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甲斐市立図書館

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密やかな結晶

蔵書数: 2冊 貸出数: 0冊
貸出可能数: 2冊 予約件数: 0件
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竜王図書館 <1010058723>
貸出可 / 書庫一般書 / / /913.6/オ/  / 帯出可
敷島図書館 <2810040135>
貸出可 / 一般913.6ア-コ / / /913.6/オ/  / 帯出可
詳細情報
ISBN 4-06-205843-X
書名ヨミ ヒソヤカ ナ ケッショウ
著者ヨミ オガワ ヨウコ
分類記号 913.6
価格 ¥1650
出版者ヨミ コウダンシャ
大きさ 20cm
ページ数 411p
抄録 芥川賞作家である著者の初めての本格的な書下ろし長篇小説。有機物であることの人間の哀しみを澄明なまなざしで見つめ、現代の完璧な消滅・気化への希みを、美しく危険なシチュエイションの展開の中で描く。
著者紹介 1962年岡山市生まれ。早稲田大学文学部卒業。88年、「海燕新人賞」受賞。その後、「妊娠カレンダー」により芥川賞受賞。著書に「完璧な病室」「冷めない紅茶」など。
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The Memory Police
(2020/05/12)
しゅうちゃん/甲斐市立図書館
  記憶の喪失の物語。リボン、鈴、エメラルド、切手、香水、鳥や花、写真やカレンダーなど、日常あたり前にあった物、大切にしていた物が、それがなんであったかが分からなくなり、やがてそのことに関わる記憶も失われていく世界のお話。そこは、記憶があることが許されない世界でもあり、記憶の消失を免れている人は、秘密警察=The Memory Policeに追われ、捕まり連れ去られてしまう。記憶を豊富にもっていた語り手の母も、秘密警察に連れ去られた。父もその後亡くなり、独りになった語り手の「わたし」(女性)は作家で、フェリーの整備士だったおじいさんの手助けをえて、様々な記憶をもち続けている、自分の担当編集者を地下室にかくまう。語り手が書いている小説は、失語症になって、タイプライターでしかコミュニケーションをとれなくなった主人公が、タイプライターが壊れ、次第に言葉を失っていく物語…。語り手の住む島では、記憶の喪失が続き、ついに左足、右腕の記憶が失われるようになり、そして…。ありそうだけれど、ありえない不思議な島の物語=「ディストピア小説」。
  記憶とは、この世界で見・体験したものが、自らの心の中に積み重なっていくということ。記憶は、その人が生きてきたことの証。記憶をなくしていくことは、生きてきた証を失っていくことでもある。逆説的に言うと、書き残すことは、記憶を残すことであり、生きてきた証を残すことであるのかもしれない。新型コロナウィルス蔓延の不条理な世界にいて、いつコロナウィルス警察に連れ去られるかもしれない中で、「記憶」について、改めて考えさせられる。
  今から四半世紀前の1994年刊だが、昨年英訳「The Memory Police」がアメリカで刊行され全米図書賞の最終候補となり、英ブッカー賞国際部門にもノミネートされて(例年だと10月受賞作決定)、注目度が格段に上がっている。阪神淡路大震災の前の年の作品も、地震と津波の描写もある。ブッカー賞受賞になると、図書館ではかなりの順番待ちとなり読めなくなるはず。借りるなら今。

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