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JAGAE
  • 織田信長伝奇行
  • 祥伝社 2021.6
  • 夢枕 獏∥著
  • (8人)
蔵書数: 1冊 貸出数: 0冊
貸出可能数: 1冊 予約件数: 0件
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資料の状況
竜王図書館 <1012436190>
貸出可 / 1F棚19/913.6モロ914.6カ / / /913.6/ユ/  / 帯出可
詳細情報
ISBN 4-396-63610-4
13桁ISBN 978-4-396-63610-4
書名ヨミ ジャガエ
書名原綴 JAGAE
副書名ヨミ オダ ノブナガ デンキコウ
著者ヨミ ユメマクラ バク
分類記号 913.6
価格 ¥2000
出版者ヨミ ショウデンシャ
大きさ 20cm
ページ数 516p
抄録 UMA(未確認動物)の探索者であり、合理主義者だった信長。河童、妖刀、大蛇、バテレンと法華、信玄の首…。現代伝奇の旗手が描く、誰も知らなかった戦国覇王の顔。『小説NON』連載を加筆訂正して単行本化。
著者紹介 1951年小田原市生まれ。東海大学卒。「上弦の月を喰べる獅子」で日本SF大賞、「神々の山嶺」で柴田錬三郎賞、「大江戸釣客伝」で吉川英治文学賞受賞。紫綬褒章受章。
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「異形な心」が産みだす物語
(2021/06/28)
子門/筑前町図書館
本書のタイトル、なんとも異様な響きをもっている。
通常の国語辞典等には載ってはいない。
本文にもあるごとく、太田牛一「信長公記」中、「蛇がへの事」がその出典。

「爰に希異のことあり。尾州国中、清洲より五十町東、佐々蔵人佐居城、比良の
城の東、北南へ長き大堤これある内、西にあまが池とて、おそろしき蛇池と申し
伝へたるいけあり(後略)」桑田忠親校注 新人物往来社 1997

とにかく件の蛇池の傍で、近在の住人、某又左衛門がひとかかえもありそうな大
蛇を目撃した。それを聞き付けた信長が家来を伴い彼の地に赴き、動員した村人
たちに命じ、池の水を掻き出させ、七分くらいの水量になった時点でもって、自
ら池に潜り大蛇を探したが見つからなかった。次に水練上手な家来にも潜らせた
のだが、結局大蛇は発見できず、信長は清洲へと帰還した・・・。

およそそんな内容の記事なのだけど、その行間からなにか慄然とするモノが感じ
とれはしないだろうか?
当時の人々にしてみれば、ひとかかえもある大蛇なら、畏敬の対象として、山の
神等の扱いで祭り上げる・・・なら理解できもする。
が、信長はその棲むテリトリーと思われる池を浚って、その目でもって存在を確
かめようとしたわけである。
その心性、心のありようときたら、まさに「異質」「異形」というしかない。
信長という人、「尾張のうつけ」として有名だったそうだけど、根拠としてこう
いうところに原因があったのではないか。
この記事に触発され、夢枕獏氏が異形な心の主である信長の物語を書き上げたの
も理解できる気がする。
で、その異形な信長に、これまた戦国の魔人たる飛び加藤が絡んでくる!
たしかにコレで面白くならないハズはない。
コロナ禍の日々に倦んだ僕の心が癒やされた一冊であった。
お薦めする次第である。

追記
「信長公記」の作者、太田牛一は、この記事の冒頭で「希異のこと」と記して
いる。普通、大蛇のことと解するのが自然であろうけど、ひょっとしたら、信
長の心の持ちよう、あり方の異様さを指摘していた、のかも?
そんな風にも考えてしまった。むろん、家来としては主君である信長のことを
いくらなんでも「希異のこと」などと評するワケにはいかないのは当然。
だからココは大蛇になすりつけたのだけど、案外、同時代の知人たちはこの記
事を読んだとき、その真のイミに気がついたのではないか、そんな気もしたの
だけど、どんなものだろうか?


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