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無敗の男
  • 中村喜四郎全告白
  • 文藝春秋 2019.12
  • 常井 健一∥著
  • (4人)
蔵書数: 1冊 貸出数: 0冊
貸出可能数: 1冊 予約件数: 0件
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資料の状況
竜王図書館 <1012382246>
貸出可 / 1F棚27/281-289.2 / / /289.1/ナ/  / 帯出可
詳細情報
ISBN 4-16-391118-2
13桁ISBN 978-4-16-391118-2
書名ヨミ ムハイ ノ オトコ
副書名ヨミ ナカムラ キシロウ ゼンコクハク
著者ヨミ トコイ ケンイチ
分類記号 289.1
価格 ¥1900
出版者ヨミ ブンゲイ シュンジュウ
大きさ 19cm
ページ数 332p
個人件名 中村 喜四郎
抄録 ゼネコン汚職で逮捕されるが完全黙秘を貫き、検事をして「男の中の男」と言わしめた伝説の男・中村喜四郎。ムショ帰り後も当選を続け、今も現役の「選挙の鬼」が、25年の沈黙を破ってすべてを告白する。
著者紹介 1979年茨城県生まれ。朝日新聞出版等を経て、オーストラリア国立大学に留学。帰国後、フリー。文藝春秋の記事により、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞を受賞。著書に「保守の肖像」など。
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大臣にまでなった人間がここまでやる!
(2020/09/28)
しゅうちゃん/甲斐市立図書館
 中村喜四郎は、社会の受けとめは既に過去の政治家となっていた。40歳にして戦後生まれ初の閣僚となり、42歳で建設大臣となり、田中角栄になぞられる形でいずれは総理と評され、政治の表舞台を闊歩していた。ただ、それがゆえ、今から四半世紀前の1994年ゼネコン汚職疑惑に絡んであっせん収賄容疑で逮捕され、約10年の裁判の結果、懲役1年6ケ月の有罪となり、投獄され、国会議員の職も失った。
 ただ、政治家中村喜四郎は死ななかった。裁判中も刑事被告人の身で選挙に出て当選を続けるとともに、投獄され国会議員の職を失った後の逆風の選挙でも当選。負知らずの14回連続当選。彼が選挙で無敗なのは、その選挙活動にあった。選挙活動というと、資金集めでパーティをしたり、企業や団体の組織的支援をえたり、SNSやブログで発信したり、冠婚葬祭の儀式や地域の催しをくまなく回ったりが想定されるが、中村喜四郎はこれらを一切しない。彼が行っているのは、地道な戸別訪問・地域回りと、活動報告。ただ、そのレベルは他の政治家が到底まねができないほど非凡。地域回りは毎週土曜日と日曜日の2日間、朝7時半から夕方6時まで10時間駆け巡り、選挙区の全市町村を2週間で回りきる。テープレコーダーは一切使わず、すべて肉声で政治的主張を発信。これを初当選から40年以上休まず続けている。選挙期間中も、自らオートバイに乗り、12日間で150ケ所以上を演説行脚。もう一つは、国政報告会。月に1~2回、50人から100人規模で国会見学ツアーを実施、政策について時間をとって演説した後、カラオケ大会などで盛り上げる。余興の司会も自分でやり、合間に有権者の声を丁寧に聞いて終わる。終了後は、電車で議員宿舎に帰る。「大臣までになった人間がここまでやる」。中村喜四郎は、自分を律する力が並みではない。自ら決めたルーティンは必ずやりきる。それは、まさに「百人回峰行」にも匹敵する。
 疾風に勁草を知る。苦難にあってはじめて、その人の節操の堅さや意志の強さが分かる。中村喜四郎は、天国も地獄も見てきたその政治家の経歴を生かし、今、野党共闘の舞台を準備。政治家として最後の務めを果たそうとしている。最近中村喜四郎が出ているTVを見たが、政治の状況・社会の状況を、メモを一切見ることなく、数字、年月日を正確に、とうとうと話をす姿に感心させられた。その志は、強いものがあり、空きそうもない扉をこじあけようとする気迫を感じる。政治家とは何か、政治活動とは何かについて、あらためて考えさせられる書。

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