【ネタバレ】
作品の主軸は多額の負債を抱える製材所社長に
かけられた保険金詐欺と、
それをネタに強請りをかけたフリージャーナリストの
殺人事件。

物語の中盤では主人公、御子柴が少年時代に犯した
酒鬼薔薇事件を彷彿とさせる幼女殺害、
医療少年院での稲見教官、雷也、次郎、さゆりとの出会い、
そこで起こった事件と関係者の死をきっかけに
弁護士へと進む経緯が描かれている。

〔どんでん返しの女王〕と言われる中山七里さんらしい
作品で結末は二転三転。

社長とジャーナリストの殺害を実行したのは
先天性脳性麻痺の重度身体障害者の息子で、
父親の殺害方法は、集中治療室で出力の強い
旧型の携帯電話で医療機器を誤作動させ、
ジャーナリストはフォークリフトを使い、
感電死させたもの。
（動機は妊娠中、薬物に手を染め自分を障害者にした上、
愛情のかけらも見せなかった母へ殺人の罪を被せ、
保険金を全額手に入れて製材所の社長になるため）

これで一件落着かと思いきや実は母親が息子を誘導、
社長である夫が事故に遭い植物状態になった事故も
従業員と結託して起こしたものだった。

これだけなら読後感の悪い作品となる所だが
勝訴のためなら証拠隠滅や偽装も平然と行い、
悪徳弁護士との誹りを受けながら、
依頼者に法外な弁護料を要求する御子柴の真の姿が
少年院の稲見教官が特別養護老人ホームへ入所
するためと、少年時代に殺害した幼女の被害者家族へ
多額な送金のためだった事が救われる。