◆新着おすすめ本 2018.10月号

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一般書(文芸書)

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『涙の向こうに花は咲く』  吉野やよい 著  世界文化社


小児ガンの余命宣告から18年間を生き、今も頑張っている女性の実話です。「絶対に治る」と信じて病気と闘い、16歳で完治を告げられるまでの、本人や家族の思いを考えると涙なくして読めません。現在、病気をかかえて苦しんでいる人にも、多くの不安をかかえている人にも、おすすめの1冊です。

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『私の漱石―「漱石全集」月報精選』  岩波書店編集部 編  岩波書店


1990年代と200年代に刊行された『漱石全集』の月報から、48人の文章を精選したものです。奥泉光、河合隼雄、田辺聖子、山田風太郎、村田喜代子、司馬遼太郎、川上弘美など、現代の作家達が漱石の魅力を語ります。この本を読んでから、実際に、漱石の作品を読んでみてはいかがでしょう。

 

一般書(実用書)

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『繕う愉しみ』  ミスミノリコ 著  主婦と生活社


気に入っていた洋服に虫食い穴やシミをつけてしまったことはないですか。繕うことによって、再びよみがり、身に着けられるようになったら、こんな嬉しいことはないはずです。洋服や布袋、ぬいぐるみ、帽子、靴下、手袋、ストールなどは、ヨーロッパの伝統的な衣料修繕テクニック「ダーニング」と、羊毛をニードルで絡ませてフェルト化させる「ニードルパンチ」の2つの方法で、ほとんどの繕いができます。命を吹込まれた布たちの向こう側に、使う人の喜びが目に浮かびます。

 

一般書(その他)

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『オオカミと野生のイヌ』  菊水健史 監修  近藤雄生 本文  澤井聖一 写真解説  エクスナレッジ


近年、農作物や山に自生する木を鹿などの草食動物が食べてしまう「獣害」が問題になっています。これは、ニホンオオカミの絶滅が原因の一つだと言われています。天敵だったオオカミがいなくなったことで、草食動物が増え、人間の生活に害を及ぼすようになりました。これは日本だけではなく、欧米でも深刻な問題となっており、南北アメリカ大陸ではオオカミを再導入して環境保全を行っています。家畜を襲って人間に害をなすというイメージのオオカミですが、そのようなことは滅多になく、普段は人里離れた場所で群れで生活しています。全世界に16~30万頭しか生き残っていないと言われるオオカミとその仲間たちの事を、知ってみませんか。気高く、でも愛らしい姿に心を掴まれるかもしれません。

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『農家が教える 軽トラ&バックホー 使いこなし方、選び方』  農文協 編


大変な農作業を軽減してくれる軽トラックやバックホー。その選び方や基本の操作とともに、農家の皆さんが考えた便利な使い方やアイデアがたくさん載っています。例えば、軽トラの荷台に農機具を安全に固定するためのロープの結び方や、バックホーンを使ったあぜや山道の作り方、更に除雪、利雪の作業方法なども写真や絵を用いてわかりやすく紹介されています。ご自宅の軽トラやバックホーを今より更に便利に使いこなす技を探してみませんか。

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『もう悩まない!葬儀・仏事・お墓 ズバリ!解決アンサー』  大野屋テレホンセンター 著  二見書房

 

核家族化などにより様々なことが変わってきている昨今ですが、仏事においてもそれは例外ではありません。大勢の人が関わりあう形式以外に家族やごく親しい人だけで行う「家族葬」など故人の希望や事情に合わせた形式で行われることも増えてきました。この本では、伝統的な作法やしきたりを踏まえ、現代の事情に沿った仏事のやり方を知ることができます。

ヤング・アダルト(中高生向き)

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『オレは、センセーなんかじゃない!』  おかざきさとこ 著  くじょう 絵  学研プラス


「やれば何でもできる」天才のオレこと主人公の鈴木優太郎は、とある出来事をきっかけに自室へ引きこもりニート生活を送っていました。今はチャンスをうかがっているんだと言い訳しては行動しようとしませんが、強引な勧めに負けてしまい保育園で働くこととなります。納得いくはずもなく、苦手な子どもと関わらなければならない日常……最初はよくない態度ばかりのダメ主人公ですが、読み進めていくと共感し、ともに泣いて笑ってしまう楽しめる一冊です。

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『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 恋 川端康成・江戸川乱歩ほか』  東雅夫 編  谷川千佳 絵  汐文社


恋をテーマにした作品ですが読んだ後にどこか不思議で妖しいな、という感覚が残るストーリーが収録されています。幼い頃の記憶に残っている少女への恋、人間以外のものとの恋など文豪たちが考えるいろんな恋の形を見ることができます。漢字に読み仮名があったり、難しい言い回しには注釈がついているので読みやすくなっています。この機会に文豪たちの作品に触れて恋について考えてみてはいかがでしょうか。

 

小学生向き

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『絵でわかる なぜなぜ会話ルールブック』  藤野博 綿貫愛子 著  合同出版


この本は人と人との会話での基本中の基本がのっており、発達障害を持つお友だちにもわかるように書かれています。「2人で話をするときには、腕一本分くらい離れた距離がちょうどいい」など、コミュニケーション学で言うところのお互いに不快にならない物理的な距離についても分かり易く書かれています。ヒト以外の動物の世界では、相手の目をみることは威嚇の意味であり、目を見る事が友好のサインとしてうけとられるのはヒトならではのことだそうです。人と人との尊いコミュニケ―ションの基本を改めて見直してみませんか。

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『奏のフォルテ』  黒川裕子 著  講談社


中学2年生の奏はホルニストを目指しています。いつも周りとはうまくいかず一人ぼっちで過ごしています。そんな奏はアメリカの音楽学校の試験に参加しますが、憧れのホルニストに「君の音には愛がない」と言われてしまいます。その会場で、同い年のオーボニスト、リュージュ・タカサキと衝撃的な出会いをします。音楽をやめようとしている奏は、どうなるのでしょうか。奏が将来や仲間、家族についていろいろと思い悩む姿に、私も中学2年生のころ、思い悩んでいたことをつい思い出してしまいました。大人の方が読んでも楽しめる作品です。

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『オレはどうくつ探検家』  吉田勝次 著  ポプラ社


物語や映画の中に多く出てくる冒険や探検……みなさん、冒険家や探検家は、昔の話や物語の中にしか存在しないと思っていませんか。この本では、現代に生きる本物のどうくつ探検家である吉田勝次さんが、実際に探検する様子がどんなものなのかを知ることが出来ます。迫力満点の写真を見ながら、吉田さんといっしょにどうくつを探検しましょう。きっと探検気分を味わえるはずです。

絵本

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『めんたべよう!』  小西英子 さく  福音館書店


皆さん麺料理は好きですか。この絵本には、美味しそうな麺料理がたくさん出てきます。うどん屋さんでは「きつねうどん」「たぬきうどん」「カレーうどん」、スパゲッティ屋さんでは「ナポリタン」「ミートソース」「カルボナーラ」……他にもたくさん紹介されています。絵もとっても美味しそうに描かれており、思わずお腹が空いてしまいます。今日のご飯は麺料理で決まり!!美味しい絵本をお楽しみください。

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『スタンリーとちいさな火星人』  サイモン・ジェームズ 作  千葉茂樹 訳  あすなろ書房


おかあさんはお仕事で出かけてしまい、お留守番のスタンリーは宇宙に出かけることにしました。代わりにやってきたのは、スタンリーにそっくりな火星人でした!でも、この火星人は手も洗わないし、好き嫌いはするし、お友だちとケンカもします。大好きな人がいない時のさみしい気持ちを頑張ってのりきろうとするスタンリー……いや、火星人の姿にほっこりします。皆さんもさみしい時には火星人に代わってもらってみてはいかがでしょうか。

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『かにのしょうばい』  新美南吉 文  竹中豊秋 絵  安城市図書館情報館 発行


かにが商売を始めました。仕事は床屋です。しかしなかなかお客が来ないので、かにははさみを持ってお客をさがしに行きます。海で出会ったたこには毛がはえていないし、山で出会ったたぬきには大変な条件を出されてしまいます。困ったかにが考えた方法は一体なんでしょう。味のある絵柄で、たくさんのかにが描かれるページは、見れば見るほど一匹一匹がとても愛らしく見えてきます。第2回「安城市新美南吉絵本大賞」において、大賞をとり出版された絵本です。

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