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死の島
文藝春秋 2018.3
小池 真理子
∥著
(9人)
蔵書数: 1冊
貸出数: 0冊
貸出可能数: 1冊
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竜王図書館 <1012311062>
貸出可 / 1F棚15/913.6オオーコ / / /913.6/コ/ / 帯出可
詳細情報
ISBN
4-16-390805-2
13桁ISBN
978-4-16-390805-2
書名ヨミ
シ ノ シマ
著者ヨミ
コイケ マリコ
分類記号
913.6
価格
¥1700
出版者ヨミ
ブンゲイ シュンジュウ
大きさ
20cm
ページ数
409p
抄録
定年後、小説講座で教えながら独り暮らす、澤登志夫。プライド高く生きてきた男が不治の病に侵され、余命を知った時、死をどう迎えるか-。現代をゆさぶる傑作長編。『オール讀物』掲載を単行本化。
著者紹介
1952年東京生まれ。成蹊大学文学部卒業。「恋」で直木賞、「無花果の森」で芸術選奨文部科学大臣賞、「沈黙のひと」で吉川英治文学賞を受賞。
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静かな本
(2018/09/06)
あめんぼう/東温市立図書館
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読んでいる最中、読み終わってからも静かな気持ちになれる本だった。
小池真理子さんの本は「恋」以来、好きになれないものが多く、今回も期待してなかったけど、その思いが裏切られた。
またひとつ別の段階にいったのか、この作品がたまたまなのか、とにかくこの本は良かった。
主人公は末期がんを患い、余命わずかな年老いた男性。
彼は小説講座の講師をしていたが、その職を辞す際に、若い受講者の女性から声をかけられる。
彼女は、辛口な批評をする事で有名な主人公が、最もその講座で才能を認めていた女性だった。
彼女の書いた作品は実体験を元にしたもので、実の祖父と母親が男女の関係になり、主人公が祖父を殺害するというものだった。
それ以後、歳の離れた二人の交流が始まった。
そんな折、昔の恋人が亡くなり、遺書に彼にあてて1枚の絵を残していた事を彼は知る。
その絵のタイトルは「死の島」。
読んでいて対比する二つのものを感じた。
若さと老い。
男と女。
その対比するものを描く事で、どちらも、そのものが強く感じられる。
私はこの主な登場人物の男女、どちらにも共通点がないけど、二人の思いが理解できるし共感できた。
さらに、この話はとにかく平坦で、刺激的な事がないのに退屈する事がなく、却ってそれが良かった、と思えた。
もし、これが二人の男女の関係を描いたものだったら、その時点で読む気が失せていたと思う。
何もないように思えるものをちゃんと読ませるし、分からないものを共感させられる、それが本当の小説だし、作家の力量なんだなと改めて感じた。
以前、母親に「もう歳をとって達観した人が自殺する事はないんじゃない」と言うと、「病気で自殺するとかあるわ」とすぐに答えて、それを聞いて「なるほど」と思った。
この男性の考え方やした事を肯定も否定もしないけど、その時の「なるほど」がこの本には満ち溢れていた。
死は誰にでも訪れるけど、自殺しない限りはそれは本人の思うようにならない。
そんな事すらも自分の思うようにしようというのはある意味傲慢だけど、その傲慢さを感じさせない、何か荘厳なもの、ただただ静かなものがこの本には漂っている。
タイトルになっている「死の島」は不気味な絵ではあるけど、私は何となく見ていてやすらいだ。
ここに行ってみたいと素直に思った。
そんな思いがそのまんまこの作品に通じていて、救いのないストーリーのはずなのに、心が救われるような気持ちになった。
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あめんぼう/東温市立図書館
小池真理子さんの本は「恋」以来、好きになれないものが多く、今回も期待してなかったけど、その思いが裏切られた。
またひとつ別の段階にいったのか、この作品がたまたまなのか、とにかくこの本は良かった。
主人公は末期がんを患い、余命わずかな年老いた男性。
彼は小説講座の講師をしていたが、その職を辞す際に、若い受講者の女性から声をかけられる。
彼女は、辛口な批評をする事で有名な主人公が、最もその講座で才能を認めていた女性だった。
彼女の書いた作品は実体験を元にしたもので、実の祖父と母親が男女の関係になり、主人公が祖父を殺害するというものだった。
それ以後、歳の離れた二人の交流が始まった。
そんな折、昔の恋人が亡くなり、遺書に彼にあてて1枚の絵を残していた事を彼は知る。
その絵のタイトルは「死の島」。
読んでいて対比する二つのものを感じた。
若さと老い。
男と女。
その対比するものを描く事で、どちらも、そのものが強く感じられる。
私はこの主な登場人物の男女、どちらにも共通点がないけど、二人の思いが理解できるし共感できた。
さらに、この話はとにかく平坦で、刺激的な事がないのに退屈する事がなく、却ってそれが良かった、と思えた。
もし、これが二人の男女の関係を描いたものだったら、その時点で読む気が失せていたと思う。
何もないように思えるものをちゃんと読ませるし、分からないものを共感させられる、それが本当の小説だし、作家の力量なんだなと改めて感じた。
以前、母親に「もう歳をとって達観した人が自殺する事はないんじゃない」と言うと、「病気で自殺するとかあるわ」とすぐに答えて、それを聞いて「なるほど」と思った。
この男性の考え方やした事を肯定も否定もしないけど、その時の「なるほど」がこの本には満ち溢れていた。
死は誰にでも訪れるけど、自殺しない限りはそれは本人の思うようにならない。
そんな事すらも自分の思うようにしようというのはある意味傲慢だけど、その傲慢さを感じさせない、何か荘厳なもの、ただただ静かなものがこの本には漂っている。
タイトルになっている「死の島」は不気味な絵ではあるけど、私は何となく見ていてやすらいだ。
ここに行ってみたいと素直に思った。
そんな思いがそのまんまこの作品に通じていて、救いのないストーリーのはずなのに、心が救われるような気持ちになった。