トップ
甲斐市立図書館
ログアウト
ログイン
検索結果詳細
前へ
次へ
まぜるな危険
早川書房 2021.7
高野 史緒
∥著
(2人)
蔵書数: 1冊
貸出数: 0冊
貸出可能数: 1冊
予約件数: 0件
予約かごに入れる
ブックリストに登録する
あなたの評価
変更
削除
レビューを書く
所蔵
詳細
レビュー
資料の状況
竜王図書館 <1012439608>
貸出可 / 書庫一般書 / / /913.6/タ/ / 帯出可
詳細情報
ISBN
4-15-210038-2
13桁ISBN
978-4-15-210038-2
書名ヨミ
マゼルナ キケン
著者ヨミ
タカノ フミオ
分類記号
913.6
価格
¥1700
出版者ヨミ
ハヤカワ ショボウ
大きさ
20cm
ページ数
270p
内容
内容:アントンと清姫 百万本の薔薇 小ねずみと童貞と復活した女 プシホロギーチェスキー・テスト 桜の園のリディヤ ドグラートフ・マグラノフスキー
抄録
「屍者の帝国」の世界観に「白痴」から「アルジャーノンに花束を」「ブレードランナー」までを投入した「小ねずみと童貞と復活した女」など、ロシア文学+SFのリミックス全6篇を収録する。
著者紹介
1966年茨城県生まれ。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。「ムジカ・マキーナ」で作家デビュー。「カラマーゾフの妹」で江戸川乱歩賞受賞。
内容細目・詳細
1
内容書名
アントンと清姫
内容書名ヨミ
アントン ト キヨヒメ
2
内容書名
百万本の薔薇
内容書名ヨミ
ヒャクマンボン ノ バラ
3
内容書名
小ねずみと童貞と復活した女
内容書名ヨミ
コネズミ ト ドウテイ ト フッカツ シタ オンナ
4
内容書名
プシホロギーチェスキー テスト
内容書名ヨミ
プシホロギーチェスキー テスト
5
内容書名
桜の園のリディヤ
内容書名ヨミ
サクラ ノ ソノ ノ リディヤ
6
内容書名
ドグラートフ マグラノフスキー
内容書名ヨミ
ドグラートフ マグラノフスキー
当館優先
有用性順
新しい順
人中 人が好評価
({0})
null
修正する
削除する
イイネ!
イマイチ
違反報告
0人中 0人が好評価
脱帽するしかない!
(2022/03/28)
子門/筑前町図書館
修正する
削除する
高野史緒さんの本書、「まぜるな危険」はどういう案配なのか、収録された六
篇ともすべてロシア文学ネタ!
2022年3月、ロシア軍によるウクライナ侵攻が全世界を震撼させている現
在、本書を手にとるのもこれまた一興ではないか。ドストエフスキーにしろ、
バルザックにしろ、チェーホフにしろ人類が誇りえる文学的遺産であり、不滅
の輝きを発してやまない。糾弾すべきは、狂ったとしかおもえないどこぞの国
の大統領とその政権であって、一緒くたにロシアすべてを排する動きがあると
したら、それこそ愚考の極みだろう。
それはともかく、本書の内容。「カラマーゾフの妹」にみられたごとく、筆者
は本来なれば共存するハズのないファクターの結合が異常なまでに巧みであ
る。その技量、尋常ではないレベルにあるといっていい。
連作短編集「まぜるな危険」に収録されたのは、「アントンと清姫」「百万本
の薔薇」「小ネズミと童貞と復活した女」「プシホロギーチェスキー・テス
ト」「櫻の園のリディヤ」「ドグラートフ・マグラノフスキー」の六篇。タイ
トルからして「何」と「何」を混合させたのか、あるていど推測がつこうとい
うものだが、かえってソレが怖ろしく思えるのはぼくだけだろうか?
冒頭の「アントンと清姫」はタイトルからすると「ダジャレかよ!」とツッコ
ミたくなるが、実際に読んでみると歌舞伎ネタとSF、そして「鐘の皇帝」を
完璧なまでに融合させて誕生した「ワイドスクリーン歌舞伎」なのだ。
この短編が書かれたのは2010年。いまだ小松左京さんが存命中であり、も
し読まれていたとしたら、その感想をぜひとも聞いてみたかった。
「小ネズミと(以下、略)」は本文はもちろんのことだが、末尾の「主要参考
文献」に注目すべきと思う。ドストエフスキー「白痴」にはじまり、「ソラリ
ス」「アルジャーノンに花束を」「ドウエル教授の首」「キャプテン・フュー
チャー」(野田昌宏!)・・・等々。それらの要素が完璧なまでのハーモニー
でもって作品を完成させている!
でもって、ぼくが一番注目したのが、「プシホロギー(以下、略)」
ドストエフスキー「罪と罰」をベースにした一篇。殺人者となった貧乏学生
ラスコーリニコフと、その犯罪を暴こうとする判事ポルフィーリー。膠着状態
となった事件の捜査であったが、そこへドストエフスキー本人がカオをだし、
打開の糸口として提供したエドガワ・ランポなる異国の作家が書いた犯罪小説
の情報。発行年月日は彼らの時代より70年も先のシロモノ!最近巷に出回っ
ている本の一冊らしく、ラスコーリニコフはこの本を参考に完全犯罪をもくろ
んでいるのではないか、というのがドストエフスキーの推論。犯罪を暴くため
にはエドガワ・ランポの小説を入手するしかない!ポルフィーリーは暗黒街へ
と潜入し、ついにランポの小説を発見するのだが・・・同時に見いだしたのが
ヒサオ・ジュウラン、ユメノ・キュウサク、ウチダ・ヒャッケン、ナカイ・ヒ
デオ、ウンノ・ジュウザ、イズミ・キョウカ、イナガキ・タルホ、ヨコミゾ・
セイシ・・・!なんでこんな本が1865年のロシアの暗黒街に存在するの
か、説明は一切ないのだけど、そこがまた筆者の作品らしくてよい。
とにかく、ポルフィーリーはランポの「心理試験」を入手。ソレを読み込むこ
とでラスコーリニコフとの対決にのぞむのである。結末がどうなったかは実際
に読んでもらうとして・・・よくぞこんなストーリーを考えつくものだ!そう
ぼくなどは慨嘆するしかなかった。いや、脱帽!
ついでに言うと、江戸川乱歩「心理試験」は、サイト「青空文庫」にアップさ
れているので、ネットに繋がる環境であればすぐに読むことが可能。
イイネ!
イマイチ
違反報告
(c) 甲斐市立図書館
戻る
カレンダー
お知らせ
マイページ
ブックリストに登録する
読みたい
今読んでる
読み終わった
資料を評価する
0~5までの値で評価を登録できます。
(増減量0.5)
変更後、[決定]ボタンを押してください。
決定
閉じる
レビューを書く
貸出可 / 書庫一般書 / / /913.6/タ/ / 帯出可
null
子門/筑前町図書館
篇ともすべてロシア文学ネタ!
2022年3月、ロシア軍によるウクライナ侵攻が全世界を震撼させている現
在、本書を手にとるのもこれまた一興ではないか。ドストエフスキーにしろ、
バルザックにしろ、チェーホフにしろ人類が誇りえる文学的遺産であり、不滅
の輝きを発してやまない。糾弾すべきは、狂ったとしかおもえないどこぞの国
の大統領とその政権であって、一緒くたにロシアすべてを排する動きがあると
したら、それこそ愚考の極みだろう。
それはともかく、本書の内容。「カラマーゾフの妹」にみられたごとく、筆者
は本来なれば共存するハズのないファクターの結合が異常なまでに巧みであ
る。その技量、尋常ではないレベルにあるといっていい。
連作短編集「まぜるな危険」に収録されたのは、「アントンと清姫」「百万本
の薔薇」「小ネズミと童貞と復活した女」「プシホロギーチェスキー・テス
ト」「櫻の園のリディヤ」「ドグラートフ・マグラノフスキー」の六篇。タイ
トルからして「何」と「何」を混合させたのか、あるていど推測がつこうとい
うものだが、かえってソレが怖ろしく思えるのはぼくだけだろうか?
冒頭の「アントンと清姫」はタイトルからすると「ダジャレかよ!」とツッコ
ミたくなるが、実際に読んでみると歌舞伎ネタとSF、そして「鐘の皇帝」を
完璧なまでに融合させて誕生した「ワイドスクリーン歌舞伎」なのだ。
この短編が書かれたのは2010年。いまだ小松左京さんが存命中であり、も
し読まれていたとしたら、その感想をぜひとも聞いてみたかった。
「小ネズミと(以下、略)」は本文はもちろんのことだが、末尾の「主要参考
文献」に注目すべきと思う。ドストエフスキー「白痴」にはじまり、「ソラリ
ス」「アルジャーノンに花束を」「ドウエル教授の首」「キャプテン・フュー
チャー」(野田昌宏!)・・・等々。それらの要素が完璧なまでのハーモニー
でもって作品を完成させている!
でもって、ぼくが一番注目したのが、「プシホロギー(以下、略)」
ドストエフスキー「罪と罰」をベースにした一篇。殺人者となった貧乏学生
ラスコーリニコフと、その犯罪を暴こうとする判事ポルフィーリー。膠着状態
となった事件の捜査であったが、そこへドストエフスキー本人がカオをだし、
打開の糸口として提供したエドガワ・ランポなる異国の作家が書いた犯罪小説
の情報。発行年月日は彼らの時代より70年も先のシロモノ!最近巷に出回っ
ている本の一冊らしく、ラスコーリニコフはこの本を参考に完全犯罪をもくろ
んでいるのではないか、というのがドストエフスキーの推論。犯罪を暴くため
にはエドガワ・ランポの小説を入手するしかない!ポルフィーリーは暗黒街へ
と潜入し、ついにランポの小説を発見するのだが・・・同時に見いだしたのが
ヒサオ・ジュウラン、ユメノ・キュウサク、ウチダ・ヒャッケン、ナカイ・ヒ
デオ、ウンノ・ジュウザ、イズミ・キョウカ、イナガキ・タルホ、ヨコミゾ・
セイシ・・・!なんでこんな本が1865年のロシアの暗黒街に存在するの
か、説明は一切ないのだけど、そこがまた筆者の作品らしくてよい。
とにかく、ポルフィーリーはランポの「心理試験」を入手。ソレを読み込むこ
とでラスコーリニコフとの対決にのぞむのである。結末がどうなったかは実際
に読んでもらうとして・・・よくぞこんなストーリーを考えつくものだ!そう
ぼくなどは慨嘆するしかなかった。いや、脱帽!
ついでに言うと、江戸川乱歩「心理試験」は、サイト「青空文庫」にアップさ
れているので、ネットに繋がる環境であればすぐに読むことが可能。