本屋大賞ノミネートということで手に取った。過去と現在の話が同時進行し、最後に交わる構成は「楽園のキャンバス」と同じで、新鮮味はなかった。最後は駆け足ぎみで雑なところがあるものの、作者の絵画に対する思いが伝わってくる。「楽園のキャンバス」と同様、本物がみたくなるし、MoMAにも行きたくなる本です。個人的には、「楽園のキャンバス」のほうが、好きです。

私がゲルニカを見たのは高校生の時だった。美術の教科書にその作品は載せられていた。第一印象はなんだか不気味だった。説明を読むまでは戦争について描かれていることは全く分からなかった。それよりも人間や動物の直面している苦しみを表しているように思った。本書ではゲルニカが完成するまでの経緯、そして完成した後の人々の戦いについて描かれている。本書を読むことで作品を感じ取る新たな感性を引き出されたような気がする。ゲルニカについて興味がなくともアートの価値について知りたい人は一読することをオススメする。