十一時四十五分
ラジオは宣戦布告を報じた』(大詔渙発)
『強豪米英一族の力
われらの国に於いて否定さる
われらの否定は義による。
東亜を東亜にかえせといふのみ
彼等の搾取に隣邦ことごとく痩せたり』(十二月八日)
これらは依頼された「国民を煽動鼓舞するための詩作」だ。光太郎の心中には、穏やかならざる波がたっていた。
昭和二十二年作『暗愚小伝』に「真珠湾の日」を載せている。
『つひに太平洋で戦ふのだ。
詔勅をきいて身ぶるひした。
(中略)
天皇あやふし
ただこの一語が
私の一切を決定した。
(中略)
陛下が、陛下がと
あへぐ意識は眩いた。
身をすてるほか今はない。
陛下をまもろう
詩をすてて詩を書こう。』
国民を煽動せんがための依頼された詩は、光太郎にとって「詩をすてて書いた」詩だった。(全集第二十巻へ)
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貸出可 / 1F北壁/個人全集 / / /918/タ/3 / 帯出可
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ゲンゴロウ/甲斐市立図書館
『甲州南巨摩郡の山の上
上高下といふ小部落の
通称山道のをばさんを私は訪ねた。
(中略)
あけっ放しなをばさんはいそいそと
死んだむすこの遺品をひろげて
手帳やナイフやビールの栓抜きを
余念なくいじってゐる。(後略)』
ゲンゴロウは五十年前「母」と冠した光太郎の詩に出逢った。出版元へ書信を送ったら、全集編集の北川太一氏からお手紙をいただいた。その後何回か『高村光太郎研究会報』を送っていただいた。青春期にこんなことがあると、光太郎の詩が「忘れてはいけない忘れ物」に、いつのまにかなってしまった。
十二月八日の光太郎
『歴史的な時間は分秒に音なく
午前十一時四十五分
ラジオは宣戦布告を報じた』(大詔渙発)
『強豪米英一族の力
われらの国に於いて否定さる
われらの否定は義による。
東亜を東亜にかえせといふのみ
彼等の搾取に隣邦ことごとく痩せたり』(十二月八日)
これらは依頼された「国民を煽動鼓舞するための詩作」だ。光太郎の心中には、穏やかならざる波がたっていた。
昭和二十二年作『暗愚小伝』に「真珠湾の日」を載せている。
『つひに太平洋で戦ふのだ。
詔勅をきいて身ぶるひした。
(中略)
天皇あやふし
ただこの一語が
私の一切を決定した。
(中略)
陛下が、陛下がと
あへぐ意識は眩いた。
身をすてるほか今はない。
陛下をまもろう
詩をすてて詩を書こう。』
国民を煽動せんがための依頼された詩は、光太郎にとって「詩をすてて書いた」詩だった。(全集第二十巻へ)