◆新着おすすめ本 2018.8月号

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一般書(文芸書)

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『消えていく日に』  加藤千恵 著  徳間書店


恋人からのプロポーズを保留にしたまま故郷へ帰省した彼女は、母が自分と同じ年の頃には家を買い、2人の子どもを育てていたのかと感慨にふけります(「夏の飛びこみ」)。2回目の結婚記念日を迎えた彼女は、元カレからの突然の連絡がきっかけとなり、考え方にズレがあると感じていた夫と過ごしてきた時間が、どれほど幸せだったかと気づきます(「返信を待たない」)。過ぎて行く毎日を悩んだり迷ったりしながら生きていく9人の女性を描いた、優しさと内に秘めた強さを感じられる短編集です。

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『おやすみ、東京』  吉田篤弘 著  角川春樹事務所


この本の中には、夜のシーンしか出てきません。深夜の東京を舞台にそれぞれの章を任された主人公たちは、バトンリレーのように次々と入れ替わっていきながら徐々に関連していき、気づけば群像劇となっています。夜、眠る前に少しずつ読むのにぴったりな、静かでほっとする一冊です。

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『未来製作所』  太田忠司 北野勇作 小狐裕介 田丸雅智 松崎有理 著  幻冬舎


未来の「移動」と「ものづくり」をテーマに書いた、10篇のショートショートアンソロジーです。すべての車を自動制御し交通事故ゼロを目指す兄妹の話や、「犬とパソコンを一緒にする」という技術者の夢が実現し、人は一人一匹、ペットのように動き回れるパソコンと行動を共にする世界の話など、現代を生きる私たちの夢が、あたりまえとなったら…。少し不思議で、けれどいつかは実現できるのではと、胸が高鳴るストーリーが詰まっています。

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『パパはわるものチャンピオン』  板橋雅弘 著  岩崎書店


大村孝志の息子のショータは、パパがどんな仕事をしているのか知りません。しかし、ある日、パパが悪者の覆面レスラーをしていると知ったショウタは、父親を軽蔑します。父のプロレスへの思いや息子への葛藤が心を打たれます。はたして、2人の溝は埋まるでしょうか。この本は、父と息子の交流を描いた原作の絵本もありますので、ぜひ読んでみてください。

 

一般書(実用書)

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『ゼロから分かる!日本茶の楽しみ方』  ブレケル・オスカル 著  世界文化社


日本茶の正しい入れ方、知っていますか?スウェーデン生まれの日本茶インストラクターのブレケル・オスカルさんが日本茶の楽しみ方をやさしく教えてくれます。それぞれの茶葉に最適なお湯の温度から良い急須の選び方、さらには、お茶によく合うお菓子の選び方まで解説しています。この本を読んで、おいしい日本茶を入れることができそうです。

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『農薬に頼らずつくる 虫といっしょに家庭菜園』  小川幸夫 著  家の光協会


「畑に虫がいる」というと、すぐに追い払わなくては!と思う方が多いと思います。無農薬で野菜や果樹を生産している著者の小川さんは、畑にいる天敵昆虫を活かす方法はないかと考え、てんとう虫や蟻、カマキリなど、いろいろな虫を研究してきました。そんな小川さんと虫のつきあい方や、虫図鑑などがまとめられています。第3章「畑の虫図鑑」では、それぞれの虫の、畑への貢献度や迷惑度、つきあい方やはたらきなどを知ることができます。

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『今すぐ食べたい!すごい缶詰150』  大野達也 編集  イカロス出版


「缶詰」と聞くとジャンクフード的なイメージを持ってしまいがちですが、新鮮な食材を空気、水、細菌などが入らないように密閉してあり、その栄養価は意外と高く、お魚などの缶詰は骨も丸ごと頂けて実はとっても健康的な食べ物とも言えます。食品の保存方法として缶詰が発明されてから200年、お馴染みのサバ缶・ツナ缶からジビエ缶・虫缶・高級缶や衝撃的な缶詰まで、ギューッと詰まった濃い一冊になっています。日常の食卓でも非常食としても、これからの缶詰の活用方法が今までとは一味も二味も違ってくるのではないでしょうか?

 

一般書(その他)

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『ネコおやぶん』  岩合光昭 著  辰巳出版


動物写真家でおなじみの岩合さんの新刊写真集です。今作のテーマはネコのおやぶん。日本のおやぶんたちだけでなく海外のおやぶんたちも載っています。おやぶんということだけあってみんな強そう!?だけど、強そうなだけでなく、いろいろな表情を見ることが出来ます。猫の魅力を最大限に生かして撮る岩合さんならではの作品です。

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『魅了する科学実験2』  早稲田大学本庄高等学院実験開発班 著  すばる舎リンケージ


科学実験と聞くと、専門用語だけの難しいものだと誤解してしまいそうですが、タイトル通り「魅了する」内容となっています。15種類の実験を通し、専門的ながらも分かりやすく、興味をひかれる内容です。ご家庭で行える実験もございますので、これからの季節、自由研究の参考としてもオススメです。中学・高校の学習要項に対応していますので、先生にもお読みいただきたい一冊です。

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『あのひとががんになったら 「通院治療」時代のつながり方』  桜井なおみ 著  中央公論新社


一生のうちにがんになる確率は2人に1人と言われています。2002年に28.9日だったがんによる入院日数は2014年に18.7日にまで減っており、入院は短く通院は長いという通院治療の時代になってきました。家族や友人、職場の仲間ががんになった時にどんな対応が好ましいか、また、自身ががんになった時の受け止め方や治療のための作戦の立て方、更には、がんに関わる制度や施設等知っておくべき情報も載っており、不安に寄り添ってくれる1冊です。

ヤング・アダルト(中高生向き)

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『ぼくたちのP(パラダイス)』  にしがきようこ 作  小学館


主人公の雄太は、夏休みにおじさんの別荘へ行くことになりました。5時間も山を登り続けて着いたところは、電気も通っていない山小屋で、別荘で優雅にゲームをして過ごすはずだった夏休みの計画が、あっという間に崩れてしまいました。最初のうちは冷めていた雄太も、山でのいろいろな作業や人との出会いを通して、楽しさを感じるようになり、自分の居場所を見つけます。一週間という長いようで短い期間で成長する雄太の様子をぜひ読んでみてください。

 

小学生向き

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『もしときサバイバル術』 片山誠 作  太郎次郎社エディタス


西日本で豪雨の災害があり、今も大きな被害を受けた方々は必死の思いで頑張っています。もしもの時に自分達はいったい何ができるのかと改めて思いました。災害の時に役立つ知識やスキル(技術)を身につけるための本です。いざという時に役立つ知識があるということは大切な事だと思いますので、ぜひ読んでみてください。

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『名探偵ホームズ踊る人形 コナン・ドイルショートセレクション』  コナン・ドイル 著者  千葉茂樹 訳  ヨシタケシンスケ 絵  理論社


探偵という言葉を聞くとシャーロック・ホームズを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。それほど有名で多くの人に長い間愛されているホームズ。彼は一体どんな人なのか、読んだことがある人も、ない人もこの機会にホームズの活躍を見て彼のファンが多い理由を知ってみませんか。 

絵本

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『きょうだいぎつねのコンとキン』  村山桂子 作  岡田千晶 絵  フレーベル館


キツネのきょうだいコンとキンは、迷子のうさぎに出会います。無事にうさちゃんをおうちに送り届けた2匹は、その夜安心して眠ります。数日後、今度は迷子の人間の女の子に会います。お母さんにはいつも「人間には気を付けるんだよ」と言われていますが、泣いている女の子を見て2匹は…。

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『まよなかかいぎ』  浜田桂子 作  理論社


真夜中にゆうきくんの部屋で開かれる会議の参加者はふでばこ、ノートにクレヨン、カスタネットなど、いつもいっしょに勉強し、ゆうきくんを応援している仲間です。その日のゆうきくんの様子を伝えあっては泣いたり笑ったりしています。みなさんにもこんな応援団がいるとよいですね。

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『ミカちゃんのひだりて』  中川洋典 作・絵  ひかりのくに株式会社


ミカちゃんは、いつも左手をゆらしているちょっと「かわった」女の子です。隣の席のユリちゃんは、そんな彼女をふしぎに思い、気になっていきます。ある日、発表会の準備中に一人窓の外を見つめるミカちゃんをクラスメイトのたつしくんが怒鳴りました。翌日、学校を休んだミカちゃんの家に向かったユリちゃんは、彼女が左手をゆらしている理由を知るのでした。人は、他人と自分の違いを認めあい、思いやりを育むことができるということがわかる1冊です。

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