トップ
甲斐市立図書館
ログアウト
ログイン
検索結果詳細
前へ
次へ
そして、海の泡になる
朝日新聞出版 2020.11
葉真中 顕
∥著
(3人)
蔵書数: 1冊
貸出数: 0冊
貸出可能数: 1冊
予約件数: 0件
予約かごに入れる
ブックリストに登録する
あなたの評価
変更
削除
レビューを書く
所蔵
詳細
レビュー
資料の状況
竜王図書館 <1012412167>
貸出可 / 1F棚17/913.6チ-ハ / / /913.6/ハ/ / 帯出可
詳細情報
ISBN
4-02-251732-6
13桁ISBN
978-4-02-251732-6
書名ヨミ
ソシテ ウミ ノ アワ ニ ナル
著者ヨミ
ハマナカ アキ
分類記号
913.6
価格
¥1600
出版者ヨミ
アサヒ シンブン シュッパン
大きさ
20cm
ページ数
279p
抄録
バブル期に個人史上最高額の負債を抱え、自己破産した「北浜の魔女」朝比奈ハル。彼女の生涯を小説にするため、取材を始めるが…。実際に起きた事件をヒントにした社会派ミステリー。『小説トリッパー』連載を加筆し書籍化。
著者紹介
1976年東京都生まれ。「ロスト・ケア」で日本ミステリー文学大賞新人賞、「凍てつく太陽」で大藪春彦賞、日本推理作家協会賞を受賞。
当館優先
有用性順
新しい順
人中 人が好評価
({0})
null
修正する
削除する
イイネ!
イマイチ
違反報告
3人中 3人が好評価
怒りからの解放
(2020/11/15)
あめんぼう/東温市立図書館
修正する
削除する
バブル期、投資で莫大な金を儲けた女性がいた。
彼女の名前はハル。
ハルは「うみうし様」という神様の言う通り、株の銘柄を選んで買うだけだと言う。
やがて、彼女の周りには金を得たい者たちが集まり、「春の会」という会ができる。
しかし、バブルは弾け、ハルには当時つきあっていた男性に裏金を作らせていたという疑いがかかり、殺人をおかして刑務所に入る事になる。
この物語は、ハルと同じ刑務所にいて仲の良かった女性が、ハルの事を小説にしようと思い立ち、当時、ハルの周りにいた人々に取材する、そのインタビューの様子をそのまま小説にした形になっている。
ハルの幼馴なじみ、親戚の女性、ハルの子供とされる男性、ハルの経営していた料亭の従業員、「春の会」のメンバー、ハルのつきあっていた男性の子供・・・それらのインタビューとハルの刑務所仲間の女性の話が交互に語られ、話は進んでいく。
そこで語られるのは、ハルの生い立ち、事件に至るまでのいきさつ・・・。
途中まで読んでいてずっと、「うみうし様」というのはハル自身の事だろうと思っていた。
彼女の人生の中で都合の悪い人間は必ず「うみうし様」に殺される。
だけど、「うみうし様」というのが神様なら実態が無い訳で、そういうのが実際に殺人なんてできない・・・という事は自然と犯人は本人だろうという事になる。
だけど、この話にはその辺も含めて、「そうだったのか・・・」という真相が用意されている。
だけど、それが全ての話ではなく、そういう真相が無かったとしても十分面白く読めたし、考える所もある話だった。
この小説では、ハル本人の話は出てこない。
本人は既に死んでいるから。
だから、ハルという女性について、周囲の人の語る所から自分なりに想像するしかない。
私からすると、ハルという人は怒りを常に心の中にためていて、そこから自由になるために生きた人だったのだと感じた。
そして、その怒りは常に、強い方に向いている。
自分と同じく恵まれない生い立ちの人には手を差し伸べている。
そこからすると、優しくて人に好かれる人だったのだと思う。
自分の中に怒りがある時、手っ取り早く、自分より力のない弱い者にその怒りをぶつける人が多い。
そうでない人だって事だけで私はこのハルという人が好ましく思えた。
怒りから自由になるのは、その怒りの対象を抹消する事、復讐する事か。
そうでないとこの本を読むと思える。
その方法はたった一つしかないのだと教えてくれている。
また、戦後、バブル期、現在コロナで疲弊している時代と経済をあわせて描かれていて、それが素晴らしくリアルなので物語の中に入って読む事ができた。
これは、いい本だと思う。
イイネ!
イマイチ
違反報告
(c) 甲斐市立図書館
戻る
カレンダー
お知らせ
マイページ
ブックリストに登録する
読みたい
今読んでる
読み終わった
資料を評価する
0~5までの値で評価を登録できます。
(増減量0.5)
変更後、[決定]ボタンを押してください。
決定
閉じる
レビューを書く
貸出可 / 1F棚17/913.6チ-ハ / / /913.6/ハ/ / 帯出可
null
あめんぼう/東温市立図書館
彼女の名前はハル。
ハルは「うみうし様」という神様の言う通り、株の銘柄を選んで買うだけだと言う。
やがて、彼女の周りには金を得たい者たちが集まり、「春の会」という会ができる。
しかし、バブルは弾け、ハルには当時つきあっていた男性に裏金を作らせていたという疑いがかかり、殺人をおかして刑務所に入る事になる。
この物語は、ハルと同じ刑務所にいて仲の良かった女性が、ハルの事を小説にしようと思い立ち、当時、ハルの周りにいた人々に取材する、そのインタビューの様子をそのまま小説にした形になっている。
ハルの幼馴なじみ、親戚の女性、ハルの子供とされる男性、ハルの経営していた料亭の従業員、「春の会」のメンバー、ハルのつきあっていた男性の子供・・・それらのインタビューとハルの刑務所仲間の女性の話が交互に語られ、話は進んでいく。
そこで語られるのは、ハルの生い立ち、事件に至るまでのいきさつ・・・。
途中まで読んでいてずっと、「うみうし様」というのはハル自身の事だろうと思っていた。
彼女の人生の中で都合の悪い人間は必ず「うみうし様」に殺される。
だけど、「うみうし様」というのが神様なら実態が無い訳で、そういうのが実際に殺人なんてできない・・・という事は自然と犯人は本人だろうという事になる。
だけど、この話にはその辺も含めて、「そうだったのか・・・」という真相が用意されている。
だけど、それが全ての話ではなく、そういう真相が無かったとしても十分面白く読めたし、考える所もある話だった。
この小説では、ハル本人の話は出てこない。
本人は既に死んでいるから。
だから、ハルという女性について、周囲の人の語る所から自分なりに想像するしかない。
私からすると、ハルという人は怒りを常に心の中にためていて、そこから自由になるために生きた人だったのだと感じた。
そして、その怒りは常に、強い方に向いている。
自分と同じく恵まれない生い立ちの人には手を差し伸べている。
そこからすると、優しくて人に好かれる人だったのだと思う。
自分の中に怒りがある時、手っ取り早く、自分より力のない弱い者にその怒りをぶつける人が多い。
そうでない人だって事だけで私はこのハルという人が好ましく思えた。
怒りから自由になるのは、その怒りの対象を抹消する事、復讐する事か。
そうでないとこの本を読むと思える。
その方法はたった一つしかないのだと教えてくれている。
また、戦後、バブル期、現在コロナで疲弊している時代と経済をあわせて描かれていて、それが素晴らしくリアルなので物語の中に入って読む事ができた。
これは、いい本だと思う。