トップ

甲斐市立図書館

ログイン

検索結果詳細
前へ 次へ
残照
蔵書数: 1冊 貸出数: 0冊
貸出可能数: 1冊 予約件数: 0件
予約かごに入れる ブックリストに登録する
資料の状況
竜王図書館 <1012493969>
貸出可 / 1F棚16/913.6サ-タ / / /913.6/タ/  / 帯出可
詳細情報
ISBN 4-396-63636-4
13桁ISBN 978-4-396-63636-4
書名ヨミ ザンショウ
著者ヨミ タナカ ヨシキ
分類記号 913.6
価格 ¥1700
出版者ヨミ ショウデンシャ
大きさ 20cm
ページ数 288p
個人件名 郭 侃
一般件名 郭侃 小説
抄録 700以上の城を陥し、“神人”と畏怖された不敗の男、郭侃。モンゴル軍を率いた漢人武将は、「海に沈む夕日を見たい」という、たった1つの夢を叶えるために地の涯を目指す。
著者紹介 熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。「緑の草原に…」で幻影城新人賞を受賞しデビュー。「銀河英雄伝説」で星雲賞(日本長編部門)、「ラインの虜囚」でうつのみやこども賞を受賞。
1人中 1人が好評価
地中海に到達した中国人武将のお話
(2023/02/21)
子門/筑前町図書館
ここ数年、田中芳樹さんの著作の刊行ぶりを拝見していると、たまっていた宿
題を片付けている、とそんな印象をうける。
本書もその一冊に入るかもしれない。

「中国武将列伝」(上・下中央公論社 1996年)その冒頭、「私選中国歴
代名将百人」の一人に選出されたのが、本書の主人公、郭侃。
1252年、モンゴル帝国、フラグ汗の西方大遠征に従軍し、常勝将軍ぶりを
発揮。「神人」と称されたという。
 「正史」ではそんなに詳しく書かれてはいない。異伝もあったりする。
 地中海の涯に沈む夕日をみたさ、という酔狂な動機付けは、むろん田中芳樹
さん一流の脚色だろう。投石機や火箭、そして回回砲などの兵器をあつかう漢
人部隊の指揮官としての郭侃は近いものがあっただろうけども、気候とか地形
をもみわけるナチュラリストとしての才能は、さてどうだろう?
しかしだからといって、失望したり、落胆するのは違うと思う。
作家・鈴木輝一郎の言に次のようなものがある。

歴史小説は歴史「小説」であって、「歴史」小説ではない。
(中略)正確な歴史を再現することではなく、気楽にたのし
んでいただくものだ。けっこう間違えられる
       (「光秀の選択」毎日新聞出版 附記 より)

 田中芳樹氏本人も、ベツのところで、いかに魅力的なウソをつくのか、それ
が作家としての腕の見せどころ・・・そんな意味のことを書いておられる。
読者としては、ソレをわきまえて楽しめば良いとおもうのだ。

付記1
本書で語られているような漢人による回回砲の部隊が存在したのは歴史的事実
である。豊田有恒さんの「モンゴルの残光」でも登場している。
付記2
本作品中、ぼくが気になったのは、モンゴル軍の残虐行為について、非難して
いるような箇所が二カ所ほどあったこと。現代人の感覚からするなら当然の批
判なのだろう。だけども、現代人の規範である近代ヒューマニズムでもって過
去の歴史を断罪するのは果たして妥当な行為なのだろうか?
僭越とは思うが、指摘しておきたい。


ブックリストに登録する

読みたい 今読んでる 読み終わった

資料を評価する

0~5までの値で評価を登録できます。
(増減量0.5)
変更後、[決定]ボタンを押してください。