◆新着おすすめ本 2018.1月号

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一般書(文芸書)

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『おちゃめに100歳!寂聴さん』  瀬尾まなほ 著 光文社


「95歳の大作家」瀬戸内寂聴先生を支える秘書が、毎日を綴った一冊です。25歳で先生の秘書を始めて現在7年目。でも7年しかたっていないのかと思うほど、二人の信頼関係は強いことが伝わってきます。「わたしがすべて支えますから!」といえる先生への気持ちは羨ましいです。先生の好きな食べ物、好きな男性のタイプ、入院のこと、恋愛や結婚観、人生のことまでがおもしろおかしく、でも本気でつづられています。

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『笑顔のママと僕と息子の973日 シングルファーザーは今日も奮闘中』 清水健 著 小学館


テレビのメインキャスターをつとめていた著者が、出産後112日で亡くなった妻への想いを胸に、育児に仕事に奮闘する日々を綴っています。同じく小学館から出版された前作の『112日間のママ』とともに読んでいただきたい一冊です。

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『名作なんか、こわくない』  柚木麻子 著  PHP研究所


『ランチのアッコちゃん』を書いた柚木麻子さんのエッセイ集です。日本と外国の古典名作57作品を紐解くように語っています。名前は知っているが、手を出しづらい有名作品も、著者のエピソードや作品ごとのキャッチコピーが面白いため、取っつきづらさを減らしてくれます。名作に再挑戦したい方、読書の幅を広げたい方などおすすめの本です。

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『意識のリボン』  綿矢りさ 著  集英社


いつもその時々の現代社会における女性の情感や世界を、切り取るように描いてきた綿矢りさの最新作です。2004年から2007年までの間に、様々な文芸誌に発表された8篇の短編が書かれた時期は、ちょうど著者が結婚、出産を経験した時期と重なるそうです。少女、妻、母、さまざまな立場の女性たちの世界が描かれており、読後にはあたたかな気持ちを抱けるような作品です。

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『虎の牙』  武川佑 著  講談社


「本当の戦国の風景を、描きたかった。」と帯があり、読んでみました。最初は山の民が描かれる山に生きるものの宗教観的なものが描かれていきます。山の民として育てられた主人公は、実は信虎の兄弟であったことがわかり、その後は武士として勝利をあげながら、兄とした信虎を引き上げるために命を懸けて生きていきます。小説の中には、戦国武将たちの息遣いが聞こえてくるような描写、そして戦いのすさまじさが描かれています。男たちの圧倒的なパワーが文体から感じられる作品です。兄弟・仲間との絆とあがらえない運命というものを強く感じました。また山の民の信仰が最初に描かれることで、武将たちの戦いに描かれる人間の命について、主人公の心の動きとともに、私たち読者も考えることになる一冊でした。また、武田信玄を描いた小説は多くありますが、今回の作品で取り上げられた信玄の父、信虎のことをもっともっと知りたくなりました。平成31年に迎える甲府開府500年にむけて、これからたくさんのイベントが組まれることと思います。これは私たち、山梨県民のとっておきの一冊になるのではないでしょうか。

 

一般書(実用書)

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『ターシャ・テューダーのファミリーレシピ』  ウィンズロー・テューダー 著  ターシャ・テューダー レシピ考案・絵  食野雅子 訳  主婦と生活社


古き良きアメリカの様子を描く絵本作家というだけでなく、自給自足の生活を送る名ガーデナーとして本やテレビで紹介されたターシャ・テューダー。彼女が生前考案したレシピを孫のウィンズローが、当時の思い出と共に記したレシピ本です。材料も作り方も素朴で、見た目の豪華さに比べて作りやすそうに感じます。レシピごとに添えられているターシャ・テューダーの挿絵も素敵です。

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『まとめて冷凍!→アレンジするだけ! スグでき!離乳食アイデアBOOK』  太田百合子 監修  ナツメ社


フルカラーの写真と丁寧な調理の説明があり、食材の柔らかさなどがわかりやすくなっています。時期ごとに食べられる食材が○×で一覧表になっていたり、平日、5日分の献立が紹介されていたりするので、何を作ろうかと悩む時間が短縮できそうです。最後には「具合が悪い時の離乳食」も風邪をひいたときなどの症状別で紹介されています。

 

一般書(その他)

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『注文をまちがえる料理店』  小国士朗 著  あさ出版


ここは、注文を間違える料理店。ホールで働くスタッフはみな認知症の方々です。ここでは、注文した料理がきちんと届くかどうか誰にも分かりません。間違えることを受け入れて、一緒に楽しむ料理店です。今年の6月に2日間限定でオープンしたプレイベントでは、9割以上の方がまた来たいと答えたそうです。この料理店で本当にあった心温まる物語をぜひ一度読んでみてください。

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『ココロとカラダに効く ハーブ便利帳』  真木文絵 著  池上文雄 監修  NHK出版


ハーブというと、みなさんは何を思い浮かべますか?最近流行のパクチーや、シソ、ニンニクといった食材や、ペパーミント、ラベンダーといった西洋ハーブなど、幅広いハーブが紹介されています。この本によると、私たちに役立つ植物はみんなハーブで、現在私たちが使っている薬の成分はハーブ由来のものなのだそうです。自宅の冷蔵庫に封を開けてしばらく経ってしまったワインがあったので、さっそく本を参考にして、若返りハーブともいわれるローズマリーを入れ、ハーブワインにしてみました。オシャレな雰囲気がでるのも嬉しいです!出来ればいつも手の届くところにおいて季節ごとの養生にも役立てたい一冊です。

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『図書館からのメッセージ@Dr.ルイスの本のひととき』  内野安彦 著  郵研社


コミュニティラジオでパーソナリティをしている著者の内野安彦さん。行政から図書館界への転身しました。塩尻の図書館の館長として、本の貸出数よりいかに新しい多くの人が図書館に来てくれるか大事と言う信念で現在の塩尻図書館の基礎を作り上げました。「本の寺子屋」という事業を始められ、私も何回か塩尻図書館に伺いましたが、市民の使いやすさと、地域の拠点としての図書館の役目や、子ども図書館の面白さ、様々な工夫にいつも感心します。ラジオでは、毎回図書館員をゲストに迎え「図書館の仕事」や「図書館とは」について話します。図書館について話すこんなラジオ番組はないのではないでしょうか。この本はそのゲストのお話をまとめたり、著者の想いも語られています。ちなみにDr.ルイスは趣味の域を超えたクラシックカ―好きにふさわしい名前です。図書館に興味のない方も、こんなことが図書館ではあるんだということがわかります。

ヤング・アダルト(中高生向き)

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『今すぐ読みたい!10代のためのYAブックガイド150! 2』  金原瑞人/ひこ・田中 監修  ポプラ社


過去7年以内に出版された本が載っている、中学、高校生向けのブックガイド第2弾です。見開きの右側には本の表紙画像と共に、4、5行程度の簡単なあらすじがあり、左側に本を紹介する文章があります。「青春がはじまる」「この気持ちが恋だった」などのテーマに沿った本が紹介されています。絵本、新書、文学、漫画など様々なジャンルの本が紹介されているので、あなたの今の気持ちにぴったりの1冊が見つかると思います。 

 

小学生向き

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『きみ、なにがすき?』  はせがわさとみ 作  あかね書房


みなさんは大切なお友だちの好きなものを知っていますか?あなぐまくんは、草ぼうぼうの庭を畑にして、友だちがよろこぶ物を植えようと思いました。でも、みんなは自分が大好きな物をあなぐまくんにおすそ分けしてくれます。何を作れば良いかわからなくなったあなぐまくんは、とうとうおこってしまいました。さて、あなぐまくんは、みんながよろこぶ物を作れるでしょうか?お互いを思いやる温かい気持ちに、心が優しくなるお話です。

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『地球の森のハートさがし』  藤原幸一 写真・文  ポプラ社


この本は、生物ジャーナリストの藤原幸一さんが、日本をはじめとする世界各地の森で撮影した写真絵本です。動物の顔や植物の葉っぱなどに色々なハートが隠れていて、とても楽しい気持ちになれます。しかし一方で、森が人の手により失われていることも伝えており、自然の現状について目を向けるきっかけとなる一冊です。

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『髪がつなぐ物語』  別司芳子 著  文研出版


「ヘアドネーション」というものを知っていますか?長い髪を寄付し、病気やけがで髪を失った人のために、ウイッグをつくる活動です。最近、新聞にもとりあげられ、注目の集まる活動を取材した本です。巻末には、詳しいやり方や、添付書類も載っています。

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『鳥獣戯画を読みとく』  五味文彦 監修  岩崎書店


「鳥獣」というのは鳥やけものなど身近な動物のこと、「戯画」というのはおもしろおかしく描いた絵という意味です。八百年以上も昔に描かれたユーモアあふれるこの絵巻物は、日本一古いマンガとも言われています。山梨県出身の歴史学者によって監修されたこの本で鳥獣戯画の七不思議を読みといてみませんか。大人にもおすすめの1冊です

絵本

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『くまのこライオンプース』  にしむらもも 作  小学館


プースのおとうさんはライオン、おかあさんはくま。冬になるとお母さんは冬じたくでおおいそがし、そしてベッドに入ったまま冬眠してしまいます。スープとお父さんの冬は、ふたりきりでゆっくり静かに過ぎてゆきます。やがてスープも大きくなりお母さんに似て、冬眠するようになります。どんな夢を見るのでしょうか?春がまちどおしい本です。

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『ひとりでえほんかいました』  くすのきしげのり 作  ゆーちみえこ 絵  アリス館


誕生日の前日、かおりちゃんは「ひとりでおかいものけん」を作って、自分の誕生日プレゼントにしてもらいました。本屋さんで何の本を買うか迷っていると、途中で迷子を見つけたり、トイレに行きたくなったり…無事に好きな本が買えるのでしょうか。初めてひとりでお買い物をする子どもを応援したくなる1冊です。

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『たぬきがのったらへんしんでんしゃ』  田中友佳子 作・絵  徳間書店


寒いときは、温泉に入るのが一番ですね。たぬきの団体は、「まじめさん」とよばれる電車に乗り、温泉に行くことにしました。びっくり線の線路では、いつもおかしなことが起こります。温泉に行くために、まじめさんが初めてそのびっくり線を走ると、やっぱりおかしなことが起こりました。そのたびに「ぽんぽこーぽん!」と、たぬきがじゅもんを唱えると、まじめさんは、ジェットコースターやせんすいかん、ドリルカーになって危険を乗り越えます。まじめさんがいろいろ変身するなかで、一番なりたかったものは…。ページをめくるたびにハラハラ、ドキドキ楽しい絵本です。

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