人を信じることが出来るのか、ならばどれだけ信じることが出来るのか、信じて疑わないくらい信じることが出来るのかを考えさせられました。
物語の構成、内容、展開は総じて面白かったですが、正体の結末は違って欲しかったのが正直な感想です。
彼の望む生き方を全うして最期を迎えて欲しかったですし、皆とともに判決を受け喜悦している姿をみてみたかったといったところでしょうか。
物語の各章は成りすました別人でありながらも繋がっており、ふとした会話から前章でこのように感じていたんだ、このような気持ちを抱いていたんだと彼の感情や愛情、優しさを読み取ることが出来ました。
脱獄してから出逢った方々は彼の誠実な人柄を汲み取り、偶然ではなく必然的に力となり一緒に闘ってくれたのだと思います。
どうにも切なく、何度も読み返したくなる余韻の残る作品でした。
機会があれば、映像化された作品を視聴したいと思います。