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すべて真夜中の恋人たち
講談社 2011.10
川上 未映子
∥著
(10人)
蔵書数: 2冊
貸出数: 0冊
貸出可能数: 2冊
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竜王図書館 <1011882444>
貸出可 / 1F棚15/913.6オオーコ / / /913.6/カ/ / 帯出可
敷島図書館 <410875850>
貸出可 / 一般913.6ア-コ / / /913.6/カ/ / 帯出可
詳細情報
ISBN
4-06-217286-8
13桁ISBN
978-4-06-217286-8
書名ヨミ
スベテ マヨナカ ノ コイビトタチ
著者ヨミ
カワカミ ミエコ
分類記号
913.6
価格
¥1600
出版者ヨミ
コウダンシャ
大きさ
20cm
ページ数
304p
抄録
ふたりで話したことを思いだし、とてもすきだったことを思いだし、ときどき泣き、また思いだし、それから、ゆっくりと忘れていった…。恋愛の究極を投げかける長編小説。『群像』掲載を単行本化。
著者紹介
1976年大阪府生まれ。「わたくし率イン歯ー、または世界」で早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、「乳と卵」で芥川賞、「先端で、さすわさされるわそらええわ」で中原中也賞を受賞。
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(2021/11/18)
西都市立図書館/西都市立図書館
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フリーランスの校閲者である冬子は、1日のほとんどを家で過ごし、仕事の連絡をくれる聖以外に、話をする人もほとんどいない。
聖に触発されお酒を飲むようになった冬子は、カルチャーセンターでもお酒を飲み嘔吐してしまう。そこで優しく声を掛けてくれた三束さんが気になりだす冬子だが、自分自身の慣れない感情に次第に体調を崩していく。
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冬の夜の恋
(2015/09/22)
ブルーツ・リー/飯能市立図書館
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混じり気のない、澄み切った冬の夜。
その夜は特別な時間。全てが祝福してくれているみたいに。
真冬の夜の光に恋をするように、世界を信じられたら。
冬の夜の光だけ、孤独な光のみしか集められない存在がいる。
それは、他者に対して自らの意見を発信できないため。
あるいは、他者に対して自らの意見のみを押し通すため。
そんな孤独な魂たちの光。
それらの交わりによって、自らの光=自らの言葉。
を生み出すことができたら?
冬子は、自分の意見をほとんど持たない存在。
それはまるで、他者の光をすべて吸収してしまい、
自らの光を全く持たない存在のよう。
聖は、自分の意見のみで動く存在。
それはまるで、他者の光をすべて反射してしまい、
光ばかり放ち、目がくらむような存在。
彼女たちは、当然のごとく、孤立している。
しかも、彼女たちは校正を職としており、
それは、「間違い」を探す職業。
ある意味では「完成」に近づく作業でもあり、
同時に、何らかの「間違い」とされたものを失う作業。
「間違い」を探したその先に残るものは何?
ある意味で、「間違い」を冒した人物がいる。
「三束さん」の存在だ。
彼は、自らの職業に対して、高校教師であると、
「間違った」身分を名乗る。
実際には、製造業を解雇され、行くあてのない男性だ。
孤独な三人。
しかし、冬子と三束さんが惹かれあううちに、
その孤独な光は、変化を遂げる。
冬子は、聖からもらった服を着ることによって、
ある意味で、「聖として」三束さんの誕生日を祝った。
それは、自分ではない存在。
光を全て反射してしまう、あまりにまばゆい存在になってしまう行為。
その光は、三束さんを辛くする。
触れてしまった光は、宇宙に吸収されるみたいに、
ただ、消えていくだけ。
三束さんの温かさを感じてしまったら、
その熱は、光は消えて行ってしまう。
「間違い」だったみたいに。
でも、それは本当に、「間違い」なの?
聖に、自らの恋の全てを否定された冬子は、
はじめて、聖に、世界に対して、言葉を発する。
それは、冬子にとって、世界に対するはじめての意見表明。
自分の言葉はあってもいい、自分の恋はあってもいい。
つたないながらも、賢明な、必死な、はじめての冬子の言葉。
聖は、冬子の言葉に、はじめて圧倒される。
「間違い」なんかじゃない。
言葉の上の、聖には分からないような恋だって、
触れてしまえば、消えて行ってしまう光のような温かさは、
ぜったいに、「間違い」なんかじゃない。
そう世界に対して自らの言葉を発したとき、
それは、聖の、自分とは異なる存在の肯定へとも繋がる。
冬子がそこにあっていていいように、
聖は聖のままでよい。
三束さんは、三束さんでよいように、聖はそこにあっていい。
世界に、間違いなんてない。
世界は、世界のままでよい!
それでも、三束さんは、全てを許せる気持ちになった冬子の元から去る。
冬子は当然のごとく、悲しみの底に落ちる。
泣いて泣いて泣いて、いつか悲しみが薄れた時、
悲しみもまた、光へと転じる。
悲しみにも、消えて行ってしまう光にも、必ず意味がある。
自らを認め、自らと異質なる聖をも認め、
消えて行ってしまう光すらも認められる。
そんな全てが肯定された世界の中に、言葉が生まれる。
その言葉は、すべてを肯定する言葉。
「間違い」として消えていってしまった光も愛おしく、
「正しい」とされて残っていく存在も美しい。
そして何より、自らの光をも、世界には存在していいのだ、と。
冬子は、冬の夜の光のように、世界を、恋することができた。
そこに、全てを肯定する、はじめての言葉が生まれる。
世界は、冬の夜の星空とおんなじだ。
世界は、冬子を祝福し、冬子は、世界を祝福する。
世界は、冬の夜の恋みたいに、存在するに、値する。
イイネ!
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貸出可 / 1F棚15/913.6オオーコ / / /913.6/カ/ / 帯出可
敷島図書館 <410875850>
貸出可 / 一般913.6ア-コ / / /913.6/カ/ / 帯出可
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西都市立図書館/西都市立図書館
聖に触発されお酒を飲むようになった冬子は、カルチャーセンターでもお酒を飲み嘔吐してしまう。そこで優しく声を掛けてくれた三束さんが気になりだす冬子だが、自分自身の慣れない感情に次第に体調を崩していく。
ブルーツ・リー/飯能市立図書館
その夜は特別な時間。全てが祝福してくれているみたいに。
真冬の夜の光に恋をするように、世界を信じられたら。
冬の夜の光だけ、孤独な光のみしか集められない存在がいる。
それは、他者に対して自らの意見を発信できないため。
あるいは、他者に対して自らの意見のみを押し通すため。
そんな孤独な魂たちの光。
それらの交わりによって、自らの光=自らの言葉。
を生み出すことができたら?
冬子は、自分の意見をほとんど持たない存在。
それはまるで、他者の光をすべて吸収してしまい、
自らの光を全く持たない存在のよう。
聖は、自分の意見のみで動く存在。
それはまるで、他者の光をすべて反射してしまい、
光ばかり放ち、目がくらむような存在。
彼女たちは、当然のごとく、孤立している。
しかも、彼女たちは校正を職としており、
それは、「間違い」を探す職業。
ある意味では「完成」に近づく作業でもあり、
同時に、何らかの「間違い」とされたものを失う作業。
「間違い」を探したその先に残るものは何?
ある意味で、「間違い」を冒した人物がいる。
「三束さん」の存在だ。
彼は、自らの職業に対して、高校教師であると、
「間違った」身分を名乗る。
実際には、製造業を解雇され、行くあてのない男性だ。
孤独な三人。
しかし、冬子と三束さんが惹かれあううちに、
その孤独な光は、変化を遂げる。
冬子は、聖からもらった服を着ることによって、
ある意味で、「聖として」三束さんの誕生日を祝った。
それは、自分ではない存在。
光を全て反射してしまう、あまりにまばゆい存在になってしまう行為。
その光は、三束さんを辛くする。
触れてしまった光は、宇宙に吸収されるみたいに、
ただ、消えていくだけ。
三束さんの温かさを感じてしまったら、
その熱は、光は消えて行ってしまう。
「間違い」だったみたいに。
でも、それは本当に、「間違い」なの?
聖に、自らの恋の全てを否定された冬子は、
はじめて、聖に、世界に対して、言葉を発する。
それは、冬子にとって、世界に対するはじめての意見表明。
自分の言葉はあってもいい、自分の恋はあってもいい。
つたないながらも、賢明な、必死な、はじめての冬子の言葉。
聖は、冬子の言葉に、はじめて圧倒される。
「間違い」なんかじゃない。
言葉の上の、聖には分からないような恋だって、
触れてしまえば、消えて行ってしまう光のような温かさは、
ぜったいに、「間違い」なんかじゃない。
そう世界に対して自らの言葉を発したとき、
それは、聖の、自分とは異なる存在の肯定へとも繋がる。
冬子がそこにあっていていいように、
聖は聖のままでよい。
三束さんは、三束さんでよいように、聖はそこにあっていい。
世界に、間違いなんてない。
世界は、世界のままでよい!
それでも、三束さんは、全てを許せる気持ちになった冬子の元から去る。
冬子は当然のごとく、悲しみの底に落ちる。
泣いて泣いて泣いて、いつか悲しみが薄れた時、
悲しみもまた、光へと転じる。
悲しみにも、消えて行ってしまう光にも、必ず意味がある。
自らを認め、自らと異質なる聖をも認め、
消えて行ってしまう光すらも認められる。
そんな全てが肯定された世界の中に、言葉が生まれる。
その言葉は、すべてを肯定する言葉。
「間違い」として消えていってしまった光も愛おしく、
「正しい」とされて残っていく存在も美しい。
そして何より、自らの光をも、世界には存在していいのだ、と。
冬子は、冬の夜の光のように、世界を、恋することができた。
そこに、全てを肯定する、はじめての言葉が生まれる。
世界は、冬の夜の星空とおんなじだ。
世界は、冬子を祝福し、冬子は、世界を祝福する。
世界は、冬の夜の恋みたいに、存在するに、値する。