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ワクチン副作用の恐怖
文藝春秋 2017.11
近藤 誠
∥著
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敷島図書館 <411016843>
貸出可 / 一般490-499 / / /493.8/コ/ / 帯出可
詳細情報
ISBN
4-16-390754-3
13桁ISBN
978-4-16-390754-3
書名ヨミ
ワクチン フクサヨウ ノ キョウフ
著者ヨミ
コンドウ マコト
分類記号
493.82
価格
¥1200
出版者ヨミ
ブンゲイ シュンジュウ
大きさ
19cm
ページ数
223p
一般件名
ワクチン
一般件名
予防接種
一般件名
医薬品 副作用
抄録
毎年ワクチンのために、おどろくほど多くの乳児と高齢者が突然死し、ほかにも深刻な副作用を引き起こしている。ワクチン接種の適切な自己決定ができるよう、各ワクチンの有効性、必要性、副作用について解説する。
著者紹介
1948年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。近藤誠がん研究所所長。菊池寛賞受賞。著書に「患者よ、がんと闘うな」「健康診断は受けてはいけない」など。
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(2018/03/21)
中務光人/池田市立図書館
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書かれていることの信憑性をみる目的で読んでみた。「なるほど」と思う部分もあるが、まちがいや科学的でない部分が多くみられた。特に重要な点を挙げてみる。
(1) "因果関係" について。
ワクチン接種後、有害なことがおこっても、その因果関係の判断はとても難しい。「心房細動のある94歳女性が肺炎球菌ワクチン接種後 35分で急変 50分後に死亡」 これを著者は、「ワクチンとの因果関係あり」 と断定しているが、これはおかしい。このような例は、とりあえず「疑い」としておき、データを集積しながら、将来「らしい」か「らしくない」か判断していくしかない。
(2) 感染症の致死性・重篤性について。
現在の衛生状態・医療体制では、「麻疹や百日咳では死亡しない」と言っているが、例えば麻疹では、今はかなり制御されているから、死亡例がほとんどないが、皆が感染するようになると、基礎疾患(免疫低下や心疾患など)を持っている人(児)では、死亡に直結する疾患である。
白血病治療中など免疫不全の状態では、麻疹はもちろん、水痘のような一般には軽い病気でも命取りとなる。
著者は、感染症に弱い人達(こども達) のことは、全編を通じて全く考慮していない。
(3) 予防目的なら副作用を容認できないか ?
著者は「予防目的のワクチンでは何もないのが当然、重い副作用がでたら大変」としている。私自身の考え方は、「予防接種によって10人が死亡しても、それによって100人が死なずに済むのだったらその方がよいのではないか」。これについは様々な考えがあり、「何が正しくて何が正しくない」ということは言えないが、著者のような一方の極端な考え方に従えば、多くのワクチンはやめた方がよいのだろう。私は 30年近く前、「数年前に接種した麻疹ワクチンが原因で SSPE という脳炎にかかり、寝たきりで周りのことがわからない状態になった子」 の主治医となったが、その後、自分の子の麻疹ワクチン接種はためらわなかった。麻疹ワクチンがまだ接種されなかった頃の麻疹のきつい事、時には死亡することを自分の目で見てきたからである。
(4) 日本全体での「ワクチンの副作用 と 原疾患での被害 の 天秤」。
著者は、随所で、「ワクチンによる副作用の数・重篤さ」 と 「そのワクチンの対象となる疾患の数・重篤さ」 を天秤にかけているが、「多くの人がワクチンを受けている現状」 で比べるのは科学的でない。
たとえば、40年余り前、百日咳ワクチンを含む三種混合ワクチンの副作用が問題になり、数年間? ほとんど接種されない時期があり、この間、とても多くの人(主に小児)が百日咳に罹り、私の知っている多くの病院で、百日咳で死亡~寸前の児がでていた。ワクチンを中止したことによって再び急増したのである。その後、日本で副作用の少ないワクチンが開発・接種されて現在に至っているのである。
「今がよいから」と言って安心ばかりはしていられないのである。
(5) 公衆衛生的なこと。
種痘は、本書で書かれているように、予防接種によって根絶でき、今の子供たちは接種しなくて済むようになった。それ以外の疾患について、私の知識は十分でないが、次にポリオ、そして麻疹・風疹・水痘などもそれに続いていけば、これらの予防接種も将来必要なくなるかも知れない。そのような疾患の場合、一旦手綱を緩めて大流行を起こさせてしまえば、また振り出し近くにまで戻ってしまう。WHO をはじめ、専門家がワクチンの継続を主張するのは私にはとても合理的に思える。
また、根絶できなくても、多くの人がワクチンを接種していれば、基礎疾患のためワクチンを受けられない子供達も守ることができる。麻疹・水痘などは、結果的には、そのような意味も大きいだろう。
ポリオワクチンの場合、「絶対に流行地域に行かない」 という人達には、個人的な利益にはならないかも知れないが・・・
(6) その他
多くの間違い~合点のゆかない点が見られます。
私自身、必要性の少ないワクチンもあると思っていますが、これから子どもさんの接種を判断されるご両親は、少なくとも本書だけを拠り所として判断されるのではなく、他書を読んだり、かかりつけ医に相談されることも強くお勧めします。他書と言っても、ワクチンについての一般の方向けの本は、著者のように 「危険」 を必要以上に強調する本が多いと思いますので、その選択にはご注意下さい。
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(1) "因果関係" について。
ワクチン接種後、有害なことがおこっても、その因果関係の判断はとても難しい。「心房細動のある94歳女性が肺炎球菌ワクチン接種後 35分で急変 50分後に死亡」 これを著者は、「ワクチンとの因果関係あり」 と断定しているが、これはおかしい。このような例は、とりあえず「疑い」としておき、データを集積しながら、将来「らしい」か「らしくない」か判断していくしかない。
(2) 感染症の致死性・重篤性について。
現在の衛生状態・医療体制では、「麻疹や百日咳では死亡しない」と言っているが、例えば麻疹では、今はかなり制御されているから、死亡例がほとんどないが、皆が感染するようになると、基礎疾患(免疫低下や心疾患など)を持っている人(児)では、死亡に直結する疾患である。
白血病治療中など免疫不全の状態では、麻疹はもちろん、水痘のような一般には軽い病気でも命取りとなる。
著者は、感染症に弱い人達(こども達) のことは、全編を通じて全く考慮していない。
(3) 予防目的なら副作用を容認できないか ?
著者は「予防目的のワクチンでは何もないのが当然、重い副作用がでたら大変」としている。私自身の考え方は、「予防接種によって10人が死亡しても、それによって100人が死なずに済むのだったらその方がよいのではないか」。これについは様々な考えがあり、「何が正しくて何が正しくない」ということは言えないが、著者のような一方の極端な考え方に従えば、多くのワクチンはやめた方がよいのだろう。私は 30年近く前、「数年前に接種した麻疹ワクチンが原因で SSPE という脳炎にかかり、寝たきりで周りのことがわからない状態になった子」 の主治医となったが、その後、自分の子の麻疹ワクチン接種はためらわなかった。麻疹ワクチンがまだ接種されなかった頃の麻疹のきつい事、時には死亡することを自分の目で見てきたからである。
(4) 日本全体での「ワクチンの副作用 と 原疾患での被害 の 天秤」。
著者は、随所で、「ワクチンによる副作用の数・重篤さ」 と 「そのワクチンの対象となる疾患の数・重篤さ」 を天秤にかけているが、「多くの人がワクチンを受けている現状」 で比べるのは科学的でない。
たとえば、40年余り前、百日咳ワクチンを含む三種混合ワクチンの副作用が問題になり、数年間? ほとんど接種されない時期があり、この間、とても多くの人(主に小児)が百日咳に罹り、私の知っている多くの病院で、百日咳で死亡~寸前の児がでていた。ワクチンを中止したことによって再び急増したのである。その後、日本で副作用の少ないワクチンが開発・接種されて現在に至っているのである。
「今がよいから」と言って安心ばかりはしていられないのである。
(5) 公衆衛生的なこと。
種痘は、本書で書かれているように、予防接種によって根絶でき、今の子供たちは接種しなくて済むようになった。それ以外の疾患について、私の知識は十分でないが、次にポリオ、そして麻疹・風疹・水痘などもそれに続いていけば、これらの予防接種も将来必要なくなるかも知れない。そのような疾患の場合、一旦手綱を緩めて大流行を起こさせてしまえば、また振り出し近くにまで戻ってしまう。WHO をはじめ、専門家がワクチンの継続を主張するのは私にはとても合理的に思える。
また、根絶できなくても、多くの人がワクチンを接種していれば、基礎疾患のためワクチンを受けられない子供達も守ることができる。麻疹・水痘などは、結果的には、そのような意味も大きいだろう。
ポリオワクチンの場合、「絶対に流行地域に行かない」 という人達には、個人的な利益にはならないかも知れないが・・・
(6) その他
多くの間違い~合点のゆかない点が見られます。
私自身、必要性の少ないワクチンもあると思っていますが、これから子どもさんの接種を判断されるご両親は、少なくとも本書だけを拠り所として判断されるのではなく、他書を読んだり、かかりつけ医に相談されることも強くお勧めします。他書と言っても、ワクチンについての一般の方向けの本は、著者のように 「危険」 を必要以上に強調する本が多いと思いますので、その選択にはご注意下さい。